【監修:青山健一】
目 次
歯並びを美しく整えて印象を良くしたいと思ったことはありませんか。理想的な歯並びには「機能性」と「審美性」の2つの側面があります。
歯の機能性とは「良く噛める」ということです。歯の位置がずれていたり顎の関節が歪んでいると良く噛めません。
良く噛める歯並びに矯正すれば顔のシルエットが美しくなり、栄養をしっかりとれるため全身が健全になります。
理想的な歯並びのもう一つの側面「審美性」とは「見た目の美しさ」のことです。
見た目にも美しい歯並びを手に入れれば人に好印象を与えられます。大きさや形、色が整った歯は笑顔を輝かせ美しさを引き出すからです。
ここではその美しさを追求するための実際的な部分、つまり「治療費の話」をしたいと思います。
審美歯科の費用はどのくらいなのか、保険は適用になるのかなど治療を始めたい方はご一読ください。
審美歯科の費用
審美歯科の費用は基本的に保険の適用外の治療であるため全額自己負担です。
保険が適用される治療は虫歯や歯周病などの病気の治療や、事故で歯や口内に怪我を負った場合の治療に限定されます。
保険の適用外ではありますが医療費控除の適用対象として認められるため上手に活用しましょう。
それでは審美歯科の費用はどのくらいなのでしょうか。実は費用は歯科医院によって異なるため一律にいくら、とはいえません。
また審美歯科の費用には歯科治療を終えた後の不具合で再治療が必要になることもあります。
このように審美歯科の費用の実情は複雑です。下記に詳しくご説明します。
歯科医院によってなぜ値段が異なるのか
審美歯科で行われる治療は保険の適用外であるため、それぞれ歯科医院が利用可能な審美歯科技術を用いて独自に治療方法を確立しています。
保険の適用範囲内で審美性を高めるには限界がありますが、自費診療であれば広い視野で治療方法を決められます。
せっかく高い治療費を支払って美を手に入れるわけですから納得がいく治療を計画してください。
そのようなわけで治療のお値段はその歯科医院が決めた額になります。ですから歯科医院によって値段が異なっているのです。
再治療が必要な場合の費用
歯科治療には完璧なものなどありません。審美歯科もまたしかりで、治療が終わった後にトラブルが発生する場合があります。
例えばラミネートベニアを使って歯並びの色と形をきれいに整えたとしても、何らかの原因でラミネートが剥離してしまうことがあります。
こうなると再度ラミネートベニアを使って治療を行なわなければなりません。
このような再治療の費用も審美治療費の一部だと考えて予算組みをしておくようにしましょう。
審美歯科器具によっては製品保証がついてくるため、不具合が発生する可能性を考えて保証書を大切に保管しておいてください。
審美治療の費用は医療費控除の対象
審美治療の費用は医療費控除の対象です。治療費を支払った際にもらえる領収書をなくさないようにしましょう。
確定申告ではその年に支払った医療費をまとめて申告しますが、その際に提出しなければならない書類の1つに「医療費控除の明細書」があります。
医療費を控除するには領収書の原本をその明細書に添付しなければなりません。
医療費控除は最大200万円まで可能ですから家族のために支払った分も合算して控除申請を行いましょう。
審美歯科治療の費用相場
審美歯科の治療費は歯科医院によって差がありますが、どの審美歯科治療でも利用する、あるいは利用を検討する可能性が高い治療があります。
ここでは「歯列矯正」「ラミネートべニア」「ホワイトニング」「その他の治療」について治療の特性や費用の相場について見ていきましょう。
治療を計画する際の参考にしてください。
歯列矯正
歯列矯正は審美歯科の治療のベースになる「美しい歯並び」を実現するものです。
歯並びの悪い口元に審美歯科の治療をしても決して満足のいく仕上がりにはなりません。
歯列矯正には「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2種類があり、前者は約60~150万円、後者は約80~110万円です。
矯正後も動いた歯の保定を行うためメンテナンス費用が発生するためご注意くだい。
ラミネートべニア
ラミネートべニアとは歯の表面を削り、薄いセラミックの膜を貼り付けて歯の色と形を整える治療法です。
歯1本で9万5千円から15万円が相場になっています。対象となる歯によって費用に差があるため歯科医院に事前に問い合わせをしましょう。
ホワイトニング
歯科医院に定期的にクリーニングに通い、茶渋などの「ステイン」を落として歯を清潔に保っている方もいらっしゃると思います。
クリーニングで落としにくい歯の着色の場合には「ホワイトニング」が有効です。ホワイトニングは審美歯科治療の代表格だといえます。
自宅でできるホワイトニングと歯科医院でできるホワイトニングがあり、前者は2万5千円ほど、後者は4万円ほどが相場です。
その他
虫歯の歯や欠けた歯がある場合には「インプラント治療」という選択肢があります。
この人工永久歯は1本あたり30万円ほどですが治療に関わる処置費用におよそ35万円かかるのが相場です。
考えておきたいお金の問題
審美歯科の治療にかかる費用の相場について説明してきました。しかし、この相場はあくまでも治療が計画通りにいった場合の見積もりです。
もしホワイトニングをしようとして歯を検診したところ虫歯が発見されたとしたら、ホワイトニングの前に虫歯を治療することになります。
これが審美歯科の治療費用に上乗せされるため、治療全体にかかる費用が増加するのです。
審美歯科の治療の費用を考える際には、その他にかかる費用の発生を想定しておきましょう。
審美歯科治療費用の保険と医療費控除
審美歯科の治療は基本的に保険の適用範囲外のため全額が自己負担になるというお話をしました。
しかし、例えば虫歯が発見された場合、歯を削ったり被せ物をしたりする基本治療は保険適用の範囲内です。
審美歯科の治療の過程で行う治療には保険が適用できる場合があり、適用の範囲内と範囲外の治療が同時発生します。
保険治療の適用外であっても確定申告時には医療費控除の対象になるため忘れずに控除を申告しましょう。
矯正歯科の保険治療と保険外治療
矯正治療は保険の適用外であることをご説明しましたが、条件が揃えば保険適用になる場合もあるのです。
非常に限定的ですが、下記の場合に限り保険の適用が認められています。
- 厚生労働大臣が認める疾患に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
- 前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療
- 顎変形症(顎離断などの手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療
これらの治療は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する旨を地方厚生局に届け出た保健医療機関が行う必要があるためご注意ください。
どんな治療がある?
それでは審美歯科の治療にはどのような種類があるのでしょうか。ここでは審美歯科の主な治療法として次の5つを取り上げます。
- オールセラミッククラウン
- ラミネートベニア
- メタルボンド
- ホワイトニング
- クリーニング
審美歯科の治療が可能な歯科医院で治療計画をご相談いただく際に、これらの治療法に関する知識があると歯科医院の説明もよく理解できると思います。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンは、保険適用の範囲内で銀歯やプラスチックで造られていた被せ物をセラミック100%の素材で作る治療法です。
天然の歯により近い色でありながら高い耐久性を有し、金属アレルギーをお持ちの方には特に安心いただけます。
ラミネートベニア
ラミネートベニアは前述の通り薄いセラミックの膜を歯に貼り付ける治療法です。いわば「つけ爪」をする感じで審美性をアップします。
ホワイトニング効果が出にくい場合や、歯並びのわずかな隙間やデコボコの部分を整える場合に効果を発揮。
歯列矯正が関わらない場合には、治療期間は比較的短いのが強みです。
メタルボンド
メタルボンドはクラウンの一種で、金属の土台に薄いセラミックを貼り付けクラウンを作る技法です。
虫歯で歯を削る場合、そこにメタルボンドクラウンを被せます。内部は金属で耐久性が高く、さらに表面はセラミックであるため目立ちにくいのが特徴です。
ホワイトニング
ホワイトニングは前述の通り歯の色をより白くする方法です。歯を削ることなく特別なホワイトニング用薬液を塗布しながら歯の色を白くしていきます。
過酸化物を用いたホワイトニングの場合にはコーヒーやワインの沈着にも対応が可能です。
クリーニング
クリーニングは歯科医師や歯科衛生士が歯の表面のステインや歯石をクリーニング専用の機器で取り除く治療法です。
歯磨きでは落ちなかった汚れを丁寧に落とします。
このクリーニングの過程で口内の健康も詳しくチェックできるため、積極的に定期クリーニングの予約を入れましょう。
クリーニングで不満が残る場合には、ホワイトニングを利用してより白い歯を追求してください。
審美歯科について悩んだら専門医に相談
審美歯科は人の印象を劇的に変える効果が期待できます。
自分の歯並びはもっときれいに整えられるはず、整えられたならもっときれいな色にしたいというように美しい歯並びを求める気持ちは健康的なものです。
しかしどのような審美歯科治療が適切なのか、保険の適用の範囲内なのか範囲外なのかは単なる知識だけでは判断できません。
審美歯科をお考えなら実績を培った経験豊富な矯正歯科医にご相談ください。
まとめ
審美歯科の費用について詳しく解説してきました。ここでお話しした費用はあくまでも目安です。
実際の治療にあたってはあなたの歯の健康状態や口内のトラブルの有無を詳しく検査します。
その際に虫歯が見つかったり歯周病の疑いが出てくれば、審美歯科の治療の前段階で歯科治療が必要です。
また、審美歯科治療が終わった後でトラブルが発生して再度治療しなければならないことも考えておきましょう。
審美歯科の費用そのものに加え、治療前後の処置や交通費を考慮に入れ予算を組む必要があるためです。
医療費の控除や保険の適用範囲について確認したい場合には審美歯科の専門医院へご相談ください。
費用の疑問点を事前に解決して、納得のいく審美歯科治療をうけられることをおすすめします。