【監修:青山健一】
目 次
歯並びが綺麗だと何事にも自信が持てて積極的に人前で話すことができるようになります。
歯列矯正の技術が進歩し、これまで悩みを抱えていた人も勇気を出せば理想の口元が手に入れられるようになりました。
しかし、歯列矯正は保険がきかないから高いというイメージが強く歯列矯正に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
今回は、歯列矯正で社会保険が適用されるケースと高額な治療費の支払い方法について、困ったときにどのように対処すべきか解説します。
歯列矯正の治療費は10割負担が基本
まず歯列矯正の治療費は保険適用されるのかについてですが、歯列矯正の治療費は10割自己負担(全額負担)が基本です。
例えば虫歯・歯周病などの治療費は健康保険適用で3割負担が基本で、高齢者になると1~2割負担です。
健康保険が適用されるのはあくまでも病気を治すためのものと考えられています。
審美的な治療・将来の予防のための歯列矯正治療は保険適用外として扱われます。
歯並びが悪いことは直接的に虫歯になったり歯周病になったりする要因にはなりません。そのため病気に関わらない治療は保険の適用にならず10割負担を基本とします。
歯列矯正を始めるときは、自分の矯正が保険適用になるかどうか確認してから始めましょう。
歯列矯正で社会保険が適用されるケース
歯列矯正は病気を治すための治療ではないため社会保険が適用されませんが、歯列矯正でも病気を引き起こすほど重度な場合は社会保険が適用されます。
どういった症例の場合に社会保険が適用されるのか解説します。
先天性疾患
先天性疾患とは、生まれつき骨の変形などにより口の噛み合せに異常が出てしまう病気です。
先天性疾患の種類は、厚生労働省により53種類に渡り細かく定められていています。
この定めに合った病気を治療するために歯列矯正する場合は「病気の治療」とみなされ、保険適用の対象となります。
顎変形症・顎関節症
顎変形症と顎関節症がともにある場合には、保険適用の対象となります。
顎変形症は、骨の成長に伴い顎の骨が変形したり、顎の骨が成長しすぎたりすることで顎の噛み合せが悪くなることです。
顎変形症の症状は、食べ物がよく噛めない・発音しづらいなど日常生活に大きな支障があります。
顎変形症は幼児期には異常は見られませんが、顎の成長とともに不正咬合(ふせいこうごう)が現われるケースが多いです。
遺伝的な要因で発症するものがほとんどですが、幼児期の指しゃぶり・舌を突き出す癖などによっても発症するといわれています。
顎関節症は、噛み合せが悪いまま長年過ごすことで、顎の骨が削れて変形していく症状です。
顎関節症の症状は、顎が痛む・口が開かない・顎を動かすと音がするなどがあります。
本来、保険適用範囲は顎変形症だけのため、顎変形症が原因で顎関節症をともなう症状がある場合は顎変形症だけが社会保険対象となります。
顎関節症のみの治療は保険適用外ですから注意しましょう。
永久歯萌出不全に起因した咬合異常
3歯以上の永久歯萌出不全(えいきゅうしほうしゅつふぜん)に起因した噛み合わせの異常についても保険が適用されます。
永久歯萌出不全とは、小児期に起こる歯の生え変わりが原因で起きる症状です。
通常、乳児から永久歯への生え変わりは、6~12歳にかけて起こりますがこの期間にまれに永久歯が生えてこないことがあります。
この永久歯が生えない症状が「永久歯萌出不全」です。
永久歯萌出不全は、永久歯が歯茎に埋まってしまい、自力で生えない場合や先天性疾患による場合に起こります。
永久歯萌出不全の治療には、外科的手術で歯茎を切開して永久歯を引き出さなければなりません。
治療と同時に歯列矯正も必要な場合にのみ保険適用となります。
また、1~2歯がなくても噛み合わせに異常をきたす可能性が少ないことから、保険適用は3歯以上と定められています。
保険が適用される歯列矯正の注意点
歯列矯正で生命保険を使いたい場合は、保険診療範囲内の治療でなければなりません。
保険適用で診療を受ける場合は、2つの条件があります。それぞれ詳しく解説します。
認定された歯科医院を受診する
歯列矯正で健康保険を適用するには、厚生労働省から認定された育成更正医療指定機関を受診する必要があります。
育成更正医療指定機関とは、厚生労働省から認定を受けた医療機関で身体上の障害を軽減し、日常生活を容易にするための治療を受けられる医療機関のことです。
児童の場合は育成医療機関での受診となり、成人の場合は更正医療機関での受診となります。
こうした医療機関で治療すれば地方自治体からの補助が受けられる仕組みです。
治療方法は限られる
歯列矯正で保険適用を受けるには、使用する器具についてもルールが定められています。
矯正の種類は主に3種類あり、保険適用を受けるにはワイヤー矯正でなければなりません。
主な矯正の種類は下記の通りです。
- ワイヤー矯正:歯の前面に付けるワイヤー状の矯正器具
- 裏側矯正:歯の裏に付けるワイヤー状の矯正器具
- マウスピース矯正:マウスピース型の矯正器具
ワイヤー矯正は、歯の前面につくため目立つのがデメリットですが、保険適用でも透明なワイヤーなどさまざまなアイテムがあっておすすめです。
治療費の支払いに困ったときの対処法
高額な治療費を現金一括払いするイメージの強い歯科矯正ですが、一括払いのほかにも支払い方法があります。
毎月の生活に負担が少ない支払方法が選べるため利用する方は年々増えています。
また、学生の方は保護者名義でローンが組めるため社会人になる前に歯列矯正ができるのもメリットです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
分割払い
分割払いは、毎月歯科医院で少額ずつ現金払いする方法です。
歯科医院が独自に行なっているサービスのため、分割払いができるケースや分割回数は、医院ごとに異なります。
多くの歯科医院では、分割回数は治療の期間に合わせて24回ほどで、支払い方法は受付窓口で現金で支払い利息は0%です。
詳細については治療を受けたい歯科医院に問い合わせてみましょう。
デンタルローン
デンタルローンは、銀行や信販会社が仲介しローンを組むシステムで審査や利息があり、支払い方法は毎月口座から引き落とされます。
デンタルローンにおいても、歯科医院により採用する会社が違うため、詳細は歯科医院へお問い合わせください。
下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
歯列矯正は医療費控除の対象となる場合が多い
歯列矯正は、保険適用かどうかに関係なく医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、確定申告で所得税・住民税の額が減額される制度です。では、医療費控除の範囲と手続きについてみていきましょう。
医療費控除の範囲は下記の通りです。
- 治療費(一括・分割・クレジット払いなど問わず)
- 通院にかかわる交通費
ここでいう治療費には、容ぼうを美化するための矯正は含まれません。
歯並びや噛み合せが悪く、喋ったり食べたりすることに支障があり歯列矯正しか治療方法がない場合のみ適用されます。
また、交通費は公共交通機関を利用した場合のみ適用され、自家用車で通院したガソリン代・駐車場代は適用範囲外です。
治療費の支払いで後悔しないために
歯列矯正は高額のため、躊躇してしまう人も少なくありません。
しかし、綺麗になった歯並びを見ると自信がよみがえり、食事も美味しく感じ前向きに人生を歩めます。
そこで、後悔しない歯列矯正のための注意点を紹介します。
治療内容をよく検討する
繰り返しになりますが、歯列矯正は自由診療が基本です。
そのため、歯列矯正はオーダーメイドに近いものであり歯科医院により治療内容も異なります。また、選択した治療法によっては治療期間や金額も大きくなりがちです。
どのような治療方法が自分の症状・ライフスタイルに最適なのか歯科医師とよく相談しながら進めていくことが大切です。
明確な金額を提示する歯科医院を選ぶ
次に、明確な金額を提示する歯科医院を選ぶことをおすすめします。
これは、金額が不明確なまま治療が始まると、治療費のトラブルになる可能性があるためです。
治療を開始する前に治療期間・金額・追加となるケースはあるのか・追加となる場合費用はいくらかを明確にしておきましょう。
1か所だけで判断せずセカンドオピニオンで複数の歯科医院と比べてみるのもおすすめです。
トータルフィー制度を活用する
トータルフィー制度とは、治療費総額制のことで、初回治療費を除く全ての治療費が最初に提示されます。
事前に歯列矯正治療にかかる費用を全額支払うため、治療期間が長くなっても追加費用は発生しません。
注意しておく点は、歯列矯正中の虫歯治療費・治療完了後のメンテナンス費用・抜歯代などは含まれないことです。
どのような場合に追加治療費が発生するのか歯科医師と事前に確認をしておきましょう。
歯列矯正の保険適用は信頼できる歯科医に相談を
歯列矯正を保険適用できるケースについて解説してきました。
いざ歯列矯正を開始するにしても、どのような症例の場合保険適用が可能なのか不安があるかもしれません。
歯列矯正は専門の矯正歯科医院で行うことが大切ですが、お近くに専門医がいない場合は普段通院している歯科医院で聞いてみるのもおすすめです。
信頼できる矯正歯科医院を紹介してもらえる可能性があります。
安心して治療を開始するために、歯列矯正の保険適用は信頼できる歯科医院に相談しましょう。
下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
まとめ
歯列矯正で社会保険が適用されるケースと高額な治療費の支払い方法について、困ったときにどのように対処すべきかについて解説しました。
歯列矯正で保険適用されるケースは厚生労働省により厳格に指定されている症例だけに適用されます。
また、歯列矯正は高額な医療費負担が気になるところですが、歯科医院によって分割払い・デンタルローンなどにも対応しているところがあります。
歯列矯正は治療期間も長く不安も多いですが、疑問や不安があれば歯科医師に相談することが重要です。
不安や疑問を抱えたまま治療を始めると医師や医療に対して不信感を抱くことになりかねません。
歯列矯正を検討されている方は、ぜひ一度信頼できる歯科医院へ相談してみましょう。