【監修：青山健一】
目 次
歯並びが悪いと見た目だけでなく生活にも支障をきたすため、歯列矯正を検討している方も少なくありません。
中でも、受け口・オープンバイト・叢生などの症状は、治療が難しく抜歯や外科手術を必要とするケースもあります。
ですが、ワイヤーにループがついたワイヤーループを使用するMEAWという矯正方法は、抜歯や外科手術不要で治療困難な不正咬合の治療も可能です。
この記事では、MEAWの概要や矯正方法・メリットなどを詳しく解説します。MEAWでの矯正治療を検討中の方は参考にしてください。
ワイヤーループによる歯列矯正（MEAW）の概要
「MEAW」は、オーストリア咬合学の噛み合わせの概念とワイヤー矯正の技術の組み合わせによる矯正方法です。
Multiloop Edgewise Arch Wireの頭文字から「MEAW」と名付けられ「ミュー」または「ミョー」と呼ばれてます。
MEAWで使用するループはワイヤーループと呼ばれ、ワイヤー矯正で使用する真っ直ぐなワイヤーと違いループがいくつも付いています。
笑ったときや会話のときにワイヤーが目立つため、見た目が気になる方も少なくありません。
ですが、歯並びの状態に合わせ個々にワイヤーループを調整するため、たくさんの歯を同時に3次元に動かすことが可能です。
一度に動かせる歯が多いため、他の矯正治療に比べて治療期間が短いのも特徴です。
またMEAWは、歯を支えている骨に働きかけるため、抜歯せずに矯正が可能になります。
MEAWは、見た目が気になるというデメリットはありますが、下記のようにメリットが多い矯正方法です。
- 複数の歯を一度に動かせる
- 歯を自由に移動できる
- 極力抜歯しない方針
- 治療期間が短い
MEAWは、ワイヤー矯正やマウスピース矯正で矯正できない歯並びでも、抜歯や外科手術をせずに矯正できます。
治療期間を短くしたい・抜歯や外科手術は避けたいという方に、MEAWはおすすめの矯正治療です。
MEAWについて疑問や不安がある方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
歯列矯正でワイヤーループを使う目的
歯列矯正でワイヤーループを使うのは、複数の歯を移動させる・噛み合わせを同時に調整するという目的があります。
歯列矯正でワイヤーループを使う、2つの目的についてみていきましょう。
複数の歯を移動させる
ワイヤーループは1つのループが1本の歯に対応するため、複数の歯を一度に移動させられます。
歯が移動できる範囲も広くワイヤー矯正では難しい垂直方向や奥への移動も可能なため、抜歯しなくても歯が入り込むスペースを開けられます。
また、一度に歯を移動させられるため、矯正治療の期間を短縮できるのです。
ワイヤーループは、ゆっくりと歯を動かすため無理な力をかけずに移動ができるため、歯への負担も軽減できます。
複数の歯を同時に移動させるワイヤーループは、抜歯せずに矯正治療を行うだけでなく治療期間の短縮にも繋がります。
噛み合わせも同時に調整する
歯列矯正でワイヤーループを使用すると、矯正と同時に全体のバランスを整え噛み合わせを調整できます。
噛み合わせが悪いと、食べ物をしっかり噛めない・虫歯や歯周病・顎関節症を引き起こすなどデメリットが多いです。
また、虫歯や歯周病は口臭の原因にもなるため、周囲への不快感など普段の生活に支障をきたします。
矯正治療で見た目がきれいになっても、噛み合わせが悪いとせっかくの治療が無駄になってしまいます。
ワイヤーループを使った矯正は噛み合わせも同時に調整できるため、他の矯正と比較してもメリットが多い矯正方法なのです。
MEAWで治療できる症状
MEAWは「受け口」「オープンバイト」「叢生」などの矯正治療が困難な不正咬合でも抜歯せずに治療が可能です。
これらの症状は、抜歯してスペースを作り、矯正によって歯を移動させる抜歯矯正と外科手術による治療が一般的でした。
抜歯や外科手術は大掛かりな施術なため、治療を躊躇する方も少なくありません。
MEAWは、抜歯や外科手術をしなくても治療できるため、不安や恐怖心を抱かずに治療を行えます。
不正咬合は食事がしづらい・発生しにくいなど生活にも影響を及ぼすため早めの治療が望ましいです。
「受け口」「オープンバイト」「叢生」で悩んでいる方は、MEAWでの治療をおすすめします。「受け口」「オープンバイト」「叢生」についてみていきましょう。
受け口
受け口とは、下の歯が出ている状態をいい、反対咬合（はんたいこうごう）・下顎前突症（かがくぜんとつしょう）と呼ばれます。
受け口になる主な原因は、下記の通りです。
- 遺伝
- 下あごの過度な成長
- 上あごの成長不十分
また、上の歯が後方に傾斜している・下の前歯が前方に突出しているなど歯の生え方が原因の場合も。
受け口は食事の際しっかり噛めなかったり、うまく発音できなかったりと生活に支障が出るだけでなく、下あごがしゃくれて目立ってしまうなどの悩みも生じます。
オープンバイト
オープンバイトは、歯を閉じたとき奥歯は噛み合っているのに、前歯が噛み合っていない状態をいいます。
オープンバイトになる原因は、下記の通りです。
- 小さい頃の指しゃぶり
- 口呼吸
- 舌を出す癖がある
- 遺伝
- 下顎の成長が悪い
オープンバイトは、食べ物を前歯で噛み切れないため胃腸障害を起こしたり、た行・さ行・ら行が発生しづらく発生障害の原因になったりと問題が生じます。
叢生
叢生は、歯が重なり合ってデコボコした状態の歯並びで「乱ぐい歯」とも呼ばれ、犬歯（前から3番目の歯）が飛び出している八重歯も叢生の一種です。
歯が重なり合っているため、歯ブラシが届きづらく虫歯や歯周病を引き起こしやすいだけでなく、咀嚼の効率が悪い・歯科治療が難しいなどのデメリットも生じます。
叢生の原因は、下記の3つのケースがあります。
- 先天的：生まれつき歯に対してあごが小さい・あごに対して歯が大きいなど
- 後天的：乳歯から永久歯に生え変わるとき、生えるスペースを確保できない
- 小さい頃のくせ：指しゃぶりなど
叢生は、先天的と後天的が複合すると治療困難となる場合が多いため、早めの治療が望ましいです。
受け口・オープンバイト・叢生で矯正治療を検討している方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
MEAWで歯列矯正するメリット
MEAWは、3次元的な歯の移動が可能・治療期間の短縮・抜歯がいらない・顎関節症のリスクが少ないという4つのメリットがあります。
MEAWは、他の矯正方法ではできない施術ができるため、治療に関しての不安を取り除けます。
不正咬合など複雑な歯並びで歯列矯正を検討中の方は、MEAWのメリットをしっかり理解し歯科医に相談しながら治療を検討しましょう。
MEAWで歯列矯正する4つのメリットをみていきましょう。
3次元的な歯の移動が可能
MEAWは隣にあるブラケットとの間にワイヤーループがあるため、縦・横・上・下・斜めと3次元的な歯の移動ができます。
また、MEAWで使用するワイヤーループは、歯1本につきループが1つ対応しているため、個別に動かせます。
ワイヤー矯正では、歯並び全体をバランス良くできますが、歯を垂直方向や奥へ動かすのは不向きです。
MEAWは3次元的な歯の移動が可能なため、ワイヤー矯正では動かすのが難しい歯でも動かせます。
そのため、治療の幅が広がり治療困難といわれる、受け口・オープンバイト・叢生などの歯並びでも治療が可能なのです。
治療期間が短縮できる
MEAWは複数の歯を同時に最短距離での移動ができるため、治療期間が短縮できます。
ワイヤー矯正では歯を一度にあらゆる方向に移動させるのが難しく、歯を横に移動させた後に上下に動かすため、治療に時間がかかってしまうのです。
治療期間は歯並びの状態によりますが、長い方だと3年ほどかかりますが、MEAWはワイヤー矯正にかかる時間の約１/３～約半分で治療が完了します。
矯正治療は矯正装置を長い間、装着しなければいけません。
そのため、矯正装置を装着している間は、見た目が気になる・矯正装置の手入れが必要・虫歯や歯周病のリスクが生じるなどのデメリットが生じます。
治療期間が短縮されると、矯正治療で生じるデメリットを軽減できるため、長い間ストレスを感じず治療できます。
歯を抜かずにすむ
MEAWは、歯を抜かずに矯正治療が行えます。
矯正治療を行うとき、歯が並び切らない・スペースがない場合、前から4番目の第一小臼歯や5番目の第二小臼歯を抜歯して、歯並びを改善します。
MEAWを使用した矯正治療では、歯を支える下あごの骨をゴムで回転させたり、歯を後ろに動かしたりして並んでいない歯が入るペースを作るため、歯を抜かない矯正治療ができるのです。
人間の歯には全て役割があり「抜いてもよい歯」は、存在しません。そのため、できるだけ抜歯しない治療を行うのがベストです。
ただし、親知らずが邪魔している場合は抜歯するケースがあることを把握しておきましょう。
顎関節症のリスクが少ない
MEAWは、矯正と同時に噛み合わせの調節もできるため顎関節症のリスクが少ない矯正方法です。
顎関節症の症状は、下記の通りです。
- 口を開いたときにあごの関節や筋肉に痛みがある
- 口を開け閉めするとあごの関節が鳴るなど
- 食事のとき顎痛い・疲れる
- 噛み合わせに違和感がある
顎関節症は、睡眠障害・難聴・めまい・肩こりなどを引き起こします。また、普段の生活や食生活に支障をきたすため早期の治療が必要です。
また、ひどい顎関節症を放置すると、あごの形が変形し、あごの骨を削る外科手術が必要になるケースもあるのです。
顎関節症は、癖・あごの筋肉や噛み合わせのバランスの悪さが関係しています。
MEAWは、顎関節症の原因である噛み合わせの調節もできるため、顎関節症のリスクを減らせるのです。
MEAWによる治療の流れ
MEAWは、虫歯などの歯科治療と治療方法や治療期間が異なるため、治療の流れを事前に把握しておきましょう。
MEAWによる矯正治療を検討している方は、まず歯科医への相談が必要です。歯並びの状態を確認した上で、MEAWでの治療が可能か判断します。
このときに、MEAWに関する不安や不明点なども一緒に相談しておきましょう。
歯科医への相談でMEAWでの矯正治療に納得できたら、治療に必要な下記の検査を行います。
- レントゲン
- 虫歯・歯周病の有無
- あごの状態の確認
- 顔のバランスを見るための顔貌の写真撮影
検査結果が出たら、現在の口腔内や治療について説明を受け、歯の模型の製作・精密検査・治療計画を立てた後に治療がスタートします。
通院の間隔は歯並びの状態によりますが、2週間～4週間に1度です。来院時には、ワイヤーの調整・口腔内の状態の確認などを行います。
MEAWの見た目が気になる人は
MEAWはワイヤーにたくさんのループがついているため、どうしても口元が目立ってしまいます。
抜歯しない矯正・外科手術しない矯正・治療期間が短いなどメリットは多いです。ですが、人と接する機会が多い方は見た目を気にする方もいると思います。
矯正治療には、見た目が気にならない矯正装置もあります。MEAWの見た目が気になる人は、参考にしてください。
目立たない矯正装置を選ぶ
MEAWの見た目が気になる人は、目立たない矯正装置を選びましょう。
矯正治療は、下記の2種類があります。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
どちらもMEAWのような治療効果は得られないため、抜歯や外科手術を併用しながらの矯正になります。また、治療期間もMEAWに比べて長期になります。
ワイヤー矯正は、MEAWに似ていますがワイヤーがループではなくストレートです。そのため、MEAWのように同時に複数の歯を動かせません。
ですが、ワイヤー矯正で使用するブラケットとワイヤーには、白や透明など目立たない種類もあります。
マウスピース矯正は、マウスピースを装着して歯を動かして矯正を行います。装着するマウスピースは透明なため、周囲に矯正治療がバレにくい矯正です。
ワイヤー矯正・マウスピース矯正は目立たない矯正方法ですが、MEAWと比べると下記のデメリットが生じます。
- 抜歯や外科手術を併用するケースがある
- MEAWと比べて治療期間が長い
MEAWと比べたときのデメリットを把握し、歯科医に相談しながら矯正装置を選びましょう。
MEAWでの歯列矯正を希望しているなら
MEAWでの歯列矯正を希望しているなら、歯科医へ相談しましょう。
歯列矯正は、虫歯の治療などに比べると治療方法が複雑で治療期間が長いです。そのため、信頼できる歯科医のもとで治療を行うのが理想的です。
MEAWでの歯列矯正を希望していても、疑問や不安がたくさんあると思います。ですが、不安な気持ちを抱えたまま治療を開始すると、失敗する可能性も否定できません。
歯列矯正は歯科医と長い付き合いになるため、小さなことでも相談できる環境がベストです。
納得のいく歯列矯正を行うためにも、歯科医へ相談しながら自分に合った矯正治療を受けてくださいね。
まとめ
歯列矯正でワイヤーループを使う目的やMEAWで治療できる症状を解説してきました。
ワイヤーループは複数の歯を同時に動かせるため、抜歯せずに動かした歯が入るスペースを確保できます。また、3次元的に歯を動かせるため、矯正の治療期間の短縮が可能です。
受け口・オープンバイト・叢生など治療が困難な不正咬合は、抜歯や手術せずに短期間で治療できるMEAWでの矯正をおすすめします。
ワイヤーが付いているループは目立ち、見た目が気になりますが、メリットが多く治療効果を実感できる矯正方法です。
矯正治療はクリニックによって治療レベルが違うため、専門知識のある矯正専門医院での治療が必要です。信頼できる歯科医に相談しながら、治療を受けるようにしてください。
1965年 広島県呉市生まれ
