【監修:青山健一】
目 次
ワイヤーを使った矯正治療は歯並びをきれいにできますが痛みを感じることも多く、痛みの原因の1つとして、ワイヤーが頬に刺さることが挙げられます。
今回は、矯正のワイヤーが頬に刺さって痛いときはどうすればよいのか、対処法を詳しくご紹介します。
矯正治療中にワイヤーが頬に刺さる原因や刺さらないようにする予防法はあるのかも一緒にみていきましょう。
矯正のワイヤーが頬に刺さると?
ワイヤー・ブラケットの矯正治療をしていると、ブラケットの間に通してあるワイヤーが頬に刺さることがあります。
では、ワイヤーが刺さるとどうなるのか、ワイヤーが頬に刺さったときのよくある症状をみていきましょう。
頬の痛み
矯正装置であるワイヤーは歯に引っ付ける小さな部品ブラケットの間に通し、ワイヤーが真っ直ぐに戻る力を利用して歯並びをよくしていきます。
右の奥歯から前歯を通って左の奥歯までワイヤーを通しますが、ワイヤーの両端が刺さって頬の内側に痛みが出る場合があります。
ワイヤーが頬に刺さって痛みが生じると、口を動かすのも痛くて会話や食事がままならないという人も少なくありません。
頬の粘膜に傷ができる
ワイヤーが頬に刺さった痛みが続くと、頬の粘膜に傷ができて口内炎になります。
頬の粘膜とワイヤーが擦れてできた傷に細菌が入ることで口内炎になりますが、ワイヤーが頬に刺さる原因を改善しなければ口内炎は治りません。
傷や口内炎が口の中にできると飲み物や歯磨きの際にしみやすく、食事や会話に支障をきたすことも多いです。
矯正のワイヤーが頬に刺さって痛いときの対処法
ワイヤー・ブラケット矯正では、ワイヤーが頬に刺さって痛くなるのは珍しいことではありません。
痛くなったときの対処法をあらかじめ知っておくことで、ワイヤーが頬に刺さっても慌てないため、対処の仕方を覚えておきましょう。
ワックスを使う
ワイヤーが頬に刺さって痛みがあるときは、矯正用のワックスを使えば痛みを取り除けます。
矯正用のワックスは粘着性があり、頬に刺さる針金部分を覆うように着けることで頬内側の粘膜を保護します。
ワックスを好きな大きさにカットして、頬とワイヤーが当たらないようワイヤーの角をワックスで覆うように着けてください。
このとき、ワックスを着ける針金はティッシュなどで唾液の水分を取り除いてから着けましょう。
ワックスをあまり大きくカットし過ぎたり分厚かったりすると、ワイヤーに着けたときに頬の内側に違和感を感じます。
食事や会話の際にワックスが外れやすくもなるため、飛び出した針金部分を覆えるくらいの大きさがあれば十分です。
ワックスを着ける対処法は自分で行えるため、あらかじめ矯正用のワックスを歯科医院で貰っておくと痛みが出ても慌てずに対処できます。
ワイヤーを折り曲げる
左右の奥歯にワイヤーの両端がありますが、この端をワイヤーエンドといいます。
ワイヤーエンドは頬の内側粘膜に当たらないように、歯科医が矯正装置を調整する際に折り曲げたりカットしたりして処置します。
しかし、歯が動いてくると装置調整後よりもワイヤーエンドが飛び出してくるため、頬に刺さったり傷ができたりと痛みを感じるのです。
ワイヤーエンドが頬に刺さって痛みがあるときは、ワイヤーを折り曲げて対処します。折り曲げることで角ばった部分がなくなり、頬に刺さって痛むのを防ぎます。
ワイヤーをカットする
ワイヤーエンドは、折り曲げるだけでなくカットして処置する場合もあります。
余分なワイヤーが残らないようにカットしなければ角が頬に擦れて痛みが出るため、歯科医の細やかな技術も必要です。
ワイヤーを折り曲げたりカットしたりする対処法は、自分では行えません。歯科医専用の矯正器具が必要なため、歯科医院での対処法になります。
ワイヤーが頬に刺さる原因
矯正治療中は頬にワイヤーが刺さって痛みが出ることが多いですが、そもそもワイヤーが頬に刺さる原因とは何なのかをみていきましょう。
対処法だけでなく原因を知っておくことで、矯正中にワイヤーが頬に刺さっても慌てません。
歯が動いてワイヤーが余った
ワイヤーを使った矯正治療は、歯並びが悪い部分の歯から左右の奥歯にかけてブラケットを着けてワイヤーを通していきます。
歯並びが悪いとワイヤーが波打つ形になりますが、ワイヤーが真っ直ぐに戻る力を利用して歯を少しずつ動かしていくのが矯正治療の原理です。
治療を始める頃は歯並びが悪くワイヤーも波打っていますが、矯正が進んでくると歯が動きワイヤーが真っ直ぐになってきます。
ワイヤーが真っ直ぐになると両端に余分なワイヤーが出てくるため、頬に刺さって痛みを生じる原因となるのです。
ワイヤーがズレた
まだ歯並びが悪い治療初期の段階ではワイヤーが大きく波打つ形になりますが、この際ブラケットとワイヤーに隙間が生まれていることが多いです。
無理やりブラケットにワイヤーを通しているような形の場合は、ワイヤーがズレてくることがあり、飛び出したり歯との隙間が大きくなって違和感を感じる場合もあります。
ワイヤーがズレたまま放置しておくと頬に刺さって痛いだけでなく上手く歯が動かない可能性もあるため、歯科医院に連絡して早めに受診しましょう。
ワイヤーが外れた
ワイヤーはズレるだけでなく、ブラケットから完全に外れてしまう場合もあります。
ズレる場合と同様に矯正治療初期段階のまだワイヤーが波打っている時期に起こりやすく、完全に外れてしまえば頬に擦れて痛みが出る原因となります。
ワイヤーエンドがブラケットから外れると、針金が頬に刺さって強い痛みを感じたり大きな傷ができたりするため、ワイヤーが外れたときも早めに歯科医院を受診しましょう。
ワイヤーが頬に刺さるのは異常なのか
ワイヤーが頬に刺さって痛みが出ることは矯正治療中によくあるトラブルで、決して異常ではありません。
矯正は歯が動く痛みがつらいというイメージが強いですが、ワイヤーが頬に刺さって痛みが出ることもよくあるトラブルの1つです。
ワイヤーを使った矯正治療は、針金が頬に刺さって痛みが出るというトラブルが起きることも、あらかじめ理解しておきましょう。
頬に刺さる以外に起こり得るトラブル
ワイヤー・ブラケット矯正は針金が頬に刺さって痛みが出ることがありますが、他のトラブルが起こる可能性もあります。
頬に刺さるトラブル以外に、矯正中に起こり得るトラブルとは何があるのかを詳しくみていきましょう。
ブラケットが取れた
矯正中は歯に装着しているブラケットが取れるトラブルもあり、ブラケットが取れればワイヤーがズレる可能性も大きいです。
ブラケットは歯ブラシで強く擦ったりつまようじや爪で引っ掛けたりすると取れることがあります。
また、ブラケットに通すワイヤーを固定するために上から小さなゴムをはめますが、ゴムが取れるトラブルも起こりやすいです。
ゴムが取れるとワイヤーが浮き上がり、ズレたり外れたりするトラブルに繋がります。
矯正中は食べ物が挟まりやすいですが、歯磨きの際は優しくブラッシングしてブラケットやゴムが取れないように、食べ物や歯垢を取り除きましょう。
バンドが外れた
外側に奥歯がズレて生えていたり歯の高さがあまりない場合は、表面にブラケットを着けられません。そんなときはブラケットではなくバンドという器具を利用します。
バンドは輪の形で着けると歯のまわりに金属を巻いたようになり、歯が小さくてブラケットが着けづらい子どもの矯正治療に利用することも多いです。
バンドは歯の大きさに合わせて調整し装着しますが、硬いものを噛んだりブラッシングが強かったりするとバンドが取れてしまいます。
バンドに関してのトラブルは他にもあり、ズレる・ガタつく・隙間ができる・歯茎に食い込むなどの状態になる人も少なくありません。
外れていないからとバンドの外れかけを放置してしまうと、隙間に汚れが入り虫歯や歯肉炎の原因になります。
バンドが歯茎に食い込んだ傷から細菌が入り化膿するケースもあるため、外れかけの状態でも歯科医院に連絡し早めに受診するべきかを確認しましょう。
ワイヤー矯正のトラブルは1人で悩まず歯科医に相談
ワイヤーを使った矯正治療は歯並びをきれいにできますが、痛みが出るトラブルも多いです。
ワイヤーが頬に刺さって痛い・口内炎や傷ができた・ワイヤーが外れた・その他のトラブルが起きたときは、1人で悩まずに気軽に歯科医に相談しましょう。
痛みがある場合はすぐに対処してくれることも多いため、矯正中にトラブルが起きたらまずは歯科医院に連絡してみてください。
まとめ
矯正治療はトラブルが起こりやすいですが、想定外のトラブルではなくあくまで歯列矯正をする上では仕方のないことが多いです。
トラブルが起きても対処法を知っておけば焦らずに対応できるため、ワイヤーが頬に刺さって痛みが出たときの対処の仕方も覚えておきましょう。
もしもワイヤーが頬に刺さって痛いときは、自分でワックスを着けるか早めに歯科医院を受診してください。痛みやトラブルを乗り越え、きれいな歯並びを目指しましょう。