【監修:青山健一】
目 次
前歯というと、第一印象の要といっても過言ではありません。
少しでも悩みやコンプレックスがあると、楽しい時も気になって上手く笑うことができないケースが多いです。
常に口が閉じてしまう場合やマイナスな印象を持たれて、損をすることも多くなってしまいます。
また、歯並びが悪いことは見た目の印象だけでなく歯の健康状態悪化へも繋がってしまうものです。
矯正に興味を持っていても、具体的にどのように進めていくのか不安なことも多いでしょう。
本記事では、前歯のみの矯正について解説していきます。
前歯に関する悩みの例
前歯に関する悩みを持つ人は多くいるのが現状です。
前歯に関する悩みについてどのような例があるのかを詳しく説明します。
前歯の歯並びが悪い
歯並びについて悩みを抱えている方は多いです。
先ほど申し上げた通り、歯は人から見られやすい位置にあります。
そのぶん見た目への影響は大きく、人に与える印象が変わってくるのです。
前歯の大きさやガタガタとした形が気になる場合など、歯並びが悪いことがコンプレックスだという人もいます。
前歯の隙間が気になる
続いて前歯の悩みでよくあるのが、前歯の隙間です。前歯に隙間ができてしまう理由には遺伝による先天性の理由も多くあります。
しかし、日々の生活習慣が原因で引きおこされる場合も多くあります。
例えば頬杖をつく習慣がある人、眠りにつくときの姿勢が一緒の人などです。
このようなちょっとした癖のように思えることが、前歯の隙間を作ることに繋がります。
隙間というと少しの空間と思えますが、目立ってしまうのです。見た目の部分のみならず、様々な面で悪影響が出てきます。
例えば、食べたものが詰まって取りづらくなるほか、発言をする際に空気が隙間から抜け、相手が上手く聞き取れないなどの問題も出てきてしまうのです。
前歯が前のめりに生えている
最後に前歯の悩みとして多いのは、前歯が前のめりに生えている場合です。
歯並びが悪い場合や隙間が気になる場合とは少し違った悩みも生まれます。
その理由は、口を閉じても間から前歯が少し覗く場合もあるためです。
笑顔をつくっても、歯や歯茎が強調され、コンプレックスに感じる方も多く見受けられます。
前歯が前のめりの状態が続くと、口が半分開いた状態になることも多いです。そうすると、口周りの筋肉から前歯への力が入らない状態が続きます。
そうなると更に歯が出やすくなってしまうといった悪循環に陥ってしまうのです。
前歯矯正の種類と費用
前歯の悩みをそのままにしておくのではなく、前歯のみの矯正をすることも視野に入れていくことをおすすめします。
とはいえ、前歯矯正についてもっと詳しく知りたい方も多いでしょう。
続いては、前歯矯正の種類と矯正するにあたって必要な費用を解説していきます。
上の歯の場合
まず、上の前歯の矯正をする場合についてです。この場合の治療期間は平均で約6ヶ月から10ヶ月程度かかることが多くなります。
費用は、約240,000円~約500,000円かかる場合が多いです。
下の歯の場合
次に下の前歯の矯正についてみていきます。
この場合の治療期間は平均で約6ヶ月から10ヶ月程度かかることが多くなります。
費用は、約240,000円~約500,000円かかる場合が多いです。
1本の場合
前歯1本のみでも、複数の歯を治療した場合と同等の金額がかかる場合が多いです。
治療期間は約5ヶ月~8ヶ月程度をみておくことが必要となります。
費用は約180,000円~約360,000円です。
複数本の場合
上下の前歯を共に矯正した場合についてご説明します。
上下の前歯は、治療期間は約6ヶ月~10ヶ月程度かかる場合があります。
費用は約360,000円~約540,000円です。
前歯の歯並びが及ぼす影響
歯並びが悪いことにより、及ぼす影響はどのようなものがあるのでしょうか。
まず歯並びが悪いと咀嚼力が衰えてしまいます。
そうすることにより、消化に時間がかかってしまい消化器官へのダメージが大きくなるのです。
また歯磨きの際、磨き損なう場所や回数がどうしても多くなってしまい、別の歯への悪影響が出てきてしまいます。
歯垢の原因となり、口臭がきつくなるといったケースや、虫歯・歯周病へ繋がる危険性も大きくなるのです。
前歯矯正の治療の流れ
前歯のみの矯正であっても、基本的な治療の流れは全体矯正の場合とさほど変わりません。
それでは、実際にどのような流れで進めていくのか、前歯矯正の治療の流れを順番に説明していきます。
①精密検査と検査結果の開示
まず、治療を始める前に精密検査が必要です。精密検査で治療方針が半数以上は決まってしまうほど、鍵を握るものとなります。
口内や顔面、レントゲン撮影、歯の型を取る作業などを行い、しっかりと口腔の状態の調査を行うのです。
その後に検査結果を患者に伝え、今後の治療計画を決定していく流れとなります。
②治療計画の説明
精密検査により割り出したデータをもとに治療計画を立てます。
治療計画が完成したら、どのような装置が適しているのか、治療費はどれくらい必要かなどについても説明を受けます。
この計画に沿って治療が進められるため、治療方法への疑問や要望があればしっかりと歯科医師に伝えましょう。
③治療開始
治療計画に納得していただけたら、治療を開始します。
矯正をするための器具を前歯に装着させ、歯を移動させる治療が始まるのです。
定期的に通院し、計画通りに矯正できているかどうかや不具合が起こっていないかのチェックを行います。
④保定
矯正が終了しても、そこで終わりではありません。
そのままにしておくと『歯の後戻り』という、歯が元の位置へと戻ろうとする力が働いてしまうのです。
これを防ぐために、リテーナーという保定に必要な道具を歯にセットします。
リテーナーは保定期間の間ずっとつけているのではなく、様子を見ながら装着するスパンをだんだんと狭めていくものです。
せっかく矯正が成功しても、保定が上手く行かないと意味がありません。
きれいな歯並びに固定するために、矯正後に欠かせない必要な作業です。
前歯矯正を行うメリット
前歯矯正を行うメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
前歯矯正のメリットを解説します。
低コストで治療ができる
前歯の矯正は、全ての歯を治療する場合と比較しても装置を付ける部分が少なく、低コストで治療ができます。
全体矯正よりもかなりのコストを削減できるため、費用に対して不安な方でも検討しやすいのです。
目立たない装置で矯正できる
矯正器具として代表的な、歯の表側に装着するワイヤー器具は見た目にも目立ってしまい、装着するのに抵抗がある方も多くいます。
ですが最近では目立たないクリスタルに近い目立たない装置も増えてきました。
透明なマウスピースも増えており、矯正していることを目立たせずに治療できます。
さりげなく矯正を行えるのも前歯矯正のメリットといえます。
一本から治療ができる
前歯矯正は、一本から治療が可能なため全体矯正で感じる痛みや不快感も抑えられます。
噛み合わせによるトラブルの発生も最小限で済むのも魅力です。
前歯矯正の治療期間
全体の歯の治療をする場合、治療期間は約1年~3年と長期間必要ですが、前歯のみであれば約2ヶ月~1年と短期スパンでの治療が可能です。
この場合なら忙しくて時間を取りづらい方や、ブライダルや面接などといったイベントに間に合わせたい方にも取り組みやすい治療であるといえます。
前歯矯正で気をつけたいこと
前歯矯正は人によって必要期間が違ってきます。
実際に具体的にどのようにして矯正を進めていくかは歯科医が歯を見てからしか判断できません。
『いつまでに前歯矯正を行いたい』などの期限を設けている方は、早めの受診をおすすめします。余裕を持って行動することが必要です。
また、前歯矯正中は、前歯を使用して食べる硬い食品や、装置につきやすい粘着力のある食品などは避ける必要があります。
せっかくの矯正も少し気が緩むと台無しになる可能性もあるのです。
装置へ与えるダメージを極力抑えるために、細心の注意を払うことが必要となってきます。
前歯矯正までにしておきたいこと
前歯の矯正までに、しっかりと準備をして余裕をもって進めていくことが重要です。
いざ治療を初めてから不具合がでることのないようにしておく必要があります。前歯矯正までにしておきたいことについて見ていきましょう。
虫歯についての対策
前歯矯正に取り掛かる前に、虫歯のチェックもしっかりと行うことが大切です。
基本的には、虫歯がある場合でも矯正はできることが多いですが、その分時間も費用もかかってしまいます。
事前に虫歯がないかどうかの確認はもちろんのこと、日ごろから虫歯にならない生活習慣を身に着けることが大切です。
正しい歯磨き方法を詳しく指導する歯科医院も多いため、うまく活用してみるのもポイントです。虫歯にならないよう、きれいな歯を維持していく意識を大切にしていきましょう。
親知らずの確認
基本的に親知らずの生えてくる時期は成人する頃の場合が多いです。
しかし、人によってはスペースが足りずに埋もれている状態のままの人もたくさんいます。
親知らずは歯並びに影響を与える場合があるため、事前に親知らずの方向や場所についてきちんと確認しておくことが大切です。
悩んでいたら歯医者に相談も検討
部分矯正とはいえ、ある程度の費用はかかるものですし、痛みの有無や治療方法など不安に思う点は人によって違います。
すぐに決めることができず、悩んでしまう方も多いでしょう。
しかし、一人で悩んでいては時間だけが過ぎてしまい解決策にたどり着きません。
そのような時は、ぜひ歯のプロフェッショナルである歯科医にご相談ください。
実際の歯の状態をしっかり確認しながら、一人ひとりの悩みに耳を傾けていきます。
各々の前歯に合わせたご提案が可能です。
歯のことは歯の専門家に委ねてみることが大切になります。
まとめ
今回は前歯の部分矯正にかかる費用や治療の流れについてご紹介しました。
今回ご紹介した価格はあくまでも相場です。
一人ひとりの歯の生え方や状態は違い、それによって治療計画も変わります。
また、治療費のほかにカウンセリング料金や、精密検査料金を設定している場合もあり歯科医院によって料金は異なるものです。
無料でカウンセリングを行っている歯科医院もあります。
正確な費用をお知りになりたい場合は、歯科医院に足を運んでみるのも一つの方法です。
前歯を気にすることなく思いっきり笑うことができれば、日々の生活もどんどん楽しくなるでしょう。
矯正は『大変そう』とか『面倒くさい』といったマイナスなイメージを持つ方も多いですが、上手く付き合っていけば未来を明るくしてくれる手段です。
また、歯をきれいな状態に保つためにも前歯の部分矯正は必要といえます。
前歯の歯並びに悩んでいるのであれば、きちんと理解を深めて、前歯の部分矯正を検討してみてはいかがでしょうか。