【監修:青山健一】
目 次
「ラミネートべニア」は審美歯科の治療法のひとつで、他の治療法と同じく歯並びの多様な問題に対応できるものです。
またこれまでのワイヤー矯正などよりも期間や費用の面でメリットが多いことから近年注目されており、治療項目に採用する歯科医院も増えてきています。
ただ具体的にはどういった治療法なのかわからない、あるいはセラミック矯正との違いがわからない、という方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事ではそんなラミネートべニアについて、メリットや注意点も含めて解説していきます。
ラミネートベニアの特徴
まずはラミネートべニアの特徴についてどういったものがあるのか、具体的に例を挙げながら解説していきます。
治療の概要
ラミネートべニアとは歯の表面を薄く(0.5mmから0.7mmほど)削り、その上にセラミック製の人工の歯を張り付ける治療法です。
ネイルアートにつけ爪というものがありますが、それと似たようなものといえばイメージしやすいかもしれません。
歯を削るのもエナメル質のごく表面のみであるため歯に与えるダメージも少なく済み、歯茎への色素沈着もほとんどないのが特徴です。
軽度のすきっ歯の場合など、症状によっては歯を削らずに施術を受けることも可能で、対応できる症例が多いことも評価のポイントとなっています。
また治療を始める段階で周囲の歯にホワイトニングを行い、張り付けるべニアの色も実際の歯に近い色味を選んでいきます。
そうすることで治療を行う歯とそれ以外の歯でのギャップを少なくしていくため、治療後は満足のいく見た目を手に入れられるのです。
費用
次にこの治療を行う際にかかる費用についてみていきましょう。
これは何本施術するかによって変わってきますが、概ね1本あたり5~10万円が相場となっています。
上顎の前歯8本が一番見た目に影響するためこの箇所を治療する方が多く、その場合の総額で40~80万円程度が目安です。
またラミネートべニアは自由診療となるため、歯科医院によって費用にばらつきがあるのが現状となります。治療を開始する前にしっかりと確認するようにしてください。
治療期間
一般的な矯正が数年間の治療期間を必要とするのに対し、ラミネートべニアの場合は数か月で治療が終了することがほとんどです。
これはその治療法の特性によるものですが、単純にいうと「歯を削って被せ物をするだけ」であるため歯自体を移動させる他の治療法よりも期間が短縮できるのです。
治療期間が短ければそれだけ体に与える負担も少なく済みますし、さらには通院のための時間や費用も節約できます。
ある意味とても気軽に治療を受けられる、こういった点もこの治療法を選択する方が多くなっている要因といえます。
セラミック治療とラミネートベニアの違い
ラミネートべニアと同じような治療法としてセラミック治療というものがありますが、両者にはどのような違いがあるのか簡単に説明していきましょう。
どちらも歯を削って被せ物をする、という点では同じなのですが、セラミック治療の方が歯を削る分量が多く、場合によっては神経を抜く必要もでてきます。
セラミック治療で使用するセラミッククラウンは、ラミネートべニアよりも大きな被せ物となるため強度面でいえばこちらの方が上です。
また虫歯などで元の歯を土台として使えない場合は金属製の土台を使用することもあります。
とはいえ、どちらの治療の方が上ということではなく、ご自身の症例にあった施術を選択することが肝心です。
どちらにしたらよいか自分ではわからない場合や、迷っている場合はひとまず歯科医師に相談することをおすすめします。
下記のリンクから歯科治療に関する無料相談が可能です。簡単な質問でもお気軽にご相談ください。
ラミネートベニアによる出っ歯の治療の流れ
このラミネートべニアでの治療の流れはどのようなものか、ここで確認していきます。
検査・カウンセリング
まずは歯科医師とのカウンセリングを行い、ご自身がどのような歯並びの問題をもっており、それをどのように改善したいのかを擦り合わせていきます。
次に現在の歯列の状況や虫歯や歯周病の有無などを検査し、そこで治療すべき症状が見つかればまずそちらを治療します。
虫歯や歯周病の程度がひどい場合はここである程度時間がかかってしまうため、普段からのケアが重要であることはいうまでもありません。
歯の形成・型取り
ラミネートべニア治療開始の下準備が終わったら、いよいよ本格的な施術のスタートです。
歯の表面を薄く削り土台の形を整えたあとに、べニアを張り付けるための型を取っていきます。
なお、歯を削る際に人によっては多少痛みを感じることがあるため、痛みに弱い方などは麻酔をかけて治療することになります。
ただほとんどの場合は痛みを感じないうちに削り終わるため、この点に関してはあまり神経質に考えなくても大丈夫です。
セラミックシェルを作製
続いてさきほど採取した歯型をもとにべニアを作製していきます。
べニアとはその形状からセラミックシェルとも呼ばれる被せ物で、作製には2~3か月程度の期間が必要です。
セラミックシェル完成までの数か月間は仮歯を装着するため、見た目が気になってしまうということもほとんどありません。
セラミックシェルを接着
そうしてでき上がったセラミックシェルを特殊な接着剤で土台の歯に接着したら治療は終了です。
接着の際は痛みなどもなく、また接着剤も体に無害のものを使用するため安心して治療を受けていただけます。
終了後は基本的に通院の必要はありませんが、べニアの寿命が10年程度となるため定期的に接着の状態や欠け・割れがないかを確認してもらうことをおすすめします。
ラミネートベニアのメリット
ここで改めてラミネートべニアのメリットについて整理していきます。
治療期間が短く済む
上の項目でも少し触れましたが、他の矯正治療と比較してラミネートべニアは治療期間が非常に短いです。
一般的なワイヤー矯正が最低でも1~3年は必要なのに対し、ラミネートべニアは2~3か月で終了します。
検査の段階で虫歯などが見つかってしまった場合は少し延びることもありますが、それでも全体として半年程度で済むのは大きなメリットです。
自然な歯に仕上がる
ラミネートべニアでは元々の歯の色に合わせた色味でべニアを作製するため、前歯だけが異様に白くなってしまうことがなく自然に仕上がります。
また、透過性のある素材を使用してべニアを作製することも可能なため、ほかの歯が変色してしまっている場合も馴染みやすくできるのです。
1本から治療が可能
また、このラミネートべニアは1本から治療ができます。
意外に思われるかもしれませんが他の矯正法だと1本だけ治療するのは難しい場合があります。またできたとしても1本だけのために数年かかってしまうことがあるのです。
この治療法であればそういった場合でも対応できるため、お手軽に歯並びを治したい方にはうってつけの治療法といえます。
ラミネートベニアの注意点
そんなメリットだらけのようにみえるラミネートべニアですが、やはり注意すべき点もいくつかあります。ここからの項目で説明していきましょう。
保険適用ではない
他の項目でも少し触れましたが、ラミネートべニアに限らず歯列矯正の場合は基本的に保険適用とはならないため治療費が高額になってしまいます。
歯列矯正でも保険適用となるケースはごくまれにありますが、先天的な異常や著しく異常な顎変形症などの非常に限定的な場合のみとなっているのです。
費用に関してはこれも前述の通り1本あたり5~10万円が相場となっていますが、歯科医院によって変わってくるため事前のカウンセリングで確認するようにしてください。
あまりにも相場とかけ離れた高額な金額を提示された場合には、セカンドオピニオンを検討することをおすすめします。
欠けてしまう場合がある
ラミネートべニアは薄いセラミックでできているため、あまりにも強い力がかかると欠けてしまうことがあります。
歯ぎしりや食いしばりが酷い場合には施術できない場合もありますし、固いものや分厚い肉などを噛みちぎろうとして欠けてしまうこともあるため注意が必要です。
施術後にラミネートべニアを長持ちさせるためにも治療後3~5年経過したら定期検診を受け、メンテナンスすることをおすすめします。
ラミネートべニア以外の前歯の治療方法
ラミネートべニアはその治療法の特性から、出っ歯の程度によっては治療できないことがあります。
そういった場合は別の治療法を検討する必要があるのですが、その代表的なものについて簡単に触れていきます。
ワイヤー矯正
一般的に「歯列矯正」といったときに思い浮かべる方も多い治療法で、歯にブラケットと呼ばれる装置を取付け、そこにワイヤーを通して歯並びを改善する治療法です。
対応できる範囲も広く、治療効果も高いことから広く採用されている治療法となり、もちろん出っ歯の治療にも大きな効果を発揮します。
ただ、見た目の問題や治療期間中は口内トラブルが起きやすいといったデメリットもあるため、治療開始前に担当医からしっかりと説明を受けるようにしましょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは透明のマウスピースを複数作成し治療の進度に合わせたマウスピースを装着、徐々に理想の歯並びに近づけていく治療法です。
ワイヤー矯正に比べて装着時の痛みが少ない・見た目が気にならないなどのメリットがある反面、装着時間を守らないと効果がでづらいなどのデメリットもあります。
治療期間はどちらの治療法でも2~3年程度、費用は30~80万円程度となっています。
ラミネートベニアの疑問は歯科医に相談しよう
ここまでラミネートべニアを使用した治療法やメリット及び注意点について解説してまいりましたが、文章ではいまいち伝わりづらいところがあるのも確かです。
もっと詳しくラミネートべニアについて説明を受けたい場合や、ご自身の歯並びにも適用できるかどうか知りたい場合は歯科医にご相談ください。
その他にもラミネートべニアについての疑問・質問・相談などがある方は、下記のリンクから無料相談をお申し込みいただくことをおすすめします。
まとめ
今回の記事ではお手軽で効果も高いため人気となっているラミネートべニアについて書いてまいりました。
今回の記事の内容を簡単にまとめるとこのようになります。
- 他の矯正方法に比べて治療期間が短い
- 自然な色味で審美面での効果が高い
- 1本から治療可能なためさまざまなケースに対応できる
- 程度によっては治療できないケースもある
非常に魅力的な施術ではありますが、治療効果を最大限引き出すためには歯科医とのコミュニケーションが重要となってきます。
遠慮せずご自身の担当医にしっかりと希望を伝えたうえで、満足のいく施術が受けられるようにしてください。
今回の記事が皆さんの悩みを解決する一助となれば幸いです。