【監修:青山健一】
目 次
近頃若者を中心に、成人してから歯列矯正をする方が増えています。特にすきっ歯など見た目に関わる治療をする方が多いです。
すきっ歯や歯並びの悪さなど、見た目に関する治療は審美歯科の治療にあたるケースも多いです。
矯正治療は歯の矯正をすることで口元の印象がガラっと変わるということもあり、歯列矯正=美容整形の一種だと思われている方もいます。
今回は歯列矯正と美容整形それぞれの特徴や目的をはじめ、矯正治療の種類など詳しく紹介します。
歯列矯正と美容整形で迷う人は多い?
歯は第一印象を決める1つの部位ということもあり、最近では歯並びにコンプレックスを持つ方も少なくないです。
歯の見た目は、歯列矯正でも美容整形でも変えることができるため、明確な違いが分からずどちらを選んでいいのか迷ってしまう方が多くいます。
歯列矯正と美容整形の特徴・目的
歯列矯正と美容整形は同じだと思われている方もいますが、特徴と目的が大きく異なります。
歯列矯正の場合
歯列矯正は、ワイヤーなどの矯正器具を使い、歯を正常な位置へ移動させて歯並びや噛み合わせの改善を最優先させる治療方法です。
そのため、治療期間が長いものが多く2~3年程度かかってしまうことも珍しくはありません。
また歯列矯正の中には事前に通常の矯正治療を行い、その後に外科矯正を行うケースもあります。
外科矯正では顎の位置を移動させ正常な位置に戻るよう治療しますが、治療の際に上顎や下顎全体を動かします。
そのため、患者さんの顎の大きさによっては左右で差が出ることで顎に歪みが生じることがあるのです。
差が出てしまった場合は、骨を整形して微調整することで顎の歪みを改善する形をとっていくことになります。
このように歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善することで咀嚼など機能面での改善も見られるようになり、それに伴い見た目に治療の効果が表れるという仕組みです。
歯列矯正は審美歯科の対象でない治療の場合は保険適用対象となることが多いです。
美容整形の場合
美容整形は、歯列矯正とは異なり見た目を最優先としています。ここが歯列矯正との大きな違いで、美容整形では噛み合わせなどの改善は含まれていません。
歯並びに問題はないけど顔や顎の歪みが気になる、といった方も多くそういった場合は美容整形を奨められることが多いです。
美容整形では、歯の噛み合わせはそのままで顎を動かして歯を削り、被せ物をつけるといった手法がとられています。
審美性の治療ということもあり、歯列矯正に比べて治療期間が短く済みます。しかし、審美性の治療のため保険は適用されません。
美容整形で人気のパーツに口元は入っている?
美容整形といえば、目元や鼻の治療を連想する方も多く整形を希望される方も少なくありませんが、実は口元も美容整形で人気上位に入っているパーツです。
特に顎にコンプレックスを抱えている方が多く、歯並びからくる顎の歪みや、歯並びには問題がないけれど顎のバランスがとれていない場合があります。
口元や顎を変える矯正治療の種類
口元や顎を変える矯正治療には、以下2つの治療方法があります。
一般矯正
一般矯正とは、ワイヤー矯正やインビザライン矯正(マウスピース矯正)などよく知られている矯正治療をいいます。
反対咬合や出っ歯などの治療ではワイヤー矯正やインビザライン矯正が多く用いられることが多いです。
ワイヤー矯正にもさまざまな種類があり、審美ブラケットを使用した矯正やメタルブラケットを使用した矯正、裏側矯正が挙げられます。
これらの治療方法は治療期間に2~3年程度数年かかることがほとんどで、人によっては一般矯正で治らないケースもあります。また、治療期間も長期にわたるため費用面での負担も大きいです。
すきっ歯など歯並びの問題であっても審美性の治療に含まれることが多い場合では、歯にセラミックを被せるセラミック矯正が採用されることもあります。
被せ物をする治療法であるセラミック矯正は、歯の色や歯並び、形まで整えることができるため希望される方が多い矯正治療です。
ただし保険適用がされないケースもあるため注意が必要です。
外科矯正
外科矯正とは、先ほど紹介した一般矯正だけでは改善が難しい場合に用いられる矯正治療です。
成人した方の歯列矯正は、顎が成長しきった年齢だと歯や顎の状態によって一般矯正だけでは改善することができないケースも多いです。
そういった場合に一般矯正に外科的手術を組み合わせることで噛み合わせと顔貌を改善していきます。
特に上下の顎が前後や左右、上下にずれている状態である顎変形症をはじめ、上顎前突症や開咬症の際に用いられることが多く、顎の骨を延長、縮小することが可能な治療方法です。
一般矯正+外科的手術で審美性と機能性ともに改善することが可能です。
保険が適用される治療方法のため費用面の負担を軽減することができます。約40~60万円で済むケースもあります。
治療や費用で気になることがあれば、ぜひ無料の矯正相談を活用してください。
歯列矯正がおすすめな人の特徴
歯列矯正がおすすめな人の特徴は以下3つになります。
口元にコンプレックスがある
口先が突き出ている、下顎が上顎よりも出ているなど口元にコンプレックスを抱いている方は歯列矯正がおすすめです。
上記のような症状は大体が歯並びに問題がある場合が多く、矯正治療で歯並びを改善することで見た目も改善することができます。
ただし、適切な治療を受けられず矯正治療によって逆に状態が悪化するケースも少なくありません。そういった場合は別の病院への受診、相談をおすすめします。
噛み合わせが悪い
噛み合わせが悪い方には美容整形より歯列矯正をおすすめします。先ほども紹介しましたが、美容整形に歯並びの治療は含まれていません。
歯並びが悪く、尚且つ顎の歪みなどが気になるのであれば歯列矯正をした方がより見た目も綺麗になります。
重度の不正咬合で一般矯正だけでは対応できない場合に、外科的手術で顎を動かしてしまうため、確実に顎の歪みなどの改善が見込めます。
噛み合わせが悪いと見た目だけでなく、私生活に置いてさまざまな影響を及ぼすことが多いです。それらを防ぐためにも歯列矯正をして見た目だけでなく機能面でも改善する必要があります。
健康に影響が出ている
健康に何らかの影響が出ている場合は美容整形ではなく、歯列矯正がおすすめです。
噛み合わせや歯並びの悪さは、一見関係ないようにみえますがさまざまな身体の不調に大きく関係します。
噛み合わせが悪いことで、咀嚼や発音に支障をきたすのはもちろん、顔の歪みやしっかり噛めない、口を閉じることができないなどの問題が生じてしまう可能性もあるのです。
慢性的な肩こりや頭痛、顎の痛みなどの症状がみられることもあり、最悪虫歯や歯周病、口臭などのトラブルに繋がることもあります。
これらの症状心当たりがある方は、歯科医院への相談をご検討ください。その際は、無料の矯正相談を活用することをおすすめします。
美容整形と比較した外科矯正の特徴
外科矯正には以下3つの特徴が挙げられます。
顎変形症の診断が必要
外科矯正は、保険適用対象の治療法で顎変形症の診断書が必ず必要です。
これは健康保険の制度上定められている条件で、他にも手術と矯正の治療を混在診療せず、すべて健康保険の適用範囲内で行うことなどの条件が盛り込まれています。
美容整形など審美目的の治療は保険適用対象外のため、審美目的での治療でないことの証明にもなります。
舌側矯正やマウスピース矯正などの外科矯正は、健康保険適用の対象外となるため注意が必要です。
機能性の改善が目的
外科矯正はあくまで歯並びや噛み合わせを治して、咀嚼などの機能性の改善が目的の矯正治療です。
主に下顎が前に突き出た形になっている、顎がしゃくれているなど、外科矯正はこれらに該当する症状に有効な治療法です。
外科矯正治療を用いる場合は、通常の矯正治療と併用して行われることがほとんどのため、それだけ治療に時間がかかります。
大体手術前の通常の矯正治療で半年~2年ほどかけ、その後に手術をして半年~1年半ほどの術後矯正治療という流れになります。
美容整形はこれよりももっと短い期間での治療で終わるため、噛み合わせなどに特に大きな問題はなく、審美目的で歯列矯正を考えている方は今一度考え直すのもおすすめです。
健康保険が適応される
外科矯正は健康保険の適用対象の治療方法です。 そのため、先ほど説明したようにいくつか条件が定められています。
顎変形症以外にも、上顎前突症や上顎後退症、下顎前突症などの症状が外科矯正における保険適用の指定症状になります。
また、形成外科や美容外科など指定されている医療機関で治療した場合は保険は適用されません。舌側矯正やマウスピース矯正なども保険対象外になるため、注意が必要です。
歯列矯正と美容整形で迷ったら
歯列矯正は美容整形とは似て非なるものです。
どちらの治療を選ぶかは自分が治療で優先するのは見た目の改善なのか、機能面も含めて改善したいのかによって変わってきます。
歯並びや噛み合わせ、顎に何らかの問題を抱えている場合は歯列矯正を、歯並びに問題はなく顎の歪みが気になる、審美目的で治療したいなどといった方は美容整形への受診がおすすめです。
それでも自分で選べない方は、一度歯科医院へ相談してからどちらの治療が自分には合っているのか、歯科医に助言してもらってからどちらの治療を受けるかを決めるのがおすすめです。
まとめ
歯列矯正と美容整形は目的や治療内容も異なります。まず、治療方法を選択する前に自分の治療目的が機能性の改善なのか、審美目的であるかを明確にする必要があります。
機能面で改善して尚且つ見た目も治したいという方には歯列矯正、歯並びは特に気にしていなくて審美目的での治療を受けたいという方は美容整形を選択するのも1つの方法です。
必ずしも矯正治療が良いというわけではなく、患者さんの状態や歯科医によっては適切な治療を受けられず矯正前より悪くなってしまうことも少なくありません。
こういったトラブルを防ぐために、まず自分の歯並びや噛み合わせ、顎の状態などを一度歯科医院へ相談して調べてもらってから決めるようにしましょう。
また、あらかじめ外科矯正の健康保険に関する制度の仕組みや条件、保険適用の対象となる治療の種類についても詳しく調べておくことをおすすめします。