ペンデュラムによる矯正治療の特徴を歯科医が解説|メリット・デメリットも紹介します

【監修:青山健一】

ペンデュラムによる矯正治療の特徴を歯科医が解説|メリット・デメリットも紹介します

歯並びが悪いときちんと磨いたつもりでも磨き残しが多く、虫歯や歯周病など口腔内のトラブルが起こる原因になります。
また、人前で口を開くことに抵抗があり笑顔で会話ができないといった悩みを抱える人は少なくありません。

そんな悩みやトラブルを解消することができる方法のひとつとして、歯列矯正があります。
矯正治療に使用する装置には症状や状態に合わせていくつか種類があり、今回紹介する「ペンデュラム」もそのひとつです。
ペンデュラムによる矯正治療について、メリット・デメリットも含めて歯科医が詳しく解説します。

ペンデュラムの特徴

ペンデュラムの特徴

矯正治療で使われる装置のひとつであるペンデュラムですが、どのような装置なのでしょうか。その使い方や特徴などについて詳しく解説していきます。

奥歯を後方へ移動させる装置

ペンデュラムとは、6歳臼歯を後方へ移動させるときに用いる装置で、顎が小さい・幅が狭いなどの理由で本来歯が生えるべき場所にスペースがないケースで使用します。
ペンデュラムでの矯正によってできたスペースに埋もれたり、はみ出したりしていた歯が並ぶことで本来の歯並びの位置に歯が生え歯列が整います。

矯正治療の初期に使用する

矯正治療の初期に使用する

乳歯が抜けたあとに6歳臼歯が前に倒れてくると、歯の間隔が詰まってしまい新しい歯が生えるスペースがなくなってしまいます。
そうなると、本来の位置に永久歯が生えてこられなくなり、がたがたになったり埋もれたりします。

歯列を矯正するためには先ず永久歯が生えるための土台作りをしなければなりません。
その土台作りのために矯正治療の初期にペンデュラムを使用して大臼歯の位置を後方にずらすことにより、本来の歯並びのためのスペースを作ります。

ペンデュラムを使用するメリット

ペンデュラムを使用するメリット

歯列矯正でペンデュラムを利用するとどのようなメリットがあるのか具体的にみていきましょう。

6歳臼歯を確実に移動できる

ペンデュラムを使用すると、6歳臼歯を確実に後方に移動させることが可能です。
特に子どもの場合、成長期で顎の間隔が拡がりやすいことから、6歳臼歯を移動させることで本来歯が生えるべき位置にスペースができ、歯列への土台作りができます。

矯正器具が見えにくい

矯正器具が見えにくい

装置は歯列の内側にあり、ワイヤーも奥歯に装着するため外側からは矯正器具が見えにくいというメリットがあります。
矯正治療では、口を開けたときに矯正装置が見えることを気にして諦める人が少なくありません。

矯正装置が目立たないことを望む方やまわりに気づかれずに矯正治療したいと考える方に人に向いているといえます。

抜歯の必要性を減らせる

ペンデュラムを使用することによるメリットの中でも大きいものとして、抜歯の必要性を減らせるという点があげられます。
6歳臼歯を確実に移動させることで抜歯をすることなくスペースが確保でき、本来の位置に新しい歯が生えて目標とする歯列に近づけられます。

健康な歯を抜歯することに抵抗がある人も多く、抜歯せずに矯正治療ができる方法のひとつとしてペンデュラムは有効です。
しかし、歯列矯正する際に抜歯をしなければならない症例もあるため、医師とよく相談しましょう。

歯列矯正について相談したい方は下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。

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ペンデュラムを使用するデメリット

ペンデュラムを使用するデメリット

一方で、ペンデュラムにはメリットだけでなくデメリットもあります。具体的にみていきましょう。

装着開始時の違和感が大きい

ペンデュラムは装置そのものが大きいため、矯正治療を開始したばかりの頃は違和感があり、人によっては慣れるまで多少の時間がかかることがあります。
歯の内側に通ったワイヤーと舌が当たるため、会話をするときや食事をするときなどに違和感を覚えやすいですが、通常は数日で慣れてくるのがほとんどです。

歯磨きがしにくい

ペンデュラムは歯の内側を通るため矯正装置のワイヤー部分などに食べものが挟まりやすいのがデメリットで、虫歯や歯周病を防ぐにはしっかり歯磨きをする必要があります。

矯正治療を行なっているなかで虫歯になってしまっては、せっかく歯並びを整えても本末転倒になってしまうため、気をつけなければなりません。
ワイヤーに歯ブラシがひっかかり磨きにくい場合は、定期的に歯科医院に通院して口腔内を洗浄してもらうことをおすすめします。

ペンデュラムを使用した矯正治療の流れ

ペンデュラムを使用した矯正治療の流れ

矯正治療を行う場合、まずは専門の矯正歯科にて治療方法する際の矯正にかかる期間・費用・症例などについて説明を受けます。
説明を聞いたうえで治療を希望するということであれば、レントゲン撮影や口腔内の詳しい検査を受け、状態に合わせて具体的な矯正治療計画を立てることになります。

矯正治療を開始したあとも定期的に通院をして経過を観察し、装置によって顎を拡げるためのねじの調整などが必要です。
個人差はありますが、半年から数年かけて目標とする歯並びを目指し、矯正していくこととなります。

目標の歯列に整ったあとも歯並びが元に戻ってしまうのを避けるため、保定装置を取り付けて一定期間は経過観察しなければなりません。
矯正治療はこの保定期間も含めて治療期間と考えます。

ペンデュラムは大人の矯正治療にも使用できる?

ペンデュラムは大人の矯正治療にも使用できる?

ペンデュラムによる矯正治療は大人もできますが、顎の成長が完了してしまっているため歯が動きにくく、大臼歯を大きく移動させるには治療期間が長くかかると考えられます。
大臼歯を後方に大きく動かすことが目的の装置のため、歯の動きやすい成長期の子どもの矯正治療に使われることの方が多いです。

ペンデュラム以外の固定式拡大装置

ペンデュラム以外の固定式拡大装置

矯正治療に使われる装置にはペンデュラムのほかにもいくつかの種類があります。具体的にみていきましょう。

GMD

GMDはペンデュラムと同じく、本来の位置に歯が生えるスペースを開けるために大臼歯を後方へ移動させる矯正装置で大臼歯に装置をセメントで固定して装着します。

ペンデュラムとの相違点は、大臼歯のほかに小臼歯にも金属のリングを装着するため、外側から装置の一部が見えやすい点です。
しかし、GMDもペンデュラム同様に抜歯をせずに矯正治療ができる矯正装置として注目されています。

クワドヘリックス

クワドヘリックス

クワドヘリックスは上顎の歯列の幅を拡げるための矯正装置です。
叢生(そうせい)と呼ばれる八重歯やでこぼことした状態の歯並びや傾いて生えてしまった歯の矯正に用いることが多いです。

成長期にある子どもに使用されることが多いですが、使用年齢に特に制限はないため大人でも矯正治療の過程で取り入れられる場合もあります。
奥歯に装置を固定して太めのワイヤーが歯列の内部に通る仕組みで、装置をつけてすぐは歯が動き出したことによる痛みが出ることがありますが、多くは数日で収まります。

食べものを噛む時に痛みを感じることもありますが、短期間で慣れる方がほとんどです。
ヘリックスと呼ばれるループ状のワイヤー部分に食べものが挟まりやすいことがデメリットとして考えられます。
そのため引っ掛かりやすい食材を避けるなどの工夫をしたり、歯磨きの際にいつも以上に気をつけたりする必要があります。

急速拡大装置

急速拡大装置はペンデュラムと同じく顎の幅を拡大するために用いられる矯正装置で、小臼歯と大臼歯にバンドを取り付け、上顎に固定して使用します。
他の装置と異なる点は、「急速」と名がついている通り、他の矯正装置に比べて短期間で目標の拡大に到達できる点です。

成長期の子どもは上顎の骨が完全にはくっついていないため、この装置を使うことで短期間で大きな効果が期待できます。
レントゲン撮影などですぐにでも生えてきそうな歯が確認できたときに、他の器具より早く結果の出やすいこちらの装置を選択することもあります。

ペンデュラムを使用した矯正治療なら専門医に相談

ペンデュラムを使用した矯正治療なら専門医に相談

ペンデュラムを使用した矯正治療を開始するためには外見でわかる歯並びだけでなく、顎や咬合(こうごう)の機能・骨格の検査・口腔内の精密検査が必要不可欠です。
その検査結果によって患者の状態を見極めたうえで治療計画を立てる必要があることから、矯正治療に関する深い知識や経験のある専門医に相談することが大切です。

日本矯正歯科学会では、患者自身が矯正歯科を選ぶ基準として認定医・指導医・臨床指導医という制度があります。
ホームページでは都道府県ごとの認定医・指導医・臨床指導医を探すことも可能で、治療する歯科を探す際の参考として活用してください。

まとめ

まとめ

ペンデュラムによる矯正治療について、メリット・デメリットも含めて解説しました。
歯列の矯正治療は、歯並びを治して人前で気にせず口を開けて笑えるようになりたいといった理由で始めた人が少なくありません。

もちろん、それも前向きな日々を過ごすための大きな理由のひとつですが、実際には審美目的だけでなく、歯並びが悪いことによる滑舌の悪さや咀嚼がうまくできないなどの深刻な悩みを抱えている人も多くいます。
大人になると骨格は完成しているため、顎の幅を拡げるのに時間がかかったり、場合によっては外科手術が必要になったりすることも多いです。

歯並びやかみ合わせに不満や疑問があるならば、なるべく早く矯正治療の専門医のもとに相談に訪れることをおすすめします。
信頼できる専門医と相談しながら、自分に一番最適な矯正治療の方法を決めて医師と協力して目標とする歯並びを手に入れましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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