【監修:青山健一】
目 次
人の印象は口元で決まります。素敵な笑顔で良い印象を得たいと思いませんか。
美しい笑顔には美しい歯並びがかかせません。特に前歯の歯並びや色は笑顔の審美性を大きく左右します。
前歯に自信を付けるには部分矯正がおすすめです。この記事では前歯を美しくするセラミック矯正を詳しく解説します。
セラミック矯正で前歯を美しくする方法や費用について理解を深め、自分に合った矯正治療で素敵な笑顔を手に入れましょう。
「矯正は治療期間が長いから嫌だ!」と言う方にはセラミック矯正がおすすめ
矯正治療と聞くと、ワイヤーやマウスピースを使った全顎的な歯列矯正を思い浮かべる方が多いことと思います。
全顎矯正は治療期間が長く高額です。まとまった矯正期間を確保することが難しい方や働き盛りで忙しい方には向きません。
ではそのような人は矯正治療を諦めるべきでしょうか。いいえ、諦めなくても大丈夫。「部分矯正」という手があります。
部分矯正なら約半年で数回の通院だけで歯並びを整えることができますが、もっと早く歯並びを治したいという方にはセラミック矯正がおすすめです。歯の色も白く美しくできます。
それではセラミック矯正にはどのような種類があるのでしょうか。
セラミッククラウンの種類
セラミック矯正ではセラミック製の「クラウン」と呼ばれる被せ物を歯に被せて歯並びや色を整えます。
ワイヤー矯正のように歯そのものを地道に動かす治療法とは違い、歯の位置は変えずクラウンだけで見た目を美しくする治療法です。
セラミッククラウンには素材や製法によって複数の種類があります。
特に審美性が求められる前歯には次の3つのセラミッククラウンがおすすめです。
- ジルコニアセラミックス
- 二ケイ酸リチウム
- フルジルコニア
次にそれぞれの特徴とおすすめのポイントをご説明します。
ジルコニアセラミックス
ジルコニアセラミックスは外側がセラミック、内側がジルコニアで作られています。
ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれ硬度が高く耐久性は抜群です。壊れにくく長年の使用に耐えられます。
e.max(ニケイ酸リチウム)
二ケイ酸リチウムを主成分としたシリカベースを加熱軟化して鋳型に圧入しクラウンを製作する手法です。
シンプルに「e.max」あるいは「オールセラミック」とも呼ばれます。
単一素材のため強度が高く、コストパフォーマンスにも優れています。
また厚さも1㎜と歯をあまり削る必要がないため前歯に適したクラウンです。
フルジルコニア
フルジルコニアは「オールジルコニア」とも呼ばれ、硬度が高いジルコニア100%のクラウンです。
ジルコニアセラミックスと同様、奥歯にも前歯にもお使いいただけます。
ただし前歯をフルジルコニアにすると白くはできますが微妙な色の調整はしにくいことが難点です。
審美性を高めるため硬度を下げたフルジルコニアもあるため歯科医にご相談ください。
前歯をセラミックで矯正するメリット
前歯を矯正する方法にはさまざまなものがありますが、歯を動かしながら並べていくワイヤー矯正やマウスピース矯正は治療期間が長めです。
セラミック矯正だと対象とする歯を動かすのではなく削りながら見た目を整えていくため、治療期間が短くて済みます。
そのためセラミック矯正は「クイック矯正」あるいは「スピード矯正」とも呼ばれるのです。
それでは実際にセラミック矯正にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは治療期間が短いことに加え、見た目が美しくなる・汚れにくい・金属フリーといった利点を解説します。
見た目が美しくなる
一般的な歯を動かす矯正治療では、歯並びや噛み合わせの位置を最適化できます。
しかし、歯の色を整えることはできません。また歯を動かす矯正治療では、歯の形を変えることはできません。
歯のサイズの調整などの場合、歯を削って統一感のある白い色のセラミッククラウンを被せるセラミック矯正がおすすめです。
汚れにくい
歯の汚れは「ステイン」と呼ばれ茶渋やコーヒーの着色、ニコチンの色素の沈着などの蓄積が原因です。歯磨きをいくらしても落とすことができません。
保険が適用可能なクラウンは金属にプラスチックを貼り付けた被せ物であるため経年劣化が激しく黄ばみや黒ずみが発生します。
その点、セラミック矯正であればステインがつきにくいことが特性です。
ただし完全に汚れないという意味ではないため定期的なクリーニングは欠かせません。
金属アレルギーでも治療可能
保険が適用される矯正治療では、銀歯や金属の上にプラスチックを被せるものが一般的です。しかし金属は唾液で溶け体内に吸収されることがあります。
これが長期間続くと、人によっては金属アレルギー反応がでてしまうわけです。治療で使われるニッケル、クロムそしてコバルトが原因であるとされています。
金属アレルギーがある方には、セラミック矯正では金属を使用しない治療方法が可能です。
使うのは「陶器」に使われる素材だけのため、金属アレルギーの方にはセラミック矯正がおすすめです。
治療期間が比較的短い
セラミック矯正は時間をかけて歯を動かすワイヤー矯正やマウスピース矯正とは違い、問題がある歯を削ってクラウンを被せるスピーディな治療法です。
しかしクラウンを被せる土台の歯に虫歯や歯肉炎などの問題がある場合には、まずその治療を行います。
その治療が済んでからセラミック矯正に入るため治療には時間がかかる可能性があります。
土台の歯に問題がなければ通院回数は数回だけで済み、費用も抑えられることが良い点です。
前歯のセラミック矯正の流れ
前歯の見た目を改善するセラミック矯正では、自分の理想的な口元について歯科矯正医と詳しく話し合うことが大切です。
左右対称の治療本数がバランスをとるには適していますが、歯並びによっては1本だけでも治療が可能な歯並びもあります。
どのような口元が理想的なのか、矯正医と自分の考えを共有しておきましょう。
その後、実際に治療に入ります。段階を追ったセラミック矯正の流れは下記です。
カウンセリング・歯型取り
セラミック矯正では治療したい前歯の状態をカウンセリングを通じて把握し、適した治療方法と治療計画を作成します。
セラミック矯正は保険適用外で治療費がかかるため、カウンセリングで納得のいく治療方法を見つけましょう。
次に検査をして被せ物の土台となる歯の健康状態を把握し、虫歯や歯肉に問題があれば矯正の前に治療します。
土台となる歯が良好な状態になったら、次はクラウンを作製するための重要なステップ「型取り」に進むというのが通常の流れです。
仮歯セット
クラウンを被せる土台の歯の状態が良いことを確認して歯を削ります。これは健康な歯でも必要なプロセスです。
削った後は仮歯を装着しましょう。
きちんとしたセラミッククラウンよりも材質が悪いのですが、矯正治療中であることを周囲に感じさせませんし、削った歯の保護に有効です。
セラミック歯装着
セラミッククラウンができあがったら、仮歯をとってセラミッククラウンを装着します。
装着後、痛みや違和感を感じる場合があるため、なるべくクラウンへの刺激を控えるようにしてください。
しばらく経っても状況が改善しない場合、自己判断は避けて治療を行った歯科矯正医へ早めにご相談ください。
前歯のセラミック矯正にかかる費用
前歯のセラミック矯正ではクラウンの種類によって費用に差があります。
上記でご紹介したセラミック矯正の3種類について1本あたりの費用をまとめてみました。
- ジルコニアセラミックス:8~10万円
- 二ケイ酸リチウム:6~8万円
- フルジルコニア:7~8万円
二ケイ酸リチウム(e.max)が比較的安価です。
前歯のセラミック矯正の注意点
前歯のセラミック矯正のメリットについて主にお話してきました。ここではセラミック矯正の注意点を理解していきましょう。
まず第1に前歯を削って治療をするという点です。削った歯は元には戻せません。
削る際に神経を抜く場合があり、周辺の細い血管も取り除いてしまいます。
するとその歯には栄養が行き渡らなくなり歯が弱体化してしまうことがあるためご注意ください。
第2にセラミックの欠け・割れの原因となる行動に注意します。歯ぎしり・外部からの強い衝撃に対して適切に対処しましょう。
問題が発生したときのことも考えて、アフターケアにも手厚い歯科医院を選ぶようにしてください。
美しい前歯を手に入れたいなら
美しい前歯で素敵な笑顔をさらに輝かせたいとお考えなら、審美性・耐久性に優れたセラミッククラウンをおすすめします。
セラミッククラウンの中でもオールセラミックはすべてセラミック製であるため透明感があり見た目も華やかです。
硬度も高いためチッピングの心配もあまりなく、汚れがつきにくいため維持しやすいことが高く評価されています。
セラミック治療で理想の前歯を手に入れて、笑顔の絶えない充実した時間を過ごしましょう。
まとめ
前歯に自信がない方や改善したい部分がある方は、前歯だからこそ慎重に治療方法をお考えのことと思います。
前歯は人の印象を決める重要な部分ですから、慎重の上にも慎重を期した治療計画が必要です。何度もやり直しできませんし、するべきでもありません。
信頼性と耐久性が高い材料を使って、再治療の可能性はできるだけ排除しましょう。
信頼おける歯科医院に前歯の悩みをご相談ください。
進行性の自覚症状がある方は悪化する前に治療を開始しましょう。
早めの対応ができれば、その後の円滑な治療計画が可能になり治療費用も抑えられる可能性があります。
セラミック治療は方針が定まれば治療は短期間。数回の通院の後には見違えるような素敵な前歯があなたのものです。
あなたにピッタリの前歯のセラミック治療法が必ず見つかります。一人で悩まず、まずは歯科医にご相談ください。