【監修:青山健一】
目 次
噛み合わせが悪いと指摘されたことはありませんか?噛み合わせが悪いと歯並びや顎骨だけでなく身体全体の不調にもつながります。
噛み合わせの悪さは放置せず、治療することが将来的なご自身の健康のための最良の方法です。
「噛み合わせが悪くないか気になるけど、歯医者さんへ行くまでもない」とお考えでしたら、ご自分でチェックできる方法もあります。
この記事では、噛み合わせをチェックする方法と、噛み合わせが悪い状態を放置するとどうなるのかをご紹介します。
正しい噛み合わせの状態
ここでは、正しい噛み合わせがどのような状態なのかを解説します。
「理想の噛み合わせ」とは歯の上下左右が対称であり、中切歯のずれが前に2~3mm以内出ているならば正常範囲内です。
垂直・水平に2~3mmずれているからこそ、噛み合わせの深さが正常に確保されていて物を噛むことができます。
この3つが揃っていてこそ、正しい噛み合わせの状態です。
「ずれを直さなくていいのか」と疑問に思うかもしれませんが、逆にぴったり合っているとものを噛むときに唇を噛んだりはさみ込んでしまうなど怪我につながります。
噛み合わせが変化する原因
歯並びは日々変化しています。顎と歯の動きには個人差があり、日頃の癖や毎日の食事で噛んだり奥歯ですり潰したりするときに上下左右に力がかかります。
こうして歯や顎骨にかかった力に負けて、歯が折れたりすることを防ぐために歯が移動しているのです。
ここからは、噛み合わせに悪影響な日常の癖についてどう影響するのか解説します。
頬杖などの癖
頬杖をつくと、ついている反対側の下顎に力がかかってずれが生じます。
いつも同じ方向に頬杖を続けていると噛み合わせがおかしくなり、ひどくなると顎関節が痛みだして口が開かなくなります。
また、バッグを片側だけにかける、右向きでないと眠れないなど、いつも同じ方向を向いて寝ているという方も要注意です。
舌癖
舌をペロッと前へ出す癖も、前歯の噛み合わせが悪くなる原因です。舌を前に出そうとするときに上顎と下顎の前歯を前へ押し出すよう力がかかっています。
前歯と奥歯を噛み合わせたときにも閉じられない隙間が生じてしまい、出っ歯の原因になります。悪い癖は直さないといけませんが、無意識にしているものです。
癖は自分でコントロールするよう意識することが大切です。
片噛み
食べ物を噛むときに、片側の歯だけを使って噛む癖のある人も、噛んでいる側の筋肉だけが発達して左右のバランスが狂い、噛み合わせが悪くなります。
また、歯のすり減り具合も左右で違ってくるため、噛み合わせが悪くなる原因です。
正しい噛み合わせの治療で不安な点がありましたら、無料の矯正相談をご利用ください。下記のリンクから予約できます。
噛み合わせが悪い状態を放置するリスク
噛み合わせの悪い状態が続くとどうなるのでしょうか。口元だけではなく全身の筋肉のバランスが崩れ、慢性の痛みに悩まされるなどの不調につながります。
ここでは悪い状態を放置すると発生するリスクを詳しく解説します。
虫歯・歯周病のリスクが高まる
噛み合わせが悪いと虫歯にかかりやすくなり、通常は歯と歯が噛むときにぶつかることで自浄作用が働いています。
噛み合わせが悪いと歯の当たる面積が小さくなり、汚れが落ちにくくなって虫歯のリスクが高まります。
そして、同様に歯にかかる負担から歯周病にもなりやすいです。30代前後から抵抗力が落ちて歯周病リスクが高まるため、日頃の歯磨きなどで予防対策を取ることが有効です。
顎関節症になりやすい
食事の時に片側で噛む癖のある人は顎関節症になる可能性が高いです。
顎の骨は上下が一緒に動かないと口を開くことはできない構造になっています。片側で噛む癖は、噛んでいる側の筋肉だけを発達させて左右の筋肉のバランスを崩す原因になります。
そして、顎関節や周囲組織に歪みが生じて顎関節症になるのです。
顔が歪みやすくなる
片側の歯だけで噛む癖のある方は、表情筋や咀嚼筋の正しいバランスが崩れて顔に歪みが出てきます。
また、下にある骨も筋肉の厚みで変化するため、顎の形も歪んでしまいます。
身体全体の不調につながる
噛み合わせが悪いと健康状態が悪いといわれています。それは顎の骨がずれているとずれが頭蓋骨につながり、頚椎を経て肩の筋肉のバランスに悪影響を与えるからです。
噛み合わせが悪い状態を放置しておくと下顎の骨が歪み、頭の位置を無意識のうちに調整して頭蓋骨も一緒に歪んでいきます。
頭の重量は成人の場合は4~6kgとかなり重く、もとの位置からずれるだけでかなりの負荷がかかり、慢性的な肩こりや頭痛の原因となるのです。
さらに、噛み合わせがよくないと食べ物をしっかりと噛めないため胃に負担をかけやすくなり、胃の不調の原因になるなど健康状態にも影響が出ます。
正しい噛み合わせをチェックする方法
噛み合わせを自分でチェックする方法をご紹介します。特別な道具は必要なく誰でも簡単にチェックが可能です。
次の3つの方法でチェックを行いどちらか1つでも気になる結果が出たならば、必ず歯科医師の診察を受けてください。
上下の歯の正中があっているか
背筋を伸ばした状態で鏡の前に立ち、口を「い」の形にしてください。15cmほどのアイスクリームの棒を左右の奥歯ではさんでもよいです。
このとき見えた歯が顔の真ん中の線(正中)で揃っているならば、正中のずれはありません。
しかし、真ん中でずれがあるならば、水平方向にずれていて噛み合わせに問題がある状態です。
奥歯の噛み合う音やかち合い方のバランスが同じか
姿勢を正して口を開けたり閉じたりしながら、歯を上下にカチカチ鳴らしてください。左右のバランスが正常ならば音の感じや歯がかち合うときの力のかかり方が同じです。
上顎と下顎の奥歯を鳴らしてみて左右の音が違うならば、歯並びがずれている可能性が高くなります。
顎関節の動きに歪みがないか
最後に顎関節の動きをチェックする方法です。
背筋を伸ばして鏡の前に立ち、顎骨が外れない程度に口を大きく開け、人差し指、中指、薬指の3本の指が上顎と下顎の前歯の間へ縦に入るのならば、顎関節の動きは正常といえます。
口が開かない、指が3本入らないというのなら、顎関節の動きが悪く噛み合わせに問題があります。
噛み合わせの治療方法
噛み合わせの治療方法は、主に2つの方法があります。歯が欠ける、抜けていることがないなら矯正治療による歯並びの矯正を行います。
もう1つは噛み合わせが悪く負担がかかり、欠けてしまったり抜けてしまった歯をインレーなどのかぶせもの、またはインプラントで埋める補綴治療です。
これらの治療法について解説します。
歯並びの矯正
欠けている歯がなくて本数もそろっているならば、歯列矯正で顎の骨を正しい位置に導いて顎骨の歪みをなくす治療法を行います。
歯列矯正はマウスピース矯正とワイヤー矯正の2つに分けられ、どちらの治療法にもメリットとデメリットがあります。
マウスピース矯正は装置が目立たなくて注目されていますが、どの症例にも適応するものではありません。どちらの矯正方法を使うのかは歯科医師の判断です。
補綴治療
補綴はインプラントやブリッジ、詰め物などで歯のない部分や足りない部分を補うことです。
もともと生えている歯の本数が少ないことや、被せ物の状態が悪いこと、ブリッジが入っていると噛み合わせが悪くなることが多いです。
そこで、足りない歯をインプラントで補ったり、合っていない被せ物やブリッジを取り去って合うものと交換することで噛み合わせをよくする治療法です。
正しい噛み合わせを保つセルフケア
ここからは噛み合わせをこれ以上悪くしないよう、ご自分で手軽にできるセルフケアをご紹介します。噛み合わせが悪くなる原因は、ほとんど普段の癖や食事での噛み癖です。
患者様ご自身の何が原因で噛み合わせが悪くなるのかを理解して、日頃から顎骨に負担をかけないよう習慣づけましょう。習慣づけることで頭痛や肩こりなども和らいでくるはずです。
顎に負担をかけない
噛み合わせが気になる方がセルフケアをするための基本とは、「顎に負担をかけない」ことです。
頬杖、噛み癖、舌癖やうつぶせ寝などは顎に強力な負担がかかり、顎の筋肉を緊張させて噛み合わせが悪くなる要因になります。
患者様ご自身で負担をかけないということを意識して生活していただくようアドバイスを行っています。
マッサージとストレッチ
顎の筋肉や顎関節に負担がかかることにより、こり固まって噛み合わせが悪くなります。
ストレスによる食いしばりや歯ぎしりを気になさる方には、緊張でこり固まった筋肉や顎関節をほぐすためのマッサージやストレッチがとくにおすすめです。
正しいマッサージ法の指導もしています。また、舌の筋肉を鍛えて舌が前歯を押して噛み合わせが悪くなることを防ぐ体操もあります。
噛み合わせを保つためのセルフケアは歯科医に相談しよう
正しい噛み合わせを保つセルフケアをご紹介しました。普段の生活のなかで心がけるだけで、口元だけでなく身体全体の調子もよくなる方法です。
負担を取り除くためのケアは必須ですが、決して自己流のケアはしないでください。
また、SNSで紹介されているマッサージや治療法は、歯科医師ではない人が発信している場合が多いです。
歯科医院では診察をしたうえで患者様に合ったセルフケアの方法をご提案しています。
正しい知識と理論で裏付けされたケア方法で、正しい噛み合わせを維持できるよう歯科医師がアドバイスいたします。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
噛み合わせについての相談をご希望なら、無料の矯正相談を行っています。下記リンクから予約可能です。
まとめ
噛み合わせのチェック方法と、悪い状態を放置することでどのようなリスクがあるのかをご紹介しました。
巷では噛み合わせが悪いまま放置している人を多く見かけます。見た目や虫歯・歯周病のリスクのデメリットだけでなく顎関節症や頭痛、肩こりなど全身に悪影響が出て健康状態が悪くなります。
もしも噛み合わせが悪くて慢性の痛みや胃の調子がよくならないなどのお悩みがありましたら、早めの受診がおすすめです。
矯正治療の治療経験豊富な歯科医師が、噛み合わせのお悩みにお応えします。
少しでも気になる症状があるのならば、ぜひご相談ください。症状についてのご質問から費用、期間などのご要望にもできる限りお応えします。
治療方法については最終的に医師が判断し、患者様に無理のない最適な治療をいたします。