【監修:青山健一】
目 次
あなたは、正中合わせという言葉を聞いたことがありますか?
「正中」とは歯の中心のことをいいます。正中があっていないということは、歯並びにずれが生じており上下の歯の噛み合わせがあっていないということです。
噛み合わせが悪いとあなた自身の体調に何らかの不調を与える可能性があります。正中合わせとはどのようなものかを詳しく解説していきますから、これを読んで少しでも不安を感じたときには、1度歯医者での検査を受けてみて下さい。
歯列矯正で正中合わせはできる?
歯の中心がずれていることを正中不一致といいます。歯列矯正の中では、難易度が高い治療ですが、正中合わせができる可能性があるのです。
ただし、骨格が主な原因となる正中不一致では、外科手術を行う必要があるケースも数多くあるため、担当医の説明を聞き、相談した上で治療方法を検討してください。
ワイヤーでの矯正の後に「ゴムかけ」を行うことにより改善を図ることができますが、「ゴムかけ」とは何なのかを説明していきます。
歯列矯正での治療方法である「ゴムかけ」とは?
「正中」を合わせるためのゴムかけを「正中斜めゴム」といいます。上顎犬歯付近にゴムの端を引っ掛け、下側の犬歯付近までゴムを引っ張り、斜めにかける方法です。
真正面から見ると、口を開けた時にゴムをかけている状態がみえてしまうため、ゴムかけ治療の中では周りから1番目立ってしまう治療方法ですが、これをやらないと上下の中心を合わせるのが難しいというケースは多くあります。
1日のゴムかけ時間と注意点
ここで気になるのが、ゴム着用時間と期間ではないでしょうか?
ゴムかけでの矯正は1日15時間~24時間つけておくことが一般的です。「正中斜めゴム」も他のゴムかけと同様の装着時間となります。
食事中や授業中、商談中などの場面ではゴムかけを外しても大丈夫ですが、その後再びつけることを忘れてしまうと、矯正治療の進行が遅れてしまうため注意が必要です。
ゴムかけは、決められた時間をきちんと行えば、数ヶ月でゴムかけの期間は終了するため矯正治療中ずっとやるわけではありません。
正中がずれている状態とは?
正中がずれている状態とは、顔の中心線に対して上側の歯の中心と下側の歯の中心がずれている状態のことをいいます。
パッと見ただけでは、ずれに気づくことは少ないかもしれませんが、顔の中心から下側の歯までの線引きをイメージしてみるとずれているかどうかがわかりやすいため、鏡の前で1度みてみましょう。
正中線のずれが大きい場合は、顎の骨格の問題や歯の生え方に問題があるということになります。
正中線がずれる原因
正中線はなぜずれるのでしょうか?
遺伝などの先天性要因や後天性要因がありますが、ここでは正中線がずれる5つの原因をとりあげていきます。
歯の大きさが左右非対称
原則として人の体は左右対称となっています。
目や手、腕や足のように左右のほぼ同じ大きさなのですが、左右の同じ歯でも例外的に大きさが異なることがあり、これにより正中線がずれることがあります。
上下のあごがずれている
あごの骨の曲がりまたは歪みがある場合に上下左右のバランスが悪くなるケースがあり、遺伝的要因で左右のあごの成長が異なることにより正中線がずれるケースがあります。
あごの骨は、歯が並ぶための大切な土台になるため、あごの骨のバランスが非対称になれば当然、その上に生える歯も左右非対称の位置になり、正中線がずれてしまうのです。
歯の生える向き
左右どちらかに八重歯が出来たことにより前歯がずれている、左右対称に歯が生えていないなどが原因で歯の中心が左右どちらかに偏ってしまうと、上下前歯の中心がずれることにつながります。
また、奥歯がずれてきちんと噛み合っていないケースでも、上下の前歯の中心線が合わなくなります。
欠損歯や埋没歯
埋没歯の原因には、顎が小さい、歯が大きすぎるなどが挙げられ、人により埋没歯が生じる原因はさまざまです。
埋没歯の両側の歯が寄ってくることにより、さらにその隣の歯の角度にも影響を与え、歯と歯の押し合う力のバランスが崩れてしまい、全体的な歯並びが正中線のずれに影響を与えます。
欠損歯とは、そもそも種が存在しないために歯が生えてこない状態の歯のことをいいます。欠損歯の原因は遺伝的要因、全身疾患など、様々な原因が挙げられていますが主原因は不明です。
欠損歯の両側の歯が、欠損歯によりできた隙間側に寄ってくるなどの要因で左右のバランスが崩れ、正中線にずれが生じることがあります。
悪習慣
「頬杖をつく」「片側ばかりで噛む」「指を吸う」「舌で歯を押す」などの日常的な習慣が、あごの骨格に影響を与えることがあります。
頬杖や舌で歯を押すことは、歯並びに影響を与えやすい行動であるため、意識して気をつけましょう。
歯列矯正で正中合わせができるケース
正中合わせに限らず歯に関する治療は、できれば外科手術は行わずに矯正のみで治療したいと考えるのではないでしょうか?
そこで、外科手術を行わずに、歯列矯正のみで正中合わせができるケースがありますのでみていきましょう。
歯並びが原因
まずは、八重歯についてです。
チャームポイントの1つとしていわれてきた八重歯ですが、歯並びの乱れのひとつで、生え方によっては左右どちらかに負荷がかかることにより、上の歯が少しずつ八重歯の方へ寄っていくことがあります。
また、歯が生える向きの乱れや、上下の噛み合わせが交差している部分がある場合でも歯列矯正による正中合わせが可能となります。
骨格に問題がない
歯列矯正での正中合わせは、大前提として骨格が正常であることが必要です。
骨格によるずれがあると手術で骨格の位置を調整してからゴムかけなどで正中合わせを行う流れとなります。
歯列矯正で正中合わせをする方法
ここでは、歯列矯正での正中合わせ方法を大人と子供に分けてみていきます。
顎の発達が終わっている大人と未発達の子供を比べて、治療方法に違いがあるのか確認してください。
子供の場合
子供の場合は、ワイヤーなどでの歯列矯正で正中合わせができる可能性が大人に比べると高いのです。
理由としては、顎がまだ発達している段階であるため左右対称になるよう治療期間中に顎の成長のサポートができるからです。
奥歯が永久歯に生え変わった段階で、噛み合わせにずれがある場合には、その時点でずれを治してあげないと顎がずれたまま成長する可能性があるため早急に歯科医院へ行きましょう。
大人の場合
ずれが軽度の場合は、ワイヤー矯正やゴムかけで矯正をしていきます。
八重歯など歯並びが原因であれば、歯列矯正のみで正中合わせが可能ですが、顎の骨のずれが大きい場合は歯の矯正治療だけでは完全に治すことが難しい状況となるのです。
子供と違って顎の成長は終わっているため、外科手術により骨格を正常に戻してからワイヤー矯正、ゴムかけでの矯正と進んでいきます。
歯列矯正で正中合わせをするなら信頼できる歯科医に相談
正中合わせの治療は、何種類もある矯正治療の中でも難易度が高い治療です。
治療期間は1~2年という長い治療期間で、矯正器具の装着期間も長くなるため行きつけの信頼できる歯科での治療がおすすめです。
正中合わせは、豊富な知識と高い技術を持った専門医でなければ、うまく改善されないという可能性もあるため、矯正治療は細かく治療してくれる専門医にお任せしてください。
行きつけの担当医が専門医であればそのまま治療するという選択もあります。
まとめ
正中線にずれが生じる原因や治療方法などを書いてきましたが、いかがでしょうか。
治療期間が比較的長期間になるため、まずはじっくりと担当医の説明を聞いてください。
歯並びや噛み合わせの問題は、放置しておくと内臓への負担、肩こりや頭痛などを引き起こしますからこのような症状が現れた場合は、マッサージではなく歯科医院へ行くと解決するケースがあります。