【監修：青山健一】
目 次
欧米人に比べ日本人に出っ歯が多いのは、骨格的な理由と日本人の歯に対する意識が原因です。
近年はオーラルケアの大切さが次第に浸透しはじめ、日本人のなかでも審美的な歯の美しさを追求する方が増えています。
この記事では日本人に出っ歯が多いのはなぜかを中心に、日本人の歯並びの特徴や出っ歯の治療法などをご紹介します。
日本人はなぜ出っ歯が多い？
日本人は欧米人に比べて出っ歯になりやすい顎骨の構造のため、不正咬合になりやすいです。
また、歯に対する意識の低さから子どものうちに治療をしない方も少なくありません。そして成人しても出っ歯を放置して、歯や歯茎のトラブルに悩まされている方も多いのです。
ここからは日本人の出っ歯の原因といわれている骨格の問題と、欧米との意識の差について解説していきます。
日本人の歯並びの特徴
欧米人の顎はアーチが横長で歯の生えるスペースが十分確保されています。
しかし、日本人は上顎のアーチが狭く縦長で、顎に対して歯が入り切らず不正咬合になりやすい傾向にあります。
不正咬合はさまざまなパターンがあり、スペースが狭いために歯がガタガタと生える叢生は日本人の歯列トラブルで1番多い症例です。出っ歯は上顎前突と呼ばれています。
欧米と日本人の歯並びへの意識の違い
ここからは欧米人と日本人の歯並びに対する意識の違いについてご紹介します。
欧米人は歯のメンテナンスに対する意識がとても高く、歯はその人の生活環境や教養の程度を表すといわれています。
日本人との意識の違いはどのような点なのでしょうか。
八重歯に対する価値観の違い
欧米人が日本人の歯に対する意識で特に不思議に思うことは、八重歯をそのままにしている人がいることです。
八重歯は日本人ならばチャームポイントとみなされますが、欧米人からは「ドラキュラ・トゥース」と呼ばれるドラキュラの歯のように見られています。
キリスト教思想が影響しているといわれていますが、欧米で八重歯は決して可愛らしいものではありません。
邪悪なドラキュラを思わせるため、治療しなくてはいけないという考え方が一般的です。
歯列矯正に関する考え方
ここからは、欧米人の歯列矯正に関する考え方をご紹介します。日本人は歯列矯正というとネガティブなイメージを抱くことが多いです。
欧米では「矯正するのが当たり前」という思想が深く根付いています。
矯正装置に対して「費用が高い」「口を開けたときに装置が目立つから恥ずかしい」というイメージを持っている日本とは真逆です。
欧米ではワイヤー矯正のように矯正器具が目立つほうが好まれており、矯正＝経済力があるステータスの証とされてきました。
しかしワイヤー矯正は歯が動くときの痛みや歯磨きがしにくいなど、複数のデメリットが存在します。
そこで2010年代にアメリカで開発されたインビザラインは、従来のワイヤー矯正の不便さがない画期的な矯正装置として登場しました。
いくらステータスの証でも、装着していて楽なほうを選びたいのは日本人とアメリカ人も同じようです。
歯の健康への意識
矯正だけでなく歯の健康への意識も日本人と欧米諸国では違いがあります。
先に述べたように、審美的な面を非常に重要視していることに加えて、欧米では歯科治療の保険制度がないために民間の保険か自費治療です。
そのため、自分自身で虫歯や歯周病などの歯のトラブルにならないように丁寧に歯磨きを心がけています。
デンタルフロスなどのケア用品を使ってできるだけの自己管理することは欧米では普通のことなのです。
歯列矯正について気になること・不安な点がありましたら、無料の矯正相談をご利用ください。下記リンクより予約できます。
日本人に多い出っ歯の原因
ここからは日本人の出っ歯の原因について解説します。
日本人の顎の骨格は縦に長く、歯が生え揃う十分なスペースが足りないため不正咬合になります。
不正咬合は出っ歯のほかにさまざまな症例があり、日本人に最も多いのは歯がガタガタに生える叢生です。
次に上顎前突(出っ歯)・空隙歯列・開咬と続きます。受け口はそれほど多くはありません。ここでは出っ歯の原因について解説します。
遺伝
出っ歯には遺伝的要素が約3割あるといわれています。ご家族に出っ歯の方がいる場合は遺伝の確率は高いです。
生まれつき下顎より上顎が前に出ている方は遺伝性の可能性があります。
また、顎のサイズと歯の大きさが合わない場合も出っ歯になることもあり、歯がきれいに並ぶスペースがないため前にあふれて出っ歯になるか、折り重なって生える乱杭歯になります。
この場合も遺伝によるものです。
食生活の影響
骨格には遺伝のほか、幼少期の生活習慣や食生活も骨格に大きく影響します。
食生活の欧米化は日本人の健康にさまざまな弊害をもたらしていますが、不正咬合の要因にもなっていることが実情です。
和食に代表される昔ながらの食品は歯ごたえのあるものが多く、噛むことにより顎が育ち、きれいな歯並びを生み出します。
しかし、柔らかく噛まなくてもよい食品が増えたために、顎がうまく育たずに不正咬合になる症例が増えてきました。
和食中心の食生活に切り替えるほか、例えばドライフルーツやナッツを間食にするなど、よく噛むことを習慣づけたいですね。
口呼吸や舌癖
口呼吸や舌癖は無意識のうちにしていることが多いです。舌をペロッと前に出す舌癖は舌で歯を内側から押し出しているため、出っ歯の原因になります。
そして口呼吸は、唇で外側から前歯を押さえる力が弱いために歯が前に出てしまいます。
もしもお子様にこれらの癖があるならば、出っ歯の原因となるため早くやめさせるようにしましょう。
虫歯や歯周病
虫歯や歯周病も出っ歯の原因になります。
特にお子様の乳歯が虫歯によって通常より早く抜けてしまうと、空いたスペースを埋めようと残った周りの歯が動いてしまい歯並びが乱れます。
乳歯は生え変わるからと放置せずに、早めに歯科医師の診察を受けましょう。
出っ歯が与える影響
出っ歯は容姿のコンプレックスの原因となるほか、発音がしにくい・噛みにくいため食事がしにくいといった見た目以外の影響もあります。
ここでは、3つの代表的な影響について詳しく解説します。
コンプレックス
出っ歯に悩む患者様の多くが外見のコンプレックスで悩んでいます。
笑ったときの歯が気になって手で口元を隠してしまう、話しているときに相手の視線が気になってしまうなどの苦しみを抱えています。
噛みにくい
出っ歯の方は食べ物が噛みにくく、前歯で噛み切れないといったお悩みがあります。特に麺類は噛み切れないと敬遠する方もいらっしゃいます。
さらに噛み合わせの悪さもあって噛む力が弱くなるほか、歯並びのよい側だけで噛む片噛みの癖がついて歯並びの悪化の原因です。
発音しにくい
さらに、出っ歯が原因で発音がしにくいということが起こります。出っ歯は歯と歯の間に隙間ができて空気が漏れている状態です。
言葉によっては発音が難しく感じることがあり、隙間が大きくなることでより発音がしにくくなります。
出っ歯の治療方法
出っ歯が与える影響の次は、出っ歯の治療方法について解説します。出っ歯の治療方法として一般的なのは歯列矯正です。
先に述べたように日本人は歯列矯正は装置が目立って恥ずかしいなどのイメージを抱きがちです。
しかし、インビザラインに代表される目立たない矯正装置が開発されて、矯正していることが気づかれにくくなりました。
ワイヤー矯正もブラケットとワイヤーが白や透明などの歯になじむ目立たない色になっているなど、見た目も考慮した矯正装置も登場しています。
そして、歯を動かさず矯正できるセラミック製の被せものも登場しています。この3つの矯正方法について解説します。
ワイヤー矯正
ブラケットという矯正装置にワイヤーを通して、少しずつ歯を動かして正しい位置に導き歯並びを改善する治療法です。
出っ歯は前歯だけがきれいに出ているものもあれば、叢生などさまざまな症例が合わさって複合的な不正咬合の症例になっている場合も多くあります。
複合的な症例の場合にはワイヤー矯正が効果的です。デメリットが多いですが、治療実績が多く、最も信頼できる矯正方法です。
マウスピース矯正
薄く透明なマウスピースを歯に装着して歯並びを矯正する矯正方法です。
マウスピース矯正は歯を抜かない矯正には対応可能ですが、歯を抜いて行う矯正治療の症例では対応できない歯科医院が多いというデメリットもあります。
装置が目立たなくて食事の際も取り外せると魅力的ですが、患者様の症例によっては適さない場合もあります。
マウスピース矯正を選択するかどうかは歯科医師の判断です。
セラミック矯正
セラミック矯正は従来の矯正方法とは違い、自分の歯を動かして矯正するわけではありません。
患者様の歯を削ってセラミックでできた被せものをして、歯並びを整える方法です。矯正治療というよりは、審美歯科的な領域になります。
セラミックは自分の歯のように自然に見えるため、矯正装置の見た目が気になる方に最適です。
また、結婚式などの一大イベントが迫っているなどお急ぎの場合でも歯並びを整えられます。歯を動かさないため痛みもほとんど感じません。
歯列矯正の方法についてもっと詳しく知りたいという方のために、無料の矯正相談を行っています。下記リンクより予約可能です。
出っ歯の悩みは歯科医師に相談しよう
出っ歯でお悩みで治療を検討しているならば、矯正治療の経験が豊富な歯科医師に相談することをおすすめしています。
「出っ歯を治したいけど敷居が高くて…」とお悩みでしたら、ご相談だけでも可能です。
国際的な舞台で活躍したい方や、海外でビジネスを始めたいという方は歯並びの美しさはもはや成功への必須条件です。患者様の将来への投資にも繋がります。
いま悩んでいらっしゃる矯正についての、どんなささいなお悩みにもお答えします。
まとめ
なぜ日本人に出っ歯が多いのかについて解説しました。歯に対する意識は欧米人と比較するとまだまだ開きがあります。
歯列矯正に関してはどこかハードルが高いと思われがちですが、出っ歯を放置しておくのは見た目だけでなく患者様の健康にもよくありません。
歯並びを整えることは成人してからも可能ですし、お子様でしたら歯が動きやすい成長期に矯正治療をすることで早く治療を完了できます。
治療に入る前に十分なカウンセリングを行って患者様に納得していただいてから治療を始めるため、カウンセリングの段階で治療をするかどうかを検討していただいて構いません。
患者様のご要望をできる限り優先して治療を行っており、私たち歯科医が明るい未来のためにお手伝いします。
1965年 広島県呉市生まれ
