【監修:青山健一】
目 次
笑ったときに上顎の犬歯が見える状態を八重歯、または乱ぐい歯と呼びます。
八重歯の矯正治療においては、八重歯を抜歯して矯正する方法と抜歯せずに矯正する方法のどちらが適切なのかしっかり検討することがとても大切です。
八重歯を抜歯する矯正治療を選択するときは、抜歯後に後悔しないように抜歯が本当に必要なのか担当の歯科医院にしっかり確認しておきましょう。
本記事では、八重歯の矯正についての知識や抜歯が必要となる場合について解説していきます。八重歯の矯正を検討している人はぜひ参考にしてください。
八重歯の特徴
八重歯とは、上顎の前から3番目の歯(犬歯)が、両隣の歯よりも外側に生えている状態のことをいいます。
顎に比べて歯が大きい場合、歯がきちんと収まるスペースが足りなくなって歯列から歯が飛び出して生えてきます。
これによって歯並びがデコボコになる・歯と歯が重なり合うなどの症状が引き起こされ、八重歯もこれらの症状の1つに数えられるのです。
八重歯が生えていると口が閉じにくく口の中の唾液が乾きやすいため、虫歯や歯周病などが発生しやすい状態になります。
また、八重歯があることで咬み合わせが悪くなり全体の歯に大きな負担がかかっている場合もあるのです。
日本では八重歯は可愛らしいイメージを持つ人もいますが、八重歯を放っておくと数多くのリスクが高くなるため、矯正治療を行うことが望ましいといわれています。
また、下記のリンクから八重歯矯正や矯正治療についての無料相談をご予約いただけます。八重歯が気になっている方や矯正治療を検討している方はぜひお気軽にご利用ください。
八重歯の抜歯矯正で後悔しないためのポイント
八重歯の矯正をするのにあたり、八重歯を抜歯した方がいいのか迷っている人は少なくありません。
八重歯が健康な状態ならできれば抜かずに済ませたいものですが、症例によっては八重歯を抜歯した方がよい場合もあるのです。
八重歯の抜歯矯正で後悔しないためには、次のポイントがとても重要です。
- 抜歯の必要性を知る
- 納得いくまで確認する
- 歯科医の経験や実績を確認する
- セカンドオピニオンを受ける
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
抜歯の必要性を知る
矯正治療を開始する前に、まずは八重歯を抜歯する必要性がある症例について知っておきましょう。
矯正治療の際、次のような場合は八重歯を抜歯した方がよいとされています。
- 抜歯によって歯列全体の咬み合わせが改善される
- 八重歯が他の歯と重なっている
- 八重歯自体に虫歯がある
これらの項目にあてはまるか矯正治療を受ける歯科医院で確認しておくと安心です。
納得いくまで確認する
八重歯の状態は1人1人異なるものであるため、矯正治療の方法について納得いくまで確認することが大切です。
矯正費用の安さだけで歯科医院を選択すると、治療後に後悔して結局損をすることもあります。
安心して矯正治療を受けるために、治療方針について担当の矯正歯科医としっかり相談しておきましょう。
歯科医の経験・実績を確認する
歯科医の中には、矯正治療についての経験が浅く抜歯が必要かどうか判断できない人もいます。
矯正治療や八重歯の抜歯について歯科医院に相談する場合は、そこに在籍する歯科医の経験や実績を確認することが大切です。
歯科医院によっては非抜歯矯正の技術に精通していない場合もあるため、抜歯が必要ない可能性も考えて抜歯矯正と非抜歯矯正両方の経験のある歯科医院を探しておくことをおすすめします。
セカンドオピニオンを受ける
八重歯の抜歯について不安に感じたら、一度他の医院へ相談するセカンドオピニオンを受けることも有効です。
矯正治療には、八重歯の抜歯によるメリットとデメリットの両方をしっかり説明してくれる歯科医院がおすすめです。
抜歯のデメリットが大きいと感じたら、抜歯せずに治療を行う方法やリスクを減らすための方法についてしっかり確認して治療の方針を決めていきましょう。
八重歯の抜歯矯正のメリット
八重歯を抜歯矯正して歯並びを改善することには、次のようなメリットがあります。
- 虫歯や歯周病の予防
- コンプレックスの改善
矯正治療において八重歯の抜歯が必要と感じた場合は、担当の歯科医院と相談しながら治療を進めていくと安心です。
虫歯や歯周病の予防
八重歯の抜歯が必要な症例として、八重歯と他の歯が重なっていることで虫歯や歯周病のリスクが高くなっている場合があります。
八重歯が他の歯と重なっている部分は、食べかすが詰まりやすく歯磨きの際に歯ブラシが行き届かないといった問題があるのです。
しかも、八重歯は歯を覆う歯槽骨が薄いため歯周病の進行が早いともいわれています。
八重歯を抜歯して矯正治療をすることで歯磨きがスムーズにできるようになり、これまで以上に虫歯や歯周病を予防しやすくなるのです。
コンプレックスの改善
八重歯があることで歯がデコボコしている・口元が突出していることをコンプレックスに思っている人は少なくありません。
八重歯の抜歯矯正は、咬み合わせを改善し、口元のラインをきれいにすることに効果的です。前歯のデコボコが改善されることで笑ったときの印象はかなり変わります。
「八重歯を矯正して、笑顔に自信を持つことができた」という人はたくさんいるのです。
八重歯の抜歯矯正のデメリット
矯正治療の際、八重歯を抜かない方がよい場合もあります。八重歯を抜歯する矯正治療には次のようなデメリットもあるということを知っておきましょう。
- 抜歯後の顔つきの変化
- 健康な歯を失うことになる
- 周囲の歯に影響が及ぶ
これらのデメリットを知らずに矯正歯科医に八重歯の抜歯をすすめられるままに抜歯すると、後悔する可能性が高くなるため注意が必要です。
抜歯後の顔つきの変化
犬歯はほうれい線の下に位置しているため、抜歯によってほうれい線が濃くなり顔つきが変化してしまう可能性があります。
また、八重歯を抜歯したことで口元のふくらみがなくなり、表情が変わってしまう場合もあるのです。
健康な歯を失うことになる
そもそも抜歯自体には健康な歯を失うというリスクがあります。
元々犬歯は他の歯よりも長くて丈夫であり、最も寿命が長い歯です。そのため八重歯を抜歯しなくても矯正治療ができる場合は、そのまま残しておきます。
周囲の歯への影響
八重歯は歯列全体の咬み合わせにおいて他の歯への負担を軽減するという重要な働きがあることから、できれば抜歯せずに残しておきたい歯でもあります。
八重歯を抜歯することで、かえって歯並び全体のバランスが悪くなってしまう可能性があるのです。
八重歯の非抜歯矯正の方法
八重歯を抜歯せずに矯正治療を行うには、次のようなものが挙げられます。
- マウスピース矯正
- 歯科用アンカースクリューの併用
- IPRで隙間を作る
また、八重歯を抜歯せずに第一小臼歯などの他の歯を抜歯してスペースを作るという方法もあるのです。
マウスピース矯正
八重歯を抜歯せずに透明なマウスピースの装着だけで矯正治療を行うことも選択肢の1つです。
マウスピース矯正(インビザライン)は、透明のマウスピースを歯にかぶせて歯を動かしていきます。
ワイヤー矯正よりも外から目立ちにくく、食事のときは外すことができるのが特徴です。
ただ、ワイヤー矯正に比べて歯を動かす力が弱いため症例によっては対応できない場合があります。
マウスピース矯正を希望する人は、自分の症例で行えるかどうか担当する矯正歯科医院で確認しておきましょう。
歯科用アンカースクリューの併用
歯科用アンカースクリューは、チタン合金でできた小さなネジのような矯正装置です。
歯科用アンカースクリューを併用することで、八重歯を抜歯せずに全ての歯を同時に動かすことができます。
ただし、歯科用アンカースクリューの使用には埋入するための手術が必要であることや、骨が完全に発達していないお子さんの矯正治療には使用できないなどのデメリットがあるため注意が必要です。
歯科用アンカースクリューについて検討している人は、事前に担当の歯科医院にしっかり確認しておきましょう。
IPRで隙間を作る
IPRとは、歯の側面をヤスリで削ることで歯を動かすための隙間を作る治療方法です。
IPRでは1本あたり片側0.25㎜ずつ、両方で0.5㎜歯を削れるため、八重歯を抜歯せずに矯正治療を行うことができます。
健康な歯のエナメル質は1~2㎜の厚みがあるため、IPRで削る場合でも痛みはほとんどありません。
また、IPRで削った後も将来的な虫歯や歯周病のリスクも通常の歯とほとんど変わらないといわれています。
ただ、歯を削る際にヤスリやタービンを使用するため、歯科恐怖症の人はこれらの音を負担に感じるかもしれません。
八重歯矯正の注意点
八重歯は歯列全体のバランスをとるために重要な役割を担っている歯です。
八重歯の抜歯をする必要がない場合は、抜歯せずに歯を移動させるスペースを作る治療方法を選択することをおすすめします。
歯の状態は1人1人違うため、矯正治療には担当の矯正歯科医としっかり相談しながら治療方法を選択することがとても重要です。
そのため、抜歯矯正を提案されて納得できない場合は、セカンドオピニオンを活用して他の歯科医に意見も聞いてみましょう。
八重歯の矯正で後悔したくないなら
矯正治療には高額の費用がかかる場合が多く、八重歯を抜歯してしまうと元には戻りません。
安易に八重歯の抜歯をしてしまうと、仕上がりに不満が出て後悔する可能性が高くなるため注意しましょう。
八重歯の矯正治療には、抜歯する方法と抜歯しない方法の両方を検討する必要があります。
そのため、治療を始める前に担当の矯正歯科医に治療方法についてしっかり相談しておくことがとても重要です。
また、下記のリンクから八重歯の矯正や矯正治療についての無料相談をご予約いただけます。八重歯の矯正について気になっている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
八重歯は一度抜歯すると2度と生えてこないため、矯正の際に抜歯するべきか慎重に判断したいものです。
そのためには、矯正治療を検討している人は八重歯の矯正にはどのような方法があるのか知っておくことが重要です。
八重歯だけが歯列から大きく外れている場合や八重歯自体に既に虫歯がある場合は八重歯の抜歯が必要になることがあります。
抜歯後に後悔しないためにも、自分の症状にはどのような治療方法が適切なのか担当の歯科医院でしっかり相談しながら治療を受けましょう。