正常咬合の条件を歯科医が解説|歯列矯正で目指す正常咬合やメリットもご紹介します

【監修:青山健一】

正常咬合の条件を歯科医が解説|歯列矯正で目指す正常咬合やメリットもご紹介します

正常咬合(せいじょうこうごう)とは正しい噛み合わせの意味で、正常咬合の条件をご存じの方は医療従事者か矯正歯科学に詳しい方かもしれません。
あまり知られていませんが、矯正歯科医院にとっては正常咬合の定義は、基本的な考え方です。
ここでは歯列矯正で歯科医が目指す正常咬合や、正常咬合のメリットを解説していきます。

正常咬合の条件

正常咬合の条件

 

この項目ではどんな状態が正常咬合であるかという定義について解説していきます。
現在矯正歯科と看板をかかげる歯科医院は約27000件といわれていますが、それぞれの理想に基づいて治療をしていたら統一されません。
それをどの矯正歯科医でも同じ目標を掲げられるように、定義づけをしたものが「正常咬合の条件」です。

一般的に正常咬合の条件は、歯並びや歯の高さ、向きや噛み合わせについてそれぞれに基準が設けられています。
歯並びの調和が取れていて、正中線と呼ばれる顔の真ん中のラインが下顎上顎と一緒である事、前歯が下の歯に2mm程度重なる、など細かな定義です。
正常咬合はいくつかの種類にわかれ、その種類によって正常な咬合の解釈が異なります。

正常咬合の種類

正常咬合の種類

正常咬合の種類は大きく分けて3つあります。
解剖学的に最もパーフェクトな状態である理想の正常咬合、そして現実的な正常咬合、機能を重視した正常咬合です。

どれも正常咬合ですが、実は矯正歯学上での完璧な正常咬合を持つ人は、残念ながらほとんどいらっしゃいません。

実際には患者様の歯列は全員異なるため、現実的な「個性正常咬合」の状態にするのが理想と考える歯科医は多いです。
稀に、機能的正常咬合を理想とする歯科医院もあります。どういった違いがあるのかみてみましょう。

理想正常咬合

理想正常咬合

理想正常咬合とは、もっとも理想的且つ機能的な歯列咬合の事で、ほとんどの患者様は理想の正常咬合ではありません。
理想正常咬合の定義は、項目に分かれており、例えば歯の数や咬合面に異常がない事や顎の状態も含めて全く問題がない事です。

そのため理想正常咬合は机上の空論にすぎず、臨床では個性正常咬合か機能正常咬合の定義を用いて治療にあたります。

個性正常咬合

個性正常咬合

個性正常咬合の定義は、歯列に関する定義と咬合に関する定義、そして顎と歯が関連する定義の3つに分かれます。
歯列に関しては、上顎の歯は下顎の歯の外側に正しく重なるのが正常です。

咬合に関する定義は、咬合面と呼ばれる歯と歯の接触面が正しい位置にある事や、正中線が上顎と下顎で一致しているのが理想です。
顎と歯の関連定義は、下顎を横に動かして噛み合わせると前歯が当たらないなどがあります。

個性正常咬合として定義を設けてはいるものの、最も重要なのは定義に縛られたりせず、患者様を蔑ろにしないよう治療をする事です。

機能正常咬合

機能正常咬合

機能正常咬合とは、審美的には正常でなくても口腔内の機能として役目をはたしている状態を指します。
口腔内の機能とは咀嚼と嚥下、そして発音をさし、人間の生理的運動が妨害されず機能していれば、たとえ歯が1本なくても機能正常咬合です。

主に矯正歯学上よりも補綴学(ほてつがく)と呼ばれるインプラント矯正治療などにこの定義が当てはめられます。
入れ歯でも噛み合わせが問題なく咀嚼もできているなら、補綴学的には機能正常咬合だという考え方です。

不正咬合の主な種類

不正咬合の主な種類

不正咬合の主な種類は、個性正常咬合や、機能正常咬合ではない状態で、歯列状況ごとに名称がつけられています。
不正咬合の場合も、歯や舌、顎の状態がどのようなものか細かい規定があり、例えば上顎突出は不正咬合の1つです。

歯列弓と呼ばれる右の奥歯から左の奥歯までの歯列の形や、顎の大きさが正常ではない場合、不正咬合と判断されます。
代表的な不正咬合をみていきましょう。

叢生

叢生

叢生(そうせい)と呼ばれる症状は、別名乱杭歯とも呼ばれる不正咬合です。
不正咬合は、患者様の数だけ症例があるといっても過言ではありません。歯列がバラバラのため噛み合わせが悪く、口呼吸の原因にもなります。

叢生の原因の1つは、顎が広がらないため歯の萌出スペースが確保出来ず、重なって歯が生えたりする事です。
八重歯は犬歯の叢生に該当します。

矯正方法の1つに抜歯がありますが、非常に慎重に考えなくてはなりません。なぜなら犬歯は上下顎のバランスをとるために非常に重要な歯だからです。
治療方法は、ワイヤー矯正を使った治療が一般的で、状態に合わせて拡大装置を使う場合もあります。

上顎前突

上顎前突

上顎前突はいわゆる出っ歯の事で、不正咬合の中でもかなり上位を占めるほど症例が多いケースです。
上顎前突の原因の多くは、舌癖や指しゃぶり等患者さんの生活習慣や癖によるもの、または遺伝的に骨格が前に突出しているものがほとんどです。
前歯4本のみ矯正対象になる場合と、顎全体を治療しなくてはならない場合では治療方法も異なります。

下顎前突

下顎前突(かがくぜんとつ)は受け口や反対咬合ともいわれている症状で、口を閉めたとき上顎よりも下顎が前にでている状態をいいます。
原因が歯にある場合、歯の萌出の向きや角度が傾いているため歯列矯正が必要です。

原因が骨にある場合はレントゲンを取った上で判断となりますが、顎の拡大もしくは顎を削るなどの治療が必要な患者様もいらっしゃいます。

また患者さんの中にはどちらも調整しなくてならないケースもあり、下顎前突とはいうものの患者様の数だけ症例があるといっても過言ではありません。

過蓋咬合

過蓋咬合(かがいこうごう)とは、口を閉じた時に前歯が下の歯を全て覆いつくされるような状態を指します。
歯列弓と呼ばれる歯並びのU字は、少しのズレでも過蓋咬合や開咬になる可能性があり、上下同じとは限りません。

一見何も問題がないようにみえますが、前歯の裏側が下の歯で傷つけられたり歯肉が接触すると、炎症を起こす可能性が高いです。
正常咬合の定義では口を閉じたとき、上の前歯は下の歯を2mm程度覆うようになっていなくてはなりません。

前歯の重なりが深すぎると過蓋咬合ですが、反対に口を閉じても前歯に隙間がありすぎると開咬の可能性があります。

開咬

開咬(かいこう)とは、口を閉じて奥歯が接触していても前歯の上と下が閉じずに隙間があいている事をいいます。
オープンバイトとも呼ばれるこの症状は、先天性と後天性の原因がありますが、ほとんどが後天的な環境で作られる舌の癖が原因です。

頬杖をついたり片方だけで咀嚼をするなども開咬の原因になるため、開咬を矯正するとともに舌のトレーニングや日常生活の癖も修正します。
不正咬合の種類は患者様の数だけ症例があるため、不安に感じたら1度無料矯正相談にご連絡ください。

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歯列矯正で目指す正常咬合とは?

歯列矯正で目指す正常咬合とは?

歯列矯正で目指す正常咬合とは、歯科医がどの定義をもって矯正治療を行っているかにもよりますが、個性正常咬合と機能正常咬合の2つです。
審美的な要望はお客様の多くが望まれる事ですが、機能正常咬合を優先すると別の提案をした方がよい場合もあります。

一方で、いくら美しい歯並びでも口呼吸が治らない、舌の癖があるままだと再び矯正治療が必要になってもおかしくありません。
包括的な改善を求められる矯正歯科治療は、歯科医はもちろん患者様との二人三脚で治療にあたり、患者様にあった正常咬合に近づけます。

正常咬合に近づくメリット

正常咬合に近づくメリット

正常咬合に近づくメリットは主に2つで、見た目の改善と虫歯になりにくいというメリットは、他の器官に対する弊害を予防することです。

特に、見た目の改善は精神疾患にも影響するため、ホルモンバランスがよくなり生きる気力がわいてくることが期待されます。
歯列矯正には、歯が綺麗に並ぶというメリットだけではなく、体の包括的な問題も解決してくれます。

虫歯・歯周病のリスクを下げる

正常咬合が近づくほど虫歯・歯周病のリスクを下げると考える理由は、2つあります。1つは正常咬合に近づく事で自浄不可能な部分を減らせるからです。
不正咬合は歯ブラシが届かない所も多く、歯周病により口臭や歯肉炎など弊害が起こります。

これらは正しい口内洗浄を行う事ができれば予防可能なため、磨きのこしがない口腔内は虫歯や歯周病のリスクが低いです。

また、正常咬合を維持するための定期的な歯科健診をおすすめします。虫歯チェックや歯肉状況なども相談し、早期発見しましょう。

見た目の改善

正常咬合に近づくメリットのもう1つは、見た目の改善です。この点にメリットを感じて矯正治療を受ける患者様は増えています。
矯正治療は歯並びと顎の骨を正しい位置や大きさにするための治療です。そのため、矯正治療を受けた患者さんは顔が変わるといわれています。

口が閉まると凛々しい顔つきにみえますし、なにより矯正治療後の患者様の笑顔が、非常に明るく素敵になります。
顔は相手にとって最も印象深くなるため、好印象づけるには笑顔が重要です。そのため正常咬合に近づく事はメリットしかありません。

自分の口元が気になる方は、まず状況把握のためにも、気軽に無料歯科相談を使いましょう。Web予約は下記のボタンからお申込ください。

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正常咬合でいつまでも健康な歯を目指そう

正常咬合でいつまでも健康な歯を目指そう

正常咬合でいつまでも健康な歯で過ごすのは、歯だけではなく体の健康を維持するためにも非常に重要な事です。

虫歯や歯周病がひどいとき腫れたり我慢しきれない痛みが生じます。一方で八重歯は叢生の1つですが痛みが伴う事はあまりありません。
しかし八重歯の両隣との接触面に磨きのこしがあると、それが原因で周りの歯が虫歯になる事はあります。

歯並びがよく噛み合わせも正常に機能している歯列弓は、間違いなく呼吸も正常に行えますし、その結果ストレスも減らせます。
いつまでも健康な歯をどう作るか、そしていかに維持するか、主治医と話し合いしてみましょう。

歯列矯正の疑問は専門の歯科医に相談しよう

歯列矯正の疑問は専門の歯科医に相談しよう

歯科医の定義する正常咬合には、個性と機能があります。理想はありますが、個人の歯の状態がそれぞれ違うため人と比べても仕方ありません。
自分の歯列が不正咬合になっているか疑問を感じたら専門の先生に相談してください。
歯科医とのコミュニケーションもよく取れているなら、何かあったときでも安心です。

まとめ

まとめ

正常咬合と一言でいってもその種類はさまざまで、歯列はもちろん、口の周りや舌の筋肉が正常であることも必要です。
しかし、完璧な正常咬合は1人もいません。人によって口腔内とは、同じ人間でも全く異なります。患者様ごとの正常咬合に近づけていくことが、口腔だけではなく包括的に健康になる方法です。

大人になってからでも矯正治療はできますが、できればお子さんの成長期前に正常咬合に近づけてあげてください。
皆様の健康を、心よりお祈りしております。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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