Q.それにしても、矯正治療費は、一般人からすると高いですね。
A.健康保険が適用されていないので、どうしても患者様の負担は重くなってしまいますね。
アメリカでは、日本の半分ぐらいの料金で治療ができる所もあるらしいですね。
Q.なぜ国によってそんなに料金に差があるのですか?
A.アメリカは矯正治療が常識のような国ですから、矯正治療を受ける人口が日本の何倍もいますし、自由競争の国ですから、歯科医院間での競争も激しいので、料金も安くなっているのではないでしょうか?
日本でも、矯正治療を受ける人がもっと増え、歯科医院間での競争がさらに激しくなってくれば治療費はもっと安くなってくると思います。
実際に一昔前に比べて、矯正の治療費はかなり安くなってきています。
それは、昔は矯正治療を行っている歯科医院自体が少なかったので、料金が高くても他の医院と比べることができなかったのですが、今はかなりの数の歯科医院が矯正治療を行っているので、料金の比較ができるからです。
患者様の方でもいくつかの歯科医院で料金を比べている人もいらっしゃいますね。
当クリニックに来る前に、10件も治療内容や治療費を比較してきた患者様がいたのには、さすがに驚きました。
そういう人は、治療を始めても自分でもいろいろ勉強して質問してくるので、矯正治療が終了する頃には、普通の歯科医よりも矯正治療に関する知識が多いのではないかと思えるぐらいで、持っているエネルギーが普通の人と違うのかなと感心してしまいます。
ただし、矯正治療は、体に多くの影響を与える重大な治療なので、治療費だけで治療を受ける医院を決めると、後で「安物買いの何とか」になってしまうので、十分気をつけないと怖いですね。
Q.矯正治療費が高いのは装着する材料が特殊で高いものだからなのですか?
A.いいえ。
矯正装置自体が治療費の中で占める割合は、そんなに高くありません。
ほんの一部を占めているだけです。
矯正治療の場合は、最低でも10数回は来院して、治療を受けますね。
その時間の治療費と材料費、医院を維持する人件費、家賃、光熱費などの固定費と、最大のパーセンテージとしては技術料です。
ある患者様の治療を終了する時に、矯正装置をはずそうとすると、「あ~、何十万円もするものを外すのはもったいないですね」と言われたことがあります。
この患者様は、矯正の治療費の殆どをブラケット代だと思っていたのだと、ショックを受けたのを覚えています。
矯正治療は、難しい技術と多くの知識を必要とするので、技術料金の占める割合が一番大きいのです。
大量生産で作り出すことと違い、一人一人に作り上げる、ハンドメイドのものなのです。
Q.治療費の話が出ましたが、最近は”歯医者は儲け主義の人が多い”とか、”お金で患者への接し方が違う”など、悪い評判をよく耳にしますが、どう思われますか?
A.歯科関連の本の中にも、暴露本のような医療の裏側を悪く書いたり、悪徳歯科医が増えてきているようなことが書かれてあるものをよく目にしますが、とても残念です。
実際には、そういう人たちはホンの一部であって、真面目な歯科医がほとんどだと思います。
教師や警察官などの不祥事でも、そういうことをする人の割合は少ないのにほとんどの人が同じようなことをしているように報道されてしまうのです。
近年、歯科医師は過剰になりすぎており、年々、生き残りをかけた戦いが激しさを増してきているのは事実です。
特に都心部では、健康保険の範囲内のみの治療で歯科医院を維持していくことは、とても難しく、ついつい保険外治療(自費治療)を強引に勧めてしまう歯科医院も増えてきているのかもしれません。
歯科医院過剰の時代は、患者様の立場からすると、自分に合った医院を選べるのでとても良い事だと思います。
患者様に、「なぜ、歯医者さんは、別の医院でした治療のことを悪くいう人が多いんですかね」と質問されたことがありました。
歯医者に限らず、職人タイプの人は、自分の仕事が一番上手だと思いたいのです。
他人の治療を悪くいうことによって、自分の技術の価値が上がると勘違いしている人が多いのだと思います。
前の先生の治療を悪く言うことで、その患者様が治療に対して不信感を持ち、その先生も治療が行いにくくなる、ということに気付いていない人が多いのだと思います。
大体、人の悪口をいう人を尊敬する人がいるかどうか考えれば分かると思うのですが…。
私は極力、どんな治療でも、なるべく前の先生のした行為を悪く言わないように心がけているつもりです。