【監修:青山健一】
目 次
普段の生活において重要な部分の一つが歯です。その分、歯の事でさまざまな悩みを抱えている人は多いです。その中でもすきっ歯で悩んでいる人も多いです。
今回はそんなすきっ歯で悩んでいる方、子供のすきっ歯が気になっているという方に正中離開について特徴や原因、治療方法について詳しく紹介していきます。
正中離開の特徴
正中離開には下記の特徴があります。この特徴により、普段の生活や今後の生活にさまざまな影響を及ぼすことが多いです。
いわゆる「すきっ歯」
歯と歯の間に2ミリ程の隙間がある、いわゆるすきっ歯の状態をいい空隙歯列ともいいます。この隙間がある事でサ行の発音がしづらいなどの日常生活に支障が出る事が多いです。
真ん中の前歯の間に隙間がある
特に正中離開で多いのが真ん中の前歯に隙間があるケースです。特に真ん中の前歯は、歯の中でも一番見える部分のため、見た目など悩まれている方も多いです。
また、子供の場合では顎の発育に影響を及ぼす恐れがあります。
正中離開の原因
正中離開になってしまう原因は複数あり、人によって原因はさまざまです。ここからは正中離開になってしまう原因について詳しく紹介していきます。
顎と歯のバランスが合っていない
正中離開になってしまう原因の一つには、顎と歯のバランスが大きく関係しています。
これは成長過程で歯を舌で押してしまう事が原因で、上下の顎の成長が釣り合わず上の顎の成長が不十分になってしまい顎と歯のバランスが合わなくなってしまうのです。
その結果、歯と歯の間に隙間が出来てしまいすきっ歯になってしまいます。
歯の大きさ
次に原因として挙げるのは歯の大きさです。元々歯のサイズが小さい矮小歯の場合、歯と歯の間に隙間が出来てしまいすきっ歯になってしまいます。
また、歯の生えている位置も通常生える場所からズレてしまい隙間が出来てしまう事もあります。
歯の本数
歯の本数も正中離開に関係します。本来永久歯は親知らずを含め32本生えるものです。しかし、先天性によるもので通常より生えてくる永久歯が少ない場合があります。
また、中には通常よりも永久歯が多く生える人もおり、その過剰歯が前歯の間に埋まってしまう事ですきっ歯の原因になってしまう事例もあります。
上唇小帯の異常
上唇小帯が異常に発達していると正中離開の原因になります。
上の前歯の中央部分にあるヒダが肥大して歯の間にまで達してしまう事で歯の間に隙間が出来てすきっ歯になってしまいます。
口内トラブルも引き起こしてしまうため、早めに対応した方がよいです。
正中離開は見た目への影響も大きい
正中離開の一番の問題は、やはり見た目です。歯は食事だけでなく、人と会話している際にも目立つものです。
特に中央の前歯は目立つため、笑ったときなどふとしたときに気になってしまう人も多く、実際にコンプレックスになってしまっている方も多くいます。
正中離開を治す方法
正中離開にはいくつかの治療方法が用意されています。ここからは治療法はもちろん、治療期間の目安や費用相場についても触れていきます。
治療を検討している方は是非参考にして、かかりつけの歯科医や受診予定の歯科医への相談がおすすめです。
歯列矯正
正中離開の歯列矯正治療には「全体矯正」と「部分矯正」があり、それぞれワイヤー矯正(表面・裏面)とマウスピース矯正があります。
ここでは全体矯正の治療方法について詳しく紹介していきます。
ワイヤー矯正(表面)は、歯の表面にブラケットを装着してワイヤーを通す手法で治療期間は1~2年程度かかる治療法です。
この手法は重度のすきっ歯でも対応でき、発音や咀嚼に影響もなく噛み合わせの矯正も平行して可能であるというメリットがあります。
ワイヤー矯正は、4週間に一度の通院が必須です。
マウスピース矯正(インビザライン)は、透明なマウスピースを使って歯全体を矯正する手法で治療期間は1年半~2年半程度かかる治療法です。
矯正しているのが目立たず、取外し可能で手入れがしやすく虫歯・歯周病などのトラブルも起きにくいなどのメリットがあります。
デメリットは、ワイヤー矯正と比べると後戻りしやすく装着時間を自分で管理しなければいけない手間、歯周病の方やインプラントが多い方は治療出来ないケースもあるため注意が必要です。
費用相場はワイヤー矯正(表面)で60~90万円、裏面で120~150万程です。マウスピース矯正(インビザライン)は50~100万円が相場となっています。
すきっ歯の状態や歯科医によって治療期間や費用の内訳など異なるため、受診する歯科医にあらかじめ聞いておくのがおすすめです。
コンポジットレジン修復治療
コンポジットレジン修復治療は、問題のある部分に直接埋めて固める治療方法で治療期間が短く、金属アレルギーのある方でも治療可能である事や歯の色に近く目立つことがないため、見た目を気にする必要がないメリットというがあります。
しかし、デメリットもあり金属ほどの強度はなく、変色など経年劣化により見た目が悪くなる事も多いです。
他にも虫歯や口臭の原因になったり、コンポジットレジンや接着剤アレルギー、治療箇所によっては対応できない場合があります。
治療する歯科医の技術によって持ちや強度も変わってきます。
また、費用に関しては治療する本数によっても変わってくるほか、審美を目的とした治療の場合保険適用外になります。
ラミネートべニア法
ラミネートべニア法は、歯列矯正に比べて短い期間ですきっ歯を治療できます。歯の表面を削り、セラミックのシェルを歯に接着して歯の隙間を埋めるという治療法で強度も高く変色や外れる事も少ないです。
ただし、経年や変色によって外れてしまう可能性、食いしばりが強い場合は割れてしまう可能性もあります。
歯科医によっては、歯の切削工程がない場合もあるため気になる方は治療する歯科医への事前の確認がおすすめです。
また、虫歯や歯周病など歯の状態によっては、虫歯などの治療が優先される場合が殆どのためすぐに治療してもらえない場合もあります。
セラミッククラウン法
セラミッククラウン法は、歯にセラミックで作られた人工歯を被せる形で隙間を埋める治療法で治療期間は1~2ヶ月の場合が殆どです。
この治療法はすきっ歯の治療だけでなく歯の形を改善したいといった方が選ぶ事が多く、矮小歯に被せて隙間を埋めて修正する症例もあります。
また、歯の色など審美でもメリットがあり、耐久性にも優れているため継続的なケアをする事で20年以上持つこともあるものです。
セラミッククラウン法には、セレッククラウンやオールセラミック、ジルコニアセラミック等といった種類があり、病院によって対応できる治療が異なるため病院へ事前に確認した方がよいです。
費用は、10万円から15万円前後が相場となっており治療する歯の本数やセラミックの種類、治療内容によって異なります。
前歯だけなら部分矯正という選択肢も
前歯のすきっ歯だけ治療したい方や軽度の正中離開だと診断を受けた方、費用を抑えたい方は部分矯正も選択肢の一つです。
部分矯正にもワイヤー矯正(表面・裏面)があり、治療方法は全体矯正の治療と変わりません。
マウスピース矯正では、全体矯正にもあるインビザラインの以外にもインビザライン(Go)と格安マウスピース矯正の2つがあります。
インビザライン(Go)は、前歯部分のすきっ歯を矯正する事が可能です。軽度のすきっ歯に適しており手法で治療期間は3ヶ月~半年程度かかる治療法です。
装着時間を遵守していれば治療が進みやすい治療法ですが、噛み合わせなどの矯正には対応できない事や治療出来る医院が限られている事などがデメリットに挙げられます。
格安マウスピース矯正は、前歯12本を矯正するマウスピースを使った前歯矯正の手法で5ヶ月~1年3ヶ月程度かかる手法です。
費用を抑えて矯正でき治療期間も短いため負担がなく、さらに金属アレルギーの方でも治療が可能ですが、治療期間や費用などは実際に治療してからでないと分からないのがデメリットといえます。
費用は、インビザライン(Go)で30~80万円、格安マウスピース矯正で2万円(初回)~30万円が相場です。治療する歯科医としっかり相談して治療方法を選ぶ事をおすすめします。
まとめ
ここまで正中離開について紹介してきました。正中離開はきちんと治療する事で治せるものです。
以前からすきっ歯が気になっていた方や子供の歯がすきっ歯になっているという方は、日常生活や身体に支障をきたす前に一度歯科医への受診・相談を検討してみては如何でしょうか。