【監修:青山健一】
目 次
矯正治療を始めたら1ヶ月でどれくらい変わるのか・矯正期間をなるべく短くするにはどうしたらよいのかなど、歯列矯正での歯の動きに疑問や不安を感じている患者様は少なくありません。
そんな患者様に向けて、歯列矯正における歯の動きと矯正が長引く原因・歯が動きやすい人の特徴を解説します。矯正治療を考えている方はぜひ参考にしてください。
歯列矯正における1ヶ月の歯の動き
歯列矯正を行うことによって歯は1ヶ月で0.5㎜前後動きます。重要なのは、歯の根っこを支えている歯槽骨の動きです。
歯の上部である歯冠は比較的動きやすいですが、歯槽骨は代謝サイクルを正常に保つために時間をかける必要があります。
正常な骨の代謝サイクルは約1ヶ月ほどのため、歯列矯正における1ヶ月の歯の動きは0.5㎜前後となります。
歯列矯正の特徴
歯列矯正は矯正装置をつけることによって、ゆっくりと適度な力をかけながら歯を動かして歯並びや噛み合わせを調節していく治療です。
矯正装置にはさまざまな種類がありますが、主に「ワイヤー矯正」・「裏側矯正」・「マウスピース矯正」が挙げられます。
「ワイヤー矯正」とは「ブラケット」と呼ばれる矯正装置にワイヤーを通し、適度な力をかけて歯を動かします。
ワイヤーというと目立つのでないかと心配になる方もいるかもしれませんが、透明や白色のブラケットもあるため見た目を心配する方も安心して治療できます。比較的広い範囲の矯正ができるのが特徴です。
「裏側矯正」とは歯の表面ではなく、裏側にブラケットとワイヤーを取り付ける方法です。
舌に当たりやすい位置に装着するため初めは違和感があるかもしれませんが、何週間かすると慣れてきます。見た目からは矯正装置が目立ちにくいのがメリットです。
「マウスピース矯正」とは矯正装置として透明のマウスピースを利用します。治療の段階によってマウスピースを作り替えていき、理想の歯並びにしていきます。
マウスピースは外せるので、歯磨きがしやすく、虫歯予防をしやすいのがメリットです。
歯が動く仕組み
歯に矯正を施すと歯根が歯槽骨に押しつけられて圧縮され、歯のまわりを包む歯根膜が縮んだ部分では破骨細胞が骨を吸収します。
逆に矯正によって余裕ができ歯根膜が伸びた部分では、骨芽細胞が骨を増やす活動をして歯根膜の幅を一定に保とうとするのです。
歯根膜が正常な厚みになろうとする反応を起こすことで、細胞が骨代謝を行い徐々に歯を動かしていきます。
矯正治療にかかる期間
歯列矯正にかかる期間は部位や方法によって個人差がありますが大体半年~3年で、歯を動かす範囲が広い場合は期間が長くなることがあります。
虫歯など歯にトラブルがある場合には矯正治療をする前に治療が必要なため、歯列矯正にかかる期間が長くなります。
矯正装置を使った歯列矯正後、装置を外して治療が終わりではありません。
矯正をした歯は元の位置に戻ろうとする力が働くため、約1~2年ほど専用の器具をつける「保定期間」が必要です。
歯を急いで動かすリスク
歯列矯正の通院間隔はほとんどのクリニックで月1回です。
間隔を短くすれば治療が早く終わるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、歯が理想的な動きをするには、3~4週間の期間を要します。
もしこれを1週間に1回の通院にして歯を動かしてしまうと「傾斜移動」といわれる歯の傾きが起こり、まるで棒が倒れるように歯が動いてしまうのです。
また骨の再生が追いつかず強い圧力をかけられた歯根が歯根吸収を起こしてしまうこともあるため、強い力を使って急いで歯を動かすことはしません。
歯列矯正が長引く原因
なるべく早くスムーズに終わらせたい歯列矯正ですが、場合によっては予定よりも期間が長引いてしまうことがあります。
どのような場合に矯正治療の期間が長くなってしまうのか例をご紹介します。
矯正中の虫歯
矯正中に虫歯が見つかると治療が必要です。矯正装置にブラケットを使用している場合ワイヤーが邪魔になって虫歯治療ができないため、1度装置を取り外して治療する必要があります。
装置にマウスピースを使用している場合もマウスピースを取り外して虫歯治療をしますが、マウスピースは取り外しが簡単なため虫歯治療を行う場合は比較的スムーズに行うことができます。
ただ、虫歯治療によって噛み合わせに変化が生じた場合はマウスピースを作り替える必要があります。
いずれにしても虫歯治療によって歯列矯正を一時的に中断するため、通常よりも矯正治療の期間が長引きます。
歯科医の指示を守っていない
医師から受けた指示を守っていないと歯列矯正が長引く可能性があります。例えば、通院頻度や矯正装置の装着期間などです。
通院間隔が空いてしまうと、マウスピースなどの調整ができず治療期間が伸びてしまうことがあります。
また矯正装置や保定期間中の専用器具を正しく装着せずにいると、正しい歯列矯正が行われず元の歯並びに戻ってしまうことも考えられます。
期間が長いので覚悟がいる治療ですが、医師の指示に従って行動することが矯正治療の近道です。
下記のリンクから無料相談の予約を承っているため、ぜひ気軽にご相談ください。
歯が動きやすい人の特徴
矯正治療をする方の中には、歯の動きがスムーズに行われ一般的な矯正期間よりも短い期間で治療が終わる方もいます。
では歯が動きやすい人とは一体どのような人なのか、特徴などをご紹介します。
成長期
成長過程にある子どもは歯とアゴの骨が成長途中のため、少しの力で歯が動きやすく大人よりもスムーズに矯正治療が終わる場合があります。
しかし、頬杖をつくなどちょっとしたクセなどによっても歯が動きやすいため矯正をしてしっかりと保定していく必要があります。
歯並びの症状が軽い
もともと歯並びの乱れが少ない・矯正する歯の距離が短い場合は少しの歯の動きで歯並びが整うため、治療期間が短くなります。
また歯並びの症状が軽いということは口まわりに関する癖が少ない可能性があります。
口まわりの癖とは前歯を舌で押す・唇を噛む・頬杖をつくなどの動きです。癖は歯並びや噛み合わせに影響しやすいため、癖がない人は歯が動きやすい傾向にあります。
骨代謝が良い
歯列矯正は骨が吸収と生産を繰り返す代謝サイクルを利用して行われます。
代謝速度によって骨のサイクルにかかる時間が異なるため、体の代謝が良い人ほど骨代謝が良い傾向にあります。
骨代謝を上げる治療法
「歯列矯正において骨代謝が重要だということは分かるけど、どのようにして骨代謝を上げればいいの?」という方に向けて骨代謝を上げながら矯正治療をしていく方法をご紹介します。
コルチコトミー
コルチコトミーとは外科手術によって歯槽骨の表面にヒビを入れて、自然治癒の力を利用しながら歯を動かす矯正治療です。
切られた骨は自然治癒力によって元に戻ると同時に、血液の循環が活性化されるため骨代謝が盛んになり歯が動きやすくなるというメリットがあります。
通常の矯正治療よりも早い期間で歯列矯正を行えるため、治療期間を短縮したい方におすすめの治療法です。
オルソパルス
オルソパルスとは、骨の代謝を活性化させることで歯を早く動かしていく治療法です。
通常の矯正装置に加えて「オルソパルス」と呼ばれるマウスピース型の補助装置を使い、赤外線を歯に照射することで歯の動きを早めます。
使用方法は十分に充電したオルソパルスを5分間上の歯に装着して照射、次に下の歯に装着して5分間照射します。
充電式の補助装置のため自宅で気軽に扱えるのが魅力です。
歯科医のもとで矯正装置の調整は必要ですが、通常よりも早いスピードで矯正治療を終わらせることが期待できます。
歯列矯正は自分にあった治療法を選ぶことが大切
矯正治療の方法はたくさん存在するため、自分が優先したいことをもとにどの方法が合うか見極めることが重要です。
例えば費用を優先するのであれば、一般的にブラケットによるワイヤー治療が安い治療となります。
治療期間を優先する場合はコルチコトミーやオルソパルスという選択肢もあるため、検討してみてくださいね。
下記のリンクでは無料相談の予約を承っています。ぜひ気軽にご相談ください。
歯列矯正をなるべく早く終わらせたいなら
歯列矯正をするには慣れない矯正装置を日常的に装着する必要があるため、なるべく早く
終わらせたいですね。
歯列矯正の期間を短くするにはまず毎日のメンテナンスが大切となり、自宅でできるメンテナンスは歯磨きです。
矯正装置をつけている歯はワイヤーなどがあり通常よりも磨きにくい・細かい食べカスなどを見つけづらいという難点があるので、なるべくヘッドが小さめの歯ブラシで細かく磨くとよいでしょう。
また、こまめに歯磨きをすることも重要です。口まわりに関する癖がないかどうかも見直してみてください。
せっかく矯正をして歯並びが整っても癖などによって歯は元の位置に戻ろうとするため、意識して直していくことで矯正治療の短縮につながります。
まとめ
歯列矯正における歯の動きは1ヶ月で約0.5㎜ですが、代謝によって歯が動くペースが早くなることもあるため、矯正治療を早く終わらせたい方は代謝を上げていくことが重要です。
骨代謝を上げるのに効果がある治療法もチェックしてみてください。
また歯のメンテナンスに力を入れることで歯の健康状態を保ち、矯正治療に専念できます。
歯列矯正はさまざまな方法があるため、自分に合った方法を見つけ医師の指示に従って治療を進めていきましょう。