【監修:青山健一】
目 次
歯並びをそろえたいという希望は多くの方から寄せられます。
歯並びを整えたいとの強い希望で来院された方の中にも、歯並びをそろえるためには歯を動かすことが必要だと説明されると不安そうな顔になってしまう方もおられます。
今回は、大人が歯列矯正でアーチを広げるメリットについて詳しく説明していきますが、少しでも皆さんの不安を解消できることにつながることを願っています。
歯列のアーチを広げる目的
歯列矯正は歯並びが悪い状態の歯を動かして整える治療ですから、動かすためのスペースを空けるという作業が必要です。
一般的には矯正装置を使ったり歯を削ったりという治療を行い必要なスペースを確保しますが、歯列のアーチが狭いと判断された場合は歯列全体を広げる治療が必要になります。
歯と歯の間のすき間を空けるという部分的な矯正ではなく、歯列のアーチ全体を広げて歯を正しい位置に動かせるスペースを空ける全体矯正が選択されます。
アーチを広げると顔が大きくなる?
口の中の歯列のアーチを広げることにより「顔が大きくなる」と誤解されている方がいらっしゃいますが、顔が大きくなることはありません。
歯列全体のアーチを広げたことによりデコボコしていた歯が正しい位置に戻り、口元のでっぱりが解消され顔の輪郭も整ったという事例もあります。
正しい治療法を知り治療結果を見ていただくことで安心して治療を始めることができますから、いろいろな情報に触れてみることが大切です。
アーチを広げる方法
歯列のアーチは人によって形も広さも異なり、アーチを広げる方法も状態によって治療方法を選択します。そのためにも、経験豊富な専門の歯科医師による治療前検査が不可欠です。
歯列矯正は目に見える部分だけの矯正ではなく全体の矯正や顎・顔の骨格にまで影響することがあるため、歯科医師は検査結果と豊富な治療経験から最適な治療計画を立てます。
歯科医師は治療中も治療後も患者様の負担や不安をなくすとともに、術後の生活に笑顔が見られるよう最適で無理のない計画を提案します。
顎を少しずつ広げる
歯列のアーチを広げるために口の中の全体のスペースを広げることを考えますが、その方法の1つが急速拡大装置です。
急速拡大装置は口の中に入れた装置をワイヤーで両側の歯に固定し中央部にあるダイヤルで広げる力を調節して左右に歯と顎の骨を動かす装置です。
メリットは短期間である程度の顎の骨の拡張ができることですが、顎の骨がやわらかい年齢にしか使えないことはデメリットになります。
歯を削る
歯を削る方法をストリッピングと呼びますが、歯の表面のエナメル質の厚い部分を薄く削るため、痛みもなく麻酔の必要もありません。
事前の口腔内検査で歯の状態や歯と歯のすき間を調べたうえで必要な部分だけ削り、歯を動かすスペースを確保します。
このストリッピングはただ歯を削るだけではなく歯の形や大きさを整えることができますから、歯並びの見た目が良くなるメリットがあります。
歯列矯正
歯列のアーチを広げる最終目標は、歯列の矯正です。アーチを広げることで歯と歯の間のスペースが確保できると歯を動かして歯並びを改善することができます。
歯列の矯正によって歯磨きの効果が高まり、口腔内の衛生状態が良くなり虫歯リスクが大幅に軽減することが可能です。
歯列の矯正は見た目のきれいさばかりでなく術後の噛み合わせの改善などに大きな影響を与えますから、積極的に歯列矯正に取り組まれることをおすすめします。
不安なことがありましたら、下記のページから無料の矯正相談を予約してください。
歯列矯正でアーチを広げるなら
歯列矯正でアーチを広げることの目的について説明してきましたが、ここではいくつかの具体的な矯正の方法について説明します。
矯正治療は治療期間が長く治療費用も高額ですが、治療前に感じていた不快感や不安感が改善されることは大きなメリットです。
新しい治療方法も開発されてきましたから、希望される治療方法を専門とする歯科医院を探して相談してみましょう。治療期間や費用の軽減もできる方法も歯科医院にお尋ねください。
インプラント矯正
インプラント矯正は、歯茎の骨に埋め込まれたアンカーというネジを固定源としてそこにワイヤーをひっかけて歯を一定方向に引っ張る矯正方法です。
固定源を使うことによりワイヤーで引っ張る方向が固定されるため、特定の歯にだけ力がかかることから他の歯の負担がなくなり無理のない治療効果を得られます。
インプラント矯正により今まで難しかった歯を奥に引っ張ることが可能となり、歯列のアーチ全体が広がるスペースを確保することが可能になりました。
インビザライン
インビザラインはマウスピース矯正の代表的な装置です。1日20時間以上歯に被せ続けるため、素材の弾性を使って歯をゆっくり動かす動作を継続できます。
マウスピース素材は透明なため目立ちにくく人目を気にしないで治療を続けられるという特徴があります。矯正治療は長期間継続することが必要ですから、適切な装置です。
インビザラインは自身で取り外しができますから、食事のときや人と会うときも普段通りに過ごせますから精神的な負担は少なくなりました。
カリエール
カリエール矯正は、インビザラインやブラケット矯正の準備段階で犬歯から臼歯までの歯の位置を正しくするために補助的に使われる矯正装置です。
犬歯から臼歯までの歯の位置を補正することで他の矯正装置の本来の働きを助け効率的な治療を可能としました。
カリエール矯正を併用することでブラケットだけの治療より30%以上の治療期間の短縮が図れたという事例もありますが、適応する症状が限定されるため歯科医師の診断が必要です。
プレート矯正
プレート矯正は、取り外しタイプの矯正装置を帰宅後の8~10時間装着することで内側に倒れ込んだ歯列が立ち上がり歯列が広がることができる矯正方法です。
プレート矯正のメリットは、下記のとおりです。
- 非抜歯の治療である
- 装置の取り外しが自分でできる
- 帰宅後装着するため周囲に気づかれることがない
- 年齢に関係なく装着できる
- 矯正後の後戻りがない
プレート矯正は顔の内側の骨格を変化させるため、いびきや顎関節炎の解消など歯列矯正以外の症状の改善も報告されています。
MEAW
MEAW矯正はMEAWワイヤーという独自のワイヤーを使った矯正治療で、今までできなかった垂直方向の動きや奥への動きも可能になりました。
MEAW矯正では、倒れている歯をまっすぐにしたり歯を奥に動かしたりするだけでなく噛み合わせの調整ができることが大きな特徴です。
MEAW矯正で治療することで、さまざまな治療を1つの矯正装置で行うことができるため治療期間の短縮が図れます。
この治療には専門的な技術と治療経験の豊富な歯科医師にご相談ください。
大人が歯列矯正でアーチを広げるメリット
小さい子が矯正治療を始める場合は保護者からの希望で治療を始めることが多く、治療や通院を嫌がるなど積極的に治療に参加することはあまり多くありません。
大人は自身の希望で治療を始めるために積極的な治療への参加が期待でき、治療効果が高いことが知られています。
歯列矯正でアーチを広げる治療を始める場合も、下記のようなメリットがあります。
- 治療の内容を理解し協力的である
- 永久歯であるため、歯の生え変えを待たずに治療できる
- 歯科医師と相談して治療装置を選べる
- 治療計画や変更をすぐに決めることができる
- 分からないことや治療内容を質問できる
歯科医師と意思の疎通ができることにより信頼関係が生まれ、積極的な治療への参加ができるため全体の治療期間を短縮することが可能です。
治療のタイミングが選べる
患者様が大人ですからご本人のスケジュールに合わせて治療予定を計画でき、治療の変更も可能となるため待ち時間の少ない治療につながります。
体調に合わせて、治療の実施か休止かの判断を求めることができますから、患者様の仕事や体への負担を解消することが可能です。
状況によって治療方法の変更や追加がある場合でもその都度決断を求めることができるため、時間を空けずに治療を継続できます。
自分の意志で治療を開始できる
大人は自分の希望で治療に来ているため、自分の体調やスケジュールを考えて治療の時期を決めることも休止することもできます。
治療中に自分で感じた違和感や不安を歯科医師と相談できますから、医師と十分協議したうえで自身で納得した治療を受けることが可能です。
このように積極的な治療参加は、不安なく治療が受けられるとともに治療効果を高め全体的に治療期間を短縮することにつながります。
治療内容・方針をよく理解できる
治療前検診からしっかりと医師と話し合い治療を始めるため、進行状況がわかり安心して治療を受けることができます。
状況が変わったり新たな治療内容が出たりしても歯科医師の説明を受けることで歯科医師の意図を理解した治療参加が可能です。
治療内容を共通理解しているため、日常の歯磨きなど虫歯予防に積極的に取り組むことができ治療効果を高めることができます。
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場合によっては抜歯が必要なことも
歯列矯正でアーチを広げることの説明をしてきましたが、全ての場合に歯列矯正に必要なスペースを確保できるわけではありません。その場合は、抜歯を選択することがあります。
矯正治療では治療前検査を実施しますが、治療前検査は患者様の口腔内の状況をすべて把握して最適な治療方法を検討するための情報を集めるために必要な検査です。
歯科矯正の目標は、治療後に患者様が笑顔で生活することができるように口腔内を整えることですから、必要な治療として抜歯という選択肢も含まれます。
患者様のご希望で抜歯をしないことを前提に治療を進めようとしても、抜歯しないことから生じる今後のリスクがある場合は抜歯を選択することを提案することは歯科医師の責務です。
歯列矯正でアーチを広げたい大人の方は専門医に相談を
歯列矯正でアーチを広げる治療を希望される場合は、確かな知識と豊富な治療経験を持つ歯科医師に相談してください。
歯列矯正は症状によってさまざまな治療装置や治療方法があり、患者様の口の中の状況により更にいくつもの手立てがあります。
歯列矯正でアーチを広げる矯正治療でも、患者様がどの事例に該当するのかを検討できる歯科医師でなければ正しい治療計画を立案できません。
治療後の笑顔のためにも、専門の歯科医師に相談することが大切です。
まとめ
今回は、歯列矯正でアーチを広げることについて解説してきましたが、お役に立つことができたでしょうか?
歯科矯正はさまざまな原因によっておこる不具合ですから、その原因と対処方法を知っている歯科医師に相談してください。
確かな知識を持ち豊富な治療経験を持つ専門の歯科医師が、最適な治療法とその方法に適したあなたのための治療計画を提案します。