埋伏智歯の抜歯手術をして矯正するケースをご解説|埋伏智歯の放置によるリスクもご紹介します

【監修:青山健一】

埋伏智歯の抜歯手術をして矯正するケースをご解説|埋伏智歯の放置によるリスクもご紹介します

矯正治療を始める際、埋伏智歯が障害となり抜歯をする方は多くいます。
しかし「抜歯手術は怖い」というイメージが先行し、埋伏智歯をそのままにしておきたいという方も少なくありません。

埋伏智歯の抜歯手術に迷いがある方に向けて、埋伏智歯の特徴・抜歯手術の手順を解説します。
埋伏智歯を放置しておくことで起こり得るリスクも紹介するため、抜歯手術を選択する際の参考にしてください。

埋伏智歯の特徴

埋伏智歯の特徴

智歯とは世間一般でいわれる「親知らず」のことで、埋伏智歯は骨や歯肉に埋まり完全に萌出してない状態の親知らずを指します。

埋伏智歯の種類や特徴はどのようなものがあるのかを解説します。自分の智歯がどのような状態にあるかを確認しながら参考にしてみてください。

埋伏智歯と水平埋伏智歯

埋伏智歯には「完全埋伏歯」「不完全埋伏歯」「水平埋伏歯」の3種類があります。
完全埋伏歯は骨や歯肉に歯全体が全て埋まっている状態で、不完全埋伏歯は歯冠の後半部分が埋まっていて完全には萌出していない状態です。

水平埋伏智歯は水平に横たわって生えている親知らずのことで、横向きの状態で骨に埋まっているとレントゲンでしか確認できない場合もあります。

水平埋伏智歯は上の歯よりも下の歯に見られる場合が多く、上顎の智歯は水平ではなく傾斜していることが多いです。
智歯は他の歯より生えてくるのが遅いため生えるスペースがなく、埋伏歯になりやすいのが特徴です。

埋伏歯との違い

埋伏歯とは歯の全部または一部が顎の骨や歯肉に埋まっている状態の歯のことで、智歯を含めた全ての歯が埋伏歯になり得ます。

本来萌出すべき時期を2年過ぎても萌出しない歯を埋伏歯とし、子どもの歯が生え変わる時期に永久歯が埋伏歯となっている場合もあります。

永久歯が埋伏歯になると噛み合わせや歯並びに影響を及ぼす可能性があるため、歯科医院での処置が必要です。

埋伏智歯は他の歯に影響を及ぼしていなければ抜歯をしないケースもあるため、埋伏歯の方が早めの対処が必要といえます。

埋伏智歯の抜歯手術をして矯正するケース

埋伏智歯の抜歯手術をして矯正するケース

矯正治療の際に抜歯が必要になるケースは、歯並びに影響を与えている・スペースの確保が必要な場合です。
智歯が歯並びの乱れに影響を与えていると判断した場合には、智歯の抜歯をします。

まっすぐに生えていない智歯をそのままにして矯正治療を続けると歯を動かしにくく、後戻りの原因になるからです。

特に水平埋伏智歯は横向きになっていることで他の歯の歯列に影響を与えやすいため、抜歯をすることが多いです。
また矯正治療で歯を動かすスペースがない場合は、智歯を抜歯してスペースを確保します。

埋伏智歯を抜歯しなくてもよいケース

埋伏智歯を抜歯しなくてもよいケース

上下で揃って生えていて噛み合わせに異常をきたしていない・健康な歯に影響を与えていない・痛みなどの症状がない場合は抜歯をする必要がありません。

顎に対して直立に生えていて、他の歯に影響を与えることなく静かに歯茎に埋まっているだけであれば害はないからです。

ただし埋伏智歯が虫歯などのトラブルにならないように、こまめなお手入れと健診は必要です。
痛み・腫れ・違和感などの症状が出た場合には、速やかに歯科医院で診てもらいましょう。

埋伏智歯の放置によるリスク

埋伏智歯の放置によるリスク

埋伏智歯を放置するとさまざまなトラブルが起こりやすくなります。
自分では気づかないうちに口内トラブルの引き金になっている場合があるため、注意が必要です。
埋伏智歯を放置することで、どのようなトラブルが起こり得るのかみていきましょう。

虫歯や歯周病を起こす可能性が高い

埋伏智歯は歯ブラシが届きにくいところに生えているため、お手入れが難しく虫歯になりやすいのが特徴です。
特に智歯と隣の第二大臼歯の間にできた虫歯は、早期発見が難しくレントゲン撮影で発見されることが多いです。

痛みや炎症などの症状が出てから気づくことが多いため、虫歯治療が困難な状態になると抜歯する必要があります。
少しだけ歯冠が見えている智歯は第二大臼歯との間に深い溝があることが多いため、こまめに歯ブラシを当てて清潔に保つことが重要です。

歯冠周囲炎を引き起こすケースがある

歯冠周囲炎を引き起こすケースがある

 

歯冠周囲炎とは歯肉に汚れが溜まることで起こる炎症で、智歯の周りは汚れが溜まりやすいため炎症が起こりやすくなります。

歯冠周囲炎が悪化すると周囲の組織や顎骨に影響を与えて、顔が腫れる・口が開きにくくなるなどの症状が起こる場合があります。

特に不完全埋伏智歯は不潔になりやすく、炎症を繰り返しやすいため注意が必要です。
何度も炎症を繰り返し、他の歯にまで影響を与えている場合は早めに歯科医に相談しましょう。

埋伏智歯の抜歯の手術手順

埋伏智歯の抜歯の手術手順

埋伏歯の抜歯手術はどのようなものなのか不安になる方もいます。
抜歯の方法や手順を知ることで、手術に対する心構えや不安の軽減に役立ててください。

埋伏智歯の抜歯手術は「下顎埋伏智歯」と「上顎埋伏智歯」で若干手順が異なります。
上顎にある埋伏智歯の抜歯は、比較的麻酔が効きやすく難症例が少ない傾向にあるため手術時間が短く済む可能性があります。

また埋伏智歯の状態によっても下記の手順通りではない場合がありますが、ほとんどの埋伏智歯に適用される方法のため参考にしてみてください。

術前確認

抜歯手術を行う際は手術日を決める前に、十分な診査と診断で抜歯の手順を確認することが重要です。
智歯の周辺に腫れが見られる場合は、薬で腫れを抑えてから抜歯手術を進めていきます。
麻酔が効きづらい方や痛みに弱い方は、麻酔と併行して痛み止めを服用する場合もあります。

寝不足や二日酔いなどの症状は抜歯後の回復スピードを遅めてしまうことがあるため、手術の前日は早めに寝て体調を整えておきましょう。

歯茎の切開を行う

麻酔後に骨膜ごと歯肉を剥がして埋伏智歯を露出させます。
次に抜歯をするスペースを作るために骨を削り、歯の膨らんでいる部分が見える状態にします。

このときに骨を削りすぎると周囲の歯を傷つけたり、組織に影響を与えてしまうことがあるため慎重に切開することが重要です。
上顎埋伏智歯の場合は下顎より骨が柔らかいため、骨を削りやすいのが特徴です。

埋伏智歯の頭と根っこ部分を分割

埋伏智歯は通常歯肉や骨に埋まっているため一塊で抜歯できることは少なく、分割しながら抜歯します。
頭と根っこ部分を分割しても抜けにくい場合はさらに細かく分割し、歯を覆っている骨を削ることもあります。

分割をする際には神経や組織を損傷しないように注意深く分割していき、完全に抜歯が終わったら最後に糸で縫合して終了です。

上顎埋伏智歯の場合は歯冠を分割せずに抜歯するケースが多いです。上顎の場合視野をとるのが難しく、歯根を目視で確認しづらいため分割をせずに抜歯します。

矯正を検討しているけれど埋伏智歯があって不安という方は、下記のリンクから無料相談を承っているためこの機会にぜひご利用ください。

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抜歯後に見られる症状

抜歯後に見られる症状

手術による抜歯のため、抜歯後にさまざまな症状が表れる場合があります。
ほとんどの症状は時間の経過とともにおさまりますが、まれに症状が続いたり大きなトラブルになることもあるため注意深く経過を観察しましょう。

2日程度は出血が見られる

大量に出血が見られる場合は、清潔なガーゼを抜歯部分に当てて10分間ほど強めに噛み圧迫止血をしてください。
圧迫止血をしても出血が続くようであれば、夜間であっても早めに病院に相談しましょう。

2日程度は出血が続き唾液に血が混ざることもありますが、通常は3日目ごろから徐々に落ち着いていくため安心してください。

他には頬が腫れる・口が開けづらい・発熱などの症状が出る場合がありますが、3~4日程度で徐々に軽減されます。

抜歯当日は激しい運動・長時間の入浴・飲酒をすると血行を促進し、出血や痛みが増す場合があります。
抜歯後は安静に過ごすことを心がけ、飲酒も控えましょう。

周囲の歯の損傷・被せ物が取れる場合がある

埋伏智歯の抜歯では智歯周辺の骨を削ることもあるため、周囲の歯に影響が及ぶ可能性があります。
智歯周囲の骨が薄い場合は、骨に亀裂が入りやすい点もリスクのひとつです。

埋伏智歯の周囲の歯に被せ物などをしている場合は、被せ物が取れやすいため手術の際は細心の注意を払います。

感染症を起こす可能性もある

感染症を起こす可能性もある

抜歯後の傷口が細菌に感染した場合、痛み・腫れ・膿が出るなどの炎症症状が起こる場合があります。
感染症は抜歯直後ではなく、術後5日~10日程度経過した頃に症状が現れ始めるのが特徴です。

抜歯後は感染症にならないために、傷口を舌や手で触るなどの行為を避けて口腔内を清潔に保つことが大切です。
感染予防のために抗菌薬が処方された場合には、用法用量を守って飲み切るようにしましょう。

埋伏智歯抜歯が必要な矯正治療なら信頼できる専門医に相談しよう

埋伏智歯抜歯が必要な矯正治療なら信頼できる専門医に相談しよう

埋伏智歯の抜歯は専門的な知識や技術を要するため、専門医に相談することをおすすめします。
埋伏智歯にはさまざまな形があり、自分では抜歯が必要かどうか判断しづらいものです。

専門医に診てもらい、必要であればレントゲンを撮ることで自分の埋伏智歯がどのような状態なのかを把握できます。
矯正治療を始めるにあたって智歯の抜歯が必要であれば、抜歯後の経過を見ながら矯正治療を始められます。

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まとめ

まとめ

矯正治療を始める際に埋伏智歯が虫歯になっていたり、歯列に悪影響を与えていたりする場合には抜歯が必要です。

埋伏智歯とは歯冠の一部または全部が骨や歯肉に埋まっている親知らずのことで、横向きになって生えてくる水平埋伏智歯もあります。
埋伏智歯が虫歯などになっておらず、健康な歯に影響を与えていない場合は抜歯する必要がないケースもあります。

しかし、埋伏智歯を放置すると虫歯や歯周病のリスクが高まったり、炎症を引き起こしたりすることもあるため注意が必要です。

手術後は出血・痛み・腫れなどの症状が起こる場合がありますが、3~4日程度で治まっていくため経過観察しましょう。
まれに合併症を引き起こす可能性があるため、心配な点がある場合は速やかに歯科医に相談することをおすすめします。

埋伏智歯の抜歯は専門的な知識や技術が必要で、術前の診査診断も重要です。信頼できる専門医に相談しながら、納得して抜歯手術を行いましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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