【監修:青山健一】
目 次
「矯正歯科を別の医院に変えたいけど、それって簡単にできるの?」そんな疑問をお持ちの方に対して、医師が解説いたします。
長期的に計画を立てて治療を行っていく歯列矯正は、他のクリニックへの転院を難しく感じている方が多いようです。
引っ越しや治療方針への不信感など、さまざまな理由から転院を考えてる方は少なくありません。
今回は、そんな矯正治療中の医院の変更の例や手続きの流れ、途中で矯正治療をやめないために気をつけるべきことについて詳しくご紹介します。
矯正歯科を途中で変えるとどうなる
通っていた病院を変えるというのは、通常の病院でしたら新しい病院を探せばよい話になりますが、矯正歯科の場合はそうはいきません。
矯正歯科では、医師が綿密な計画を立てた上で治療を進めていくものです。それを途中で変えるとなると、また新たな治療計画が必要となります。
長期的な治療が必要となる歯列矯正での転院は、非常にリスクを伴うものです。しかし、それでもやむを得ず変えなければならない時もあります。
矯正歯科ではクリニックごとに治療方針が異なるため、転院を希望するクリニックでまた一からやり直しとなるケースも少なくありません。
矯正歯科を途中で変えることを希望している場合、あらゆるリスクを避けるためにも、事前のリサーチや医師との話し合いが非常に大切になってきます。
矯正治療を途中でやめる理由
大抵の場合、矯正治療には時間がかかるということを理解した上でスタートしているため、よっぽどのことがない限り矯正治療を辞めたいと思うことはありません。
まずは引っ越しやライフスタイルの変化など、環境の影響によるものが多いです。距離や時間の問題で今まで通っていたクリニックに通えなくなったせいで途中でやめてしまいます。
また、治療法や医師との相性が悪く、途中でやめてしまう方も少なくありません。痛みに耐えられなかったり、思うように治療が進まなかったり、やむを得ず途中で諦めてしまう方もいるものです。
転院での治療を希望している場合でも、ちょうどよい転院先が見つからず結局途中でやめてしまったという方も多くいらっしゃいます。
矯正歯科を途中で変えた例
矯正治療中や完了後の保定期間で矯正歯科を変えるケースはいくつかあります。
自己都合による転院からセカンドオピニオンまでさまざまです。
どんな理由で転院を決めているのか、詳しくみていきましょう。
このまま治療を続けることが不安
今の矯正歯科での治療に不安を感じている方が、途中でクリニックを変えようとするパターンは少なくありません。
医師を信じて治療をスタートしたのにもかかわらず、治療の期間が長引いたり、思った通りの歯並びにならなかったり、医師に対しての不信感から転院を考える方がいます。
歯列矯正は医師との相性が非常に大切になる治療です。だからこそ、不信感を抱いたタイミングで別のクリニックに相談し、途中で変えたという例もあります。
引っ越し
転勤や結婚など、突然引っ越しが決まった方が途中で矯正歯科を変えるというパターンもあります。
いつ何が起こるかわからないからこそ、やむを得ない事情で転院するケースは少なくありません。
近場であれば通い続けることも可能ですが、県を跨いだ引っ越しの場合には転院を余儀なくされてしまいます。
今まで築いてきた医師との関係性がなかったものとなってしまうのはとても残念ですが、医師にしっかり相談した上でスムーズな転院を実現している人も多いです。
大学病院から転院した
大学病院である程度治療をした後、他のクリニックへと転院するケースも存在します。
治療機器が充実していることから大学病院で治療をスタートした後、通いやすい矯正歯科に転院し治療を続けていく人も多いものです。
通院しにくさや予約の取りにくさから、大学病院である程度治療が終わってから通いやすい場所へと転院するパターンは少なくありません。
引っ越しで転院が必要になる場合
引っ越しが理由で転院を余儀なくされるパターンは少なくありません。
信頼していた医師のもとを離れるのはとても寂しいことですよね。
引っ越しによる転院をスムーズに進めるための流れについて詳しくみていきましょう。
保定期間の転院は珍しくない
保定期間は矯正期間と同じくらいの時間が必要となることもあり、保定期間中に引っ越すことになったというケースは珍しくありません。
矯正治療中ほど頻繁に通院する必要はなく、大掛かりな治療も必要ないため、転院の手続きもしやすいことがほとんどです。
矯正治療が完了した歯の後戻りを防ぐためにも、スムーズな転院手続きをする必要があります。
引き継ぎの流れ
矯正歯科を途中で変える場合、今まで通っていた医師への相談は必須となります。引っ越しを機に転院するという旨を医師に伝えるようにしましょう。
引っ越し先によっては、医師が提携しているクリニックを紹介してくれるパターンもあります。
その場合手続きもスムーズに行っていくために、特にクリニックにこだわりがない場合はその医師にお任せするのがおすすめです。
提携クリニックがない場合は、自分で探す必要があります。そして、医師に紹介状や診断書などの日必要な書類を作成してもらい、転院先の病院に持参の上来院しましょう。
よりスムーズに転院の手続きをしたい場合は、郵送で届けておくのもおすすめです。予約が必要となるクリニックの場合は、事前に連絡を入れてから来院しましょう。
治療費
治療にかかる費用は、クリニックの方針ごとに異なります。
治療の総額を支払っている場合、転院前のクリニックから返金してもらえるケースもありますが、これもクリニックごとに異なるため、注意が必要です。
一般的には保定期間で必要となる治療費を都度支払っていくようになります。
リテーナーを引き継げない場合もある
歯の後戻りを防ぐために使用するリテーナーは、クリニックごとに使用しているものが異なります。そのため、転院先では使用できずまた一から作り直すケースも珍しくありません。
転院後治療をスタートする段階で、リテーナーの費用を支払うこととなることを頭に入れておくようにしましょう。
提携先との転院であれば同じリテーナーを使用できることもあるため、医師に紹介状を書いてもらう時に相談してみるのがおすすめです。
セカンドオピニオンとしての転院
矯正歯科を途中で変える理由には、セカンドオピニオンを通したケースもあります。
今の治療が本当に自分に合っているのか、それを見極めるよい機会のため不安や疑問に感じた方は、思い切って利用してみましょう。
セカンドオピニオンを利用した転院の流れについてご紹介します。
治療後の転院は引っ越しだけではない
治療が完了したはずでも納得の仕上がりにならなかった場合、セカンドオピニオンとして転院するケースもあります。
歯並びを治したはずなのに理想的な仕上がりにならないことは珍しいことではなく、医者による計画ミスや勉強不足が影響していることがほとんどです。
中には「前よりも出っ歯が目立つ」「噛み合わせが合っていない気がする」などの問題が発生している場合もあります。
高いお金をかけて治療したのにもかかわらず、納得のいく仕上がりにならなかったと悩んでいる方がセカンドオピニオンを利用しています。
セカンドオピニオンの流れ
セカンドオピニオンを利用するには、現在通っている矯正歯科で必要な書類を作成してもらう必要があります。
言いにくいと思われる方もいらっしゃいますが、スムーズに進めていくために大切なことのため、勇気を振り絞って話してみるようにしましょう。
セカンドオピニオンは患者に認められている権利です。今の治療が合っているかどうかを専門家に判断してもらえる機会を最大限に利用しましょう。
必要な資料ができたらそれを持参のうえで、転院先の病院に訪問する流れになります。
事前予約が必要
セカンドオピニオンで受診する場合、事前に予約を行うようにしましょう。その際にセカンドオピニオンである旨をしっかり伝えることが大切です。
日程が決まったら、指定された日時に病院に訪問しましょう。第三者から意見が決める貴重な機会であるため、事前に相談したいことを考えておくことをおすすめします。
セカンドオピニオンでの相談の結果、転院する意志がある場合はその部分についてもしっかり話し合っておくと、転院がスムーズに進みますよ。
矯正治療を途中でやめないためにするべきこと
矯正歯科を途中で変えることは費用が余計にかかったり、治療期間が長引いたりとさまざまなリスクを伴います。
途中でやめることなく矯正治療を続けていくためには、治療を始める段階からリスクヘッジをおこなうことが大切です。
治療を途中でやめないために気を付けて欲しいことについてご紹介します。
開始時期を検討
矯正治療を始める場合は、将来的なことを見越して開始時期を決めておくことをおすすめします。
将来的に転勤や結婚、出産など、ライフスタイルが変わることで矯正歯科に通いにくくなってしまう可能性がある場合は、時期を十分に考慮した上で始めるようにしましょう。
スムーズな矯正治療を進めるためには、同じクリニックで最後まで行うことが1番大切です。矯正治療は、引っ越しする予定がない時期に始めるのをおすすめします。
医院との相性は合っているかを確認
矯正治療を途中でやめないようにするためには、医師との相性も非常に大切です。
何となくで歯科医院を選んだせいで治療が進まず、転院も重なり治療費がかなり高額になってしまうというケースは少なくありません。
費用にこだわるあまり安いところを選択するという方もいますが、大切なことは自分の歯並びに合った治療を行うことです。
治療を始める前に一つに絞らず、色々なクリニックに相談してみるのがおすすめですよ。
矯正歯科の転院で悩んだら専門医に相談
歯科矯正は歯を少しずつ動かして治療をしていくため、完成まで時間がかかります。だからこそ、やむを得ず転院を選ばなくてはならないケースも少なくありません。
本当に患者さんのことを考えている医師であれば、スムーズに転院する最良の方法を一緒に考えてくれるはずです。
医師との相性が合っていないと感じる場合も、セカンドオピニオンを通して方針を考えて治す方法もあります。
矯正治療にかけたお金と時間が無駄にならないようにするためにも、クリニックの転院で悩むことがあれば早めに相談するようにしましょう。
まとめ
矯正歯科を途中で変える例や流れについてご紹介しました。
歯列矯正は治療が終了した後も後戻りしないよう保定期間が設定されているため、長い期間をかけて綺麗な歯並びを固定していきます。
その間にライフスタイルの変化があることは珍しいことではありません。スムーズに転院の手続きができるよう、流れを知っておくことはとても大切なことです。
それでも矯正歯科の転院には、費用の上乗せや治療期間の延長などさまざまなリスクを伴うため、時期を考えてスタートしましょう。
いち早く自分の好みの歯並びを手に入れるためにも、信頼できる先生のもとでスムーズな矯正治療を行うことがおすすめですよ。