【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正治療の中でも、ブラケット矯正は広く知られた一般的な治療法です。
ワイヤーを使うブラケット矯正はエッジワイズ法ともいわれて、スタンダードエッジワイズ法とストレートワイヤー法の2種類があります。
スタンダードエッジワイズ法は、患者さん1人1人に合わせてワイヤーを調節する「オーダーメイドの矯正治療」です。
患者さんに合ったワイヤーを使用することで、より正確に歯を移動させることができます。しかし、歯科医の知識・経験や技術によって仕上がりに差が出てきます。
対して、ストレートワイヤー法では、ワイヤーの形は綺麗な楕円形です。ワイヤーを取り付けるブラケットを調節することで、歯の形状にフィットさせます。
ここではスタンダードエッジワイズ法の特徴・メリットやデメリット、治療の流れを解説します。
スタンダードエッジワイズ法の特徴
スタンダードエッジワイズ法は、1人1人の歯の形にあわせてワイヤーを調整します。治療のステージに合わせながら、繰り返し歯科医が調節していきます。
そのため、担当する歯科医師の高い技術・センス・経験が必要な治療です。ここでは、スタンダードエッジワイズ法の特徴を紹介します。
オーダーメイドの矯正治療
口の中も顎のサイズも、個人個人で異なります。しかし、ストレートワイヤー法のワイヤーは、平均値を出して多くの患者さんが使えるような形状です。
スタンダードエッジワイズ法では、歯科医師が患者さんの口の中の情報を読み取り、3次元的にワイヤーを折り曲げていきます。
そのため、スタンダードエッジワイズ法は「フルオーダーメイドの矯正治療」と呼ばれています。
1本1本の歯に合わせて調整する
スタンダードエッジワイズ法では、1本1本の歯に合わせてワイヤーを調整します。1本1本の歯ごとに傾きを変えることも、ワイヤーで歯を支える土台を作ることもできます。
平均的な数値を元にしているストレートワイヤー法を「既製服」とするならば、スタンダードエッジワイズ法は「オートクチュールのドレス」といったところです。
熟練の矯正歯科医ならば、思い通りに歯をコントロールできるといわれています。
ストレートワイヤー法との違い
スタンダードエッジワイズ法のワイヤーは個人の歯に合わせているため、一見してガタガタの形状をしています。
対して、スタンダードワイヤー法のワイヤーはきれいな楕円形です。これは平均的な数値を元に作成しているからです。
きれいな楕円形をしているため、実際歯に取り付けるときにはブラケットで調整します。
自分の歯と差が大きい場合には、ストレートワイヤー法で矯正装置を付けると痛みを伴うこともあります。
スタンダードエッジワイズ法は個人にあったワイヤーを装着することで、よりスムーズに理想的な歯並びへと導く治療方法です。
スタンダードエッジワイズ法のメリット
ストレートワイヤー法は、矯正治療の簡便化のために開発された治療法です。
それならば、ほとんどの歯科クリニックで、ストレートワイヤー法が採用されるはずです。しかし、実際はスタンダードエッジワイズ法にこだわる歯科医師は少なくありません。
そこにはスタンダードエッジワイズ法ならではのメリットがあるからです。ここでは、スタンダードエッジワイズ法のメリットを紹介します。
治療期間を短縮できる
ストレートワイヤー法よりもスタンダードエッジワイズ法が、必ずしも治療期間を短縮できるわけではありません。
しかし、ストレートワイヤー法では、平均値を元にワイヤーが作られています。患者さんの口の中が、平均値から大きく外れていることもあります。
平均的なワイヤーやブラケットが、フィットしない患者さんも多いのです。
そのため、ストレートワイヤー法でも、最終的には患者さんに合わせてワイヤーを3次元的に調整する必要がでてきます。
そのようなケースでは矯正治療を遠回りしたことになり、大幅に治療期間が伸びることになります。
スタンダードエッジワイズ法なら遠回りをする心配はありません。計画通りの治療が可能です。
仕上がりが綺麗
スタンダードエッジワイズ法の最大のメリットは、仕上がりの美しさです。技術の高い歯科医師であれば、最短の期間で美しい歯並びにすることが可能です。
歯科医師は治療計画を立てるときに、最善の美しい歯並び・咬み合わせを想定し、思い描いた通りに歯の動きをコントロールします。
熟練の歯科医師ならば、歯の動きに無駄がないため、患者さんのストレスも軽減されるはずです。
痛みが少ない
スタンダードエッジワイズ法のメリットは、痛みが少ないことです。患者さんに合わせてワイヤーを調整するため、歯を動かす方向にも無理がありません。
また、治療の進み具合にあわせてワイヤーに調整を加えていきます。熟練の歯科医の元で順調に治療が進めば、痛みも違和感も少なくて済むはずです。
スタンダードエッジワイズ法では、ワイヤーが複雑に折れ曲がっているため、内頬に当たって「痛いのでは」と、心配をする方も少なくありません。
しかし、熟練の歯科医師なら、そんな心配は無用です。
スタンダードエッジワイズ法のデメリット
スタンダードエッジワイズ法は、メリットばかりではありません。歯科医の腕によって治療効果に差がでるという、大きなデメリットがあります。
そのため、どの歯科医でも同じように最良の矯正治療ができるように開発されたのがストレートワイヤー法です。
ここでは、スタンダードエッジワイズ法のデメリットを紹介します。
歯科医の経験・知識が必要
スタンダードエッジワイズ法の矯正治療には、歯科医師の高い知識と経験が必須です。
矯正治療の基本から応用までを熟知し、歯を思った通りにコントロールする技量が、歯科医師に求められます。また、ワイヤーを調整するのも歯科医師です。
手先が器用でない歯科医師だと、調整が難しいともいわれています。
スタンダードエッジワイズ法の治療を希望するなら、まず熟練の歯科医と巡り会わなければなりません。
対応できる矯正医が少ない
前述の通り、スタンダードエッジワイズ法は、熟練の歯科医のもとで治療を進める必要があります。
しかし、実際は、スタンダードエッジワイズ法に対応できる矯正医は少ないのが現状です。
スタンダードエッジワイズ法を採用している歯科クリニックは、SNSなどのクリニック紹介で「スタンダードエッジワイズ法を採用」と謳っています。
参考にして、クリニックを選びましょう。また、矯正歯科クリニックに直接問い合わせるのもおすすめです。
矯正治療で不安のある方は、無料の矯正相談を活用してください。下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
スタンダードエッジワイズ法の治療の流れ
スタンダードエッジワイズ法では、ワイヤーにひねりやループなどを加え、複雑に曲げて3次元的に調整します。
奥歯が前に動かないように固定することもでき、歯科医の高度な技術が要求されます。仕上げの段階では、歯と歯根を3次元的に微調整が必要です。
ここでは、スタンダードエッジワイズ法の治療の流れをみていきます。スタンダードエッジワイズ法では、抜歯と非抜歯によって治療法が異なります。
これは、スタンダードエッジワイズ法が確立してから100年以上の歴史の中、抜歯・非抜歯の論争があった所以です。
抜歯する場合
歯を動かすスペースがない場合は、抜歯が必要です。抜歯をした場合は、垂直のデコボコを整えた後に、犬歯・大臼歯を理想的な位置へと動かします。
そして前歯を後に合わせて最終調整をします。このように、抜歯をすると矯正がスムーズです。
スタンダードエッジワイズ法では、抜歯を必要とする場合のみに抜歯をすすめています。
抜歯しない場合
抜歯をしない場合は、まず垂直方向のデコボコを整えます。ゴムかけなどもしながら、左右のずれを調整します。
再度ブラケットとワイヤーを調節して、最後には微調整が必要です。抜歯をしない場合は、歯を動かすスペースが少ないため、歯が全体に前に押し出されることがあります。
スタンダードエッジワイズ法では、必要があれば抜歯をすすめています。しかし、抜歯を希望しない方に無理強いすることはありません。
スタンダードエッジワイズ法の治療期間
スタンダードエッジワイズ法は、歯科医師の治療計画に基づいてすすめられます。そのため、歯科医師が計画した治療期間から大きく逸脱することはありません。
治療期間は症例によって異なるため、まず矯正歯科クリニックで相談をしてください。
詳細な治療計画は詳しい健診をしないとわかりませんが、おおよその期間は提示してくれるはずです。
スタンダードエッジワイズ法の費用相場
矯正治療の費用は保険適用外のため、各クリニックによって異なります。また、患者さんの症状によっても大きく変わってきます。
しかし、スタンダードエッジワイズ法だからといって、費用が高くなることはありません。ストレートワイヤー法と変わりないはずです。
一般的な全体矯正の相場は70~100万円といわれています。費用の面で心配がある方には、総額制のクリニックがおすすめです。
スタンダードエッジワイズ法は通院時の診察は、ストレートワイヤー法に比べ長くなります。しかし、総額制ならば毎月の診察料も込みのため、安心して治療に専念できます。
スタンダードエッジワイズ法を希望するなら専門医に相談しよう
スタンダードエッジワイズ法を希望するなら、専門医に相談しましょう。
スタンダードエッジワイズに不慣れな矯正医なら、思い通りに歯の動きをコントロールできない可能性もあります。また、手先が器用でない矯正医もおすすめできません。
どちらの場合も、患者さんの負担になります。スタンダードエッジワイズ法では、歯科医師の技術によって、治療の経過や仕上がりに大きな差が出てきます。
信頼できる矯正歯科医師のもとで、治療を始めることが大切です。
矯正治療で不安のある方は、無料の矯正相談を活用してください。下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
まとめ
スタンダードエッジワイズ法は、矯正医なら誰でもできるというものではありません。普通の歯科医なら、その経験も技術もないと考えます。
矯正クリニックで相談するときには、スタンダードエッジワイズ法を採用しているかを質問してみましょう。
また、症状によっては、ストレートワイヤー法でも問題ないケースも多いのです。矯正クリニックで相談してみることをおすすめします。